necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

Penguinrush JAZZ CLUB LIVE at STAR EYES

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2021.6.26 STAR☆EYES 

ペンギンラッシュ  望世(vo,gt) 真結(key) 浩太郎(b) Nariken(ds)   成瀬明 (gt)

 

 望世さんが大学の4年間スタッフとして働いていたスターアイズでの凱旋ライブ。

真結さんが大学時代から働くミスターケニーズでのライブに続くJAZZ CLUB LIVEの第2弾。

衣装とコーディネートされたマスク姿は、さながらペンギン羅修。

四露死苦。

音楽という修羅の道を行く。

 

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ここで数多くの名演奏を聴いてきた望世さんがジャズミュージシャンへのリスペクトの想いを語られていて、ジャズっぽいと言われるのはバンドの真意ではないだろうが、ロックやポップスと比べて受けているノックの数と質が違うジャズミュージシャンの凄さを肌身で感じられたのは素晴らしい財産である。

コロナ禍で30日間毎日カバー曲を演奏し投稿していた"30DaySong Challenge"は演奏の足腰を鍛えるジャズ的なアプローチとも言える。

 

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岩城マスターと奥さんにちゃんと音を聴いてもらうのは初めてで、誰に聴いてもらうよりも緊張する中、「こんな景色だったんですね」と多くのジャズメンが目にしていた初めてのステージからの眺めにしみじみする望世さん。

満員御礼で、私も普段は出演者の控え席になっているテーブルからいつもと違う景色。

もうひとつ違うのは、これまでサポート的に数曲だけだったギターが全面的に搔き鳴らされていたこと。

 

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ギターの成瀬さんと知り合ったのもココで、お店のスタッフからサポートをお願いされて、会場が『ダイヤモンドホール』と聞いたときは驚いただろう。

ジャズのライブでは出番が少ないフェンダーストラトを片手に「かなりフィットしてきた」と成瀬さん。

ペンギンのサウンドに欠かせない存在となった。

 

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このトリオでインストゥルメンタルを演ってもゼッタイにカッコイイだろうな。

 

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『二〇二〇』のダンスバージョンによるミュージックビデオ。

動きのひとつひとつに意味があるらしい。

前作のアルバムが『七情舞』だっただけに音楽と舞いのコラボには拘りがあるのだろう。

『色彩』のミュージックビデオといい、曲のアレンジと同様に個性的で練られている。

 

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飲食も充実しているスターアイズ。

望世さんのオススメは「ポテトサラダ ニース風」だそうだ。

この日いただいたのは「じゃこと大葉のピザ」(写真白い皿).。

先日ミスターケニーズで真結さんに運んでいただいた「しらすと大葉のピザ」(写真青い皿)が口に合ったので頼んだのだが、ケニーズに負けない美味しさだった。

ロックやポップスのリスナーにもジャズのお店に足を運んでほしいとその魅力を何度も語る望世さん。

この日のライブはコロナ禍で大変な状況にあるお店を応援したいという気持ちもあったのだろう。

更に進化したペンギンの音がジャズのハコに似合っていた。

それは演奏スタイルよりもスピリットに因るところが大きい。

 

浜名湖1周サイクリング

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 2021.6.25 浜名湖1周サイクリング

 

自転車はソロ活動に限る。

その理由は、自分のペースで走れたり、気になるお店があればふらりと寄れたり、何よりすべて自分の責任なので誰かと揉めることがあり得ないのがいい。

二人以上で走る場合はペースが合わなかったり、道を間違えた場合など、相手のせいにして揉める可能性があるので避けたいが、ドラゴン服部シェフからのお誘いなのでまあいいか。

 

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ドラゴンがレンタサイクルなのでスピードを合わせるために折りたたみ自転車を持って行くことにした。

10時スタートの予定だったところ、ちょっと遅れて到着が10時30分になってしまい、しかも17時までに返却すればいいと思っていたのが16時までということで、こりゃかなりタイトな走りになりそう。

直ぐにスタートしたいところだが、レンタサイクルの手続きや係員さんからの「この時間から1周するのは無理」とか、「途中のターミナルで乗り捨てできる」とか、「その場合は保証金は返却されない」とかの説明で、スタートするときには11時近くになっていた。

 

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最初の1時間はすごくいいペースで、これなら16時までに帰れそう。

ちょっと余裕がありそうなので、「長坂養蜂場はちみつスイートアトリエ」で、はちみつソフトクリームをいただいた。

はちみつが練り込まれたソフトクリームに注文後に追いはちみつをして、甘さとコクの絶妙なハーモニーは最高。

 

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他にも魅力的な商品がたくさん並べられていたが、ゆっくり見るほどの余裕はなく、また寄りたい。

しばらく快調に走っていると「ん?」さっき見た景色が。。。

現在地を確認しないでジャンジャンバリバリ走っていたら、どうやら猪鼻湖をぐるりと1周してしまったようだ。

30分以上ロスしてしまい、乗り捨てやむを得ずといった状況となった。

ドラゴンと言えばその土地ごとの名物を食することが大好きで、この日もいろいろリクエストを受けていたが、「グルメよりも1周したい」という言葉で、昼飯抜きで走ることにした。

 

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そこからノンストップ。

トイレ休憩のみで、交差点の信号待ちでは前半の反省からこまめに現在地をチェック。

かなり気温も上がってきたので、熱中症対策のため水分補給も少量をこまめに。

上り坂であのカーブまでかなと思って曲がるとまた上り坂。

エネルギー切れだが、ゆっくりになっても足は止めない。

するとご褒美の下り坂がやってくる。

風と一体になりたまらん快感&下り坂が休憩時間。

現在地と時間を確認する度に「行けるかも」という気持ちになり、それがエネルギーとなる。

15時を回ったので浜名湖ガーデンパークの北ゲート付近からドラゴンが電話を掛けると「とにかく16時までには帰ってきてほしい」だって。

 

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反時計回りで回る方が多い中で時計回りにしたのは、新居町駅からスタートするとゴール間近で浜名湖大橋というご褒美が待っているから。

この橋を渡ると弁天島駅で、ゴールの新居町は次の駅。

残っている足でラストスパートをかけてゴールすると、15時40分。

地図の距離は48.20kmとなっているが、猪鼻湖を5kmスイムで渡ってからの距離なので、推定で70kmは走っている。

道を間違えたときは二人とも一瞬諦めたが「やればできる」byティモンディ高岸。

ソロ活動では得られない汗に、たまにはデュオ活動も悪くない。

「余裕じゃん」と言いながら、身体からは「とにかくアイスが食べたいと」聞こえてくるので、税込み299円で「しろくま」を購入。

 

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最初のひと口で「うんめぇ~」と、思わず声が漏れる。

世の中にこんな美味しいものがあったのか。

 

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夕食まで時間があったので、ドラゴンにサマーブレンドを淹れていただき、浜名湖を眺めながらのコーヒータイム。

スッキリとした口当たりで夏を感じさせる美味しさに贅沢なひと時。

 

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夕食にと思っていたお目当てのうなぎ屋はコロナの影響なのだろうか営業しておらず、他のうなぎ屋もほとんど閉まっていたので、「さわやか」でげんこつハンバーグ。

どうやらドラゴンがクロスバイクを購入するようなので、自転車部立ち上げました。

部員は募集していません。

栗林すみれ Solo Piano

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 2021.6.20 Mr.Kenny's 栗林すみれ Solo Piano

 

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昨年の6月、新型コロナウイルスの影響でライブができなくなったときに Studio Dede で開催されたオンラインライブ。

一発勝負だからこそ生まれる音楽のマジック。

その充実感に満ちた大切な瞬間をかたちに残したいという想いから生まれたCDとBD。

『LIVE at Dede STUDIO TOKYO Sumire Kuribayashi Trio featuring Marty Holoubek &Shun Ishikawa 』

現在のオンラインショップに加え、7月には全国流通するらしい。

「内容は同じですよね」と確認した上で何度も聴き比べたが、同じ内容でも味わいが違うので両方持つべき。

どちらか一方なら、音の立体感があり、鍵盤のアップを多用して指使いの美しさと笑顔にも見惚れとてしまうBDがオススメ。

リーダー作品としては、初の自主制作であり、初のライブ作品に「あとがない方が向いているかも」とすみれさん。

その言葉に誰しも納得するであろう素晴らしさだが、当日は首が回らないほどの悪コンディションだったそうで、キース・ジャレット並みに崖っぷちが似合う。

もちろんコロナは歓迎すべきものではないが、それによってたくさんの気づきも生まれる。

 

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ロピアノはそのライブ作品からの曲を中心に、ではなく、春頃に網膜剥離の一歩手前になって寝込んでいたときに書いたという曲が中心になっていた。

コロナ禍や自らの体調もあって、いろいろと考えられたこともあったようだが、その時の想いが込められた曲達は、深淵を覗き込むような重厚さや、またひとつ別のステージで弾かれているような幽玄美さえ感じられた。

その患った目から見える景色はたぶん以前のものとは違って見えているのだろう。

 

すみれさんがこの地方に来られる時はBird&Dizでお聴きすることが多いが、コロナ禍で1年以上お店は閉めっぱなしで、今回もBird&Dizでのライブはなかった。

先日、元木マスターが隣の閉店した紳士服店の解体の様子をFacebookであげており「ついでにうちも壊してもらおうかな?」といった自虐もあって、すみれさんのことだから心配されて寄られたのではないかと思ってお聞きしたところ、やはり寄られたそうだ。

「マスターがよぼよぼになっていたらどうしようと思っていたけど、お元気でしたよ」とすみれさん。

すみれさんの手前でカラ元気もあっただろうが一先ず安心した。

 

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アンコールはキース・ジャレットブリュッセルでのソロコンサートのアンコールに弾いた即興演奏。

構築された美しさは自然に存在する美しさには敵わない。

そして、その旋律に負けない音色の美しさはすみれさんのお人柄もあってのこと。

『名も無い日』日比監督と巡るロケ地ツアー

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2021.6.18 『名も無い日』日比監督と巡るロケ地ツアー

 

ネタバレはしていませんので、映画鑑賞の手引きになればと思います。

 

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神宮前駅西口に集合。

ご一緒させていただいた方の中にあさイチで熊本から来られたという女性が居られてびっくりでしたが、なんと今回のツアーには北海道から沖縄まで全国から参加者が来られるそうで2度びっくり。

熱烈なファンのみなさんには頭が下がります。

 

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予告編をご覧いただいて、その中のシーンと照らし合わせてもらえればと思います。

 

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まずは駅からすぐ近くの神宮小路へ。

ここだけ昭和から時が止まったかのようなレトロな飲み屋が軒を並べ、誰しもへべれけになりそう。

 

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永瀬正敏さん演じる達也の同級生八木 (中野英雄さん) が営むお店は居酒屋の赴きでしたが、撮影に使われたのは「えん楽」という中華料理のお店。

 

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予告編で八木と直子 (大久保佳代子さん) が座っていたカウンター。

今度お寄りして永瀬さんが座られた壁際のカウンター席で昔ながらのしょうゆラーメンをいただきたいと思います。

 

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その並びにある居酒屋「美樹ちゃん」。

今井美樹さんを意識してスクリーンにも映っているそうで、初見でこれに気付かれた方がいればスゴイ。

 

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神宮小路を抜けて熱田神宮前商店街へ。

達也と同級生の明美 (今井美樹さん) が久々に再会して、寝静まった商店街を歩くシーンに使われています。

監督が子供の頃は、ここで買い物を全部済ませることができたそうですが、現在は駅前の再開発が進んでおり、シャッターの閉まっているお店が目立っていました。

 

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商店街に限らず、至る所にポスターが貼られていて、地元全体で応援されている様子が伺えました。

映画を鑑賞後に余韻に浸りながら商店街でお買い物でも。

 

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監督がどちらも日本一美味しいと太鼓判の「焼きたてメロンパン ポポ」と「BRIGHT COFFEE STAND」。

 

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ツアー終了後に立ち寄って、元祖メロンパンとブラジルの浅煎りをいただきました。

カリッフワッのメロンパンと、一杯入魂で丁寧に淹れられたコーヒーの相性は良く、お隣同士で兄弟のような仲の良さを感じ、美味しさは監督の仰った通りでした。

 

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商店街のアーケードがなくなるところで突然雨が降りだすシーンについて「あの意味はわかりました?」と日比監督。

達也と明美とのセリフにヒントがあるということで、鑑賞の際にはじっくりと聞いてみて下さい。

ちなみに私はわからなかったので、次回はそれを踏まえて鑑賞します。

他にも白狐の仮面や、自転車が燃えるシーン、ろうそくの風など、ひとつひとつに意味が込められていて、なるほどということが見えない糸で繋がっているのを意識しながら鑑賞していただけたらと思います。

 

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商店街からマイクロバスでの移動中、映画の重要なアイテムで、ポスターでも永瀬さんが構えられているローライフレックスについて、河瀨直美監督の『光』の中で永瀬さんが演じられた視力を失っていくカメラマンが持っていたのもローライの二眼レフだったことから「永瀬さんからの提案ですか?」と、質問させていただいたところ、ふたりで話し合って決められたとのことでした。

「わかる人にだけわかればいいのですけど」と前置きされたあと、ローライのしかも35mmである理由、ライカや国産メーカーではダメな理由を教えていただき納得でした。

 

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マイクロバスは3兄弟が育った小野家に到着。

日比監督のご実家でもあります。

朽ちた姿を表現したいということで、外側の汚れは美術によるものだそうです。

当初は実家を使う考えはなかったそうですが、ある日この家自体が弟さんに見えたそうで、ここを軸にしたストーリーにしようと思われたとのことです。

そう言われれば、確かに人の顔のようにも見えます。

 

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劇中でオダギリジョーさん演じる次男の章人が横たわっていた部屋。

こちらの壁の汚れも美術によるものです。

章人さんの写真もあり、手を合わさせていただきました。

家族が幸せだった頃の回想シーンでは、美術で70年代当時の電化製品や食器をそのまま再現されていて、それを見たときには涙されたそうです。

 

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映画のポスターと並んで貼ってあるのは、名古屋市美術館で7月10日から9月5日まで開催される『日比遊一写真展 imprint/心の指紋』のポスター。

7月17日には監督の講演会もあるとのことで、その日に伺います。

 

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予告編で金子ノブアキさん演じる三男隆史が「アッくんはね、小野家に恥じないたったひとりの立派な男なのよ」 と話していた部屋。

実際の章人さんも東大を卒業されていて、世間的には金子さんのセリフ通りの方だったのでしょう。 

 

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予告編で章人がコールタールのようなものでまっ黒になっていた浴室。

その演出は監督が突然決めてテストなしで撮られたそうですが、オダギリさんは文句ひとつ言わず演じられ、それだけでなく次の日に「肌がつるつるになりました」とラインが送られてきたというエピソードをお聞きして、役者としてはもちろん人間性の素晴らしさも感じました。

 

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二階から玄関を見下ろしたところ。

劇中でも同じアングルでのシーンがあり、ぽつりとあった達也の影が印象的でした。

 

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予告編で章人が「何がわるんだて」と叫んでいた実際の章人さんの部屋。

この撮影中、永瀬さんとオダギリさんは一切目を合わさなかったそうです。

 

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予告編で提灯が燈っていた通り。

監督が子供の頃には実際にあのような風景はあったそうですが、今は見られなくなったみたいです。

 

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劇中で達也の幼少期からの思い出が詰まった場所としてたびたび登場する宮の渡し公園。

ラスト近くのシーンで偶然にも監督が欲しかった天気になったそうで、その空にも注目してご覧いただければと思います。

あとファインダーを覗く永瀬さんにも注目してください。

脚本にはないアドリブで深い表現をされていて、それを聞いたとき本当に凄い役者さんだと鳥肌が立ちました。

 

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大切な人を亡くしたときの喪失感は誰もが避けては通れない道です。

この映画はその喪失感に遭遇したすべての方に向けた作品です。

名も無い日

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2021.6.6 名演小劇場 日比遊一監督 『名も無い日』

 

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名古屋市熱田区に生まれ育った自由奔放な長男の達也(永瀬正敏)は、ニューヨークで暮らして25年。自身の夢を追い、写真家として多忙な毎日を過ごしていた。
ある日突然、次男・章人(オダギリジョー)の訃報に名古屋へ戻る。自ら破滅へ向かってゆく生活を選んだ弟に、いったい何が起きたのか。圧倒的な現実にシャッターを切ることができない達也。三男(金子ノブアキ)も現実を受け取められずにいた。
「何がアッくんをあんな風にしたんだろう?どう考えてもわからん。」
「本人もわからんかったかもしれん。ずっとそばに、おったるべきだった。」
達也はカメラを手に過去の記憶を探るように名古屋を巡り、家族や周りの人々の想いを手繰りはじめる。

(公式サイトより)

 

写真家でもある日比遊一監督の実話に基づいた私小説的映画で、日比監督(小野達也)を演じた永瀬正敏さんも写真家としての顔を持つ。

永瀬さんのInstagramは常に拝見しているし、高浜市やきものの里かわら美術館で今年開催された永瀬正敏写真展『bloom』にも足を運び、それらの写真からは寡黙ながらも強い信頼感を受け、その感覚は日比監督の映画の中にも流れていた。

パンフレットの中に「俳句のようにミニマムな映画にしたいと思いました」と言う監督の言葉があったが、説明を極力省いた科白とそれに寄り添う映像が紡ぎ出す余白に、死生感や大切な人への想いが余情として漂っていて、それをどのように感じ取るのかは鑑賞者の感性に委ねられる部分が大きい。

観た人によって様々な受け取りができる作品は信頼できる。

 

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希望する職業に就いたり、プロスポーツ選手や芸能界で成功するなど、夢を叶えることは素晴らしいが、そこで壊れてしまっては何にもならない。

「何がわかるんだて」オダギリジョーさんの演技を越えた心の悲鳴を口にするシーンは息ができなくなるほど深く胸に突き刺さった。

シャッターを切れなかった日比監督は、ようやくそれを受けとめることができたということか。

デジタルカメラはゲームをリセットするようにデータを消去できるが、フィルムに焼き付けた画像は人生のように消すことはできない。

東海三県先行公開に続き6月11日より全国公開される。

じっくりと向き合えるよう、映画館で観るべき作品である。

TANGO VAGABUND

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2021.6.3  ロジウラのマタハリ春光乍洩 

『TANGO VAGABUND』  早川純(バンドネオン) 中西文彦(ギター)

 

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ツアータイトルになっている『TANGO VAGABUND』 は中西さんのオリジナルナンバー。

初めて書いたタンゴの曲とのことで、専門家ではないので自由なタンゴにしようと考えたそうだが、それを意味するピアソラの超有名な曲『Libertango』はすでにあるため、放浪者や放浪することを意味する『TANGO VAGABUND』となった。

「でも、たいして放浪してないけどね」と、中西さん。

それに対して純さんが「体を移動させることだけが放浪じゃないですよね」と納得の一言。

このお二人のトークも徹頭徹尾、放浪していたし、心の放浪だってある。

これを聴きながら、しばし放浪してくだされ。

 

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放浪といえば、昨年の1月に普通自動二輪免許を取得されてから純さんのSNSの投稿は、専ら愛車 YAMAHA SR400(2003年モデル)でのバイク愛ほとばしるツーリングの様子で、オートバイに加えてロードバイクも始められ、Instagramはさながら『BIKE VAGABUND』といった趣き。

 

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今回のツアーも雨が予想される中、バイクで来られており、これから滋賀・大阪と関西方面へ。

移動疲れで演奏に影響にしなかな?と思ったが、移動も楽しんでいるそうでまったく問題ないらしい。

 

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それぞれのソロコーナーでは「何をやるか決まってない」という中西さんがお客さんの年齢層を見て決めたという曲は『蘇州夜曲』。

会場から笑いが漏れて「お客さんの層とは関係ないような」と純さん。

「今の曲が軽快だったからちょっと疲れちゃった」と始まったすすり泣いているような繊細な音色は時の流れを放浪しているようだった。

 

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純さんのソロは「明るい曲」「暗いワルツ」「ブラジルの曲」からお客さんの拍手で決めたところ圧倒的な「暗いワルツ」の勝利で、NHKのドラマ『岸辺露伴は動かない』で使われていた『Valse du Temps perdu・失われし時のワルツ』となり、ぐっしょりと沁みた。

ソロアルバム『Caja Magica』にも収録されて、『菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール』のライブでも弾かれている。

名古屋ブルーノートが廃業となって「ぺぺが名古屋でやる場所が無くなりましたね」と純さんとお話ししたが、ジャズに力を入れている長久手市の『長久手文化の家』でぺぺのライブやってくれないかなぁ。

 

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2019年4月12日の名古屋ブルーノートでの1stステージで、時間切れによってアンコールができなくなり、菊地さんがひとりステージに戻ってきて、「この借りは必ず返します」との約束をしていただいたが、その約束を果てしていただける日を心待ちにしています。

電車を止めるな!~のろいの6.4km~ 其の二

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 2021.5.30 シアターカフェ 『電車を止めるな!~のろいの6.4km~』アンコール上映

 

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好評につきアンコール上映となったタイミングで、ブラタモリの『銚子~銚子はなぜ日本一の漁港になった?』の再放送があり、その中で銚子電鉄も紹介されていた。

 

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緑のトンネルと言われる区間に入ると「森の中を走っているみたいだね」とタモリさん。

旅のお供のぬれ煎餅をほお張り思わず笑顔がこぼれる。

帝国データバンクでは「米菓製造業」に区分されている銚子電鉄株式会社の主力商品である。

銚子でなぜ煎餅なのだろう?と思っていたが、ぬれ煎餅にたっぷりと使われている醤油が銚子の名産だということで納得。

映画は深夜の心霊電車だったので、菜の花やキャベツ畑の中を走るかわいらしい電車は映画では場面が少なかった爽やかな光景だった。

 

koga-shinobu.amebaownd.com

 

アンコール上映前にもう一つ、アナザーストーリーのボイスドラマ版 (映像付き) も購入して拝見した。

「本物の霊がでるツイてるねノッてるね呪われた心霊電車」を連呼するなどキャッチーな会話のやり取りはボイスドラマならではで、映画とは違ったエンディングはタイトルからすればこちらの方がしっくりくるかも。

好みは分かれるところだが、それぞれの特徴に合致しているように思える。

 

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まずい棒も再入荷されていて、今回も定番の「コーンポタージュ味」と新作の「岩下の新生姜味」の2種類。

両方とも欲しかったが、買い占めは良くないので前回と同じ「岩下の新生姜味」を購入。

ビールのお供にぴったしでクセになる味なんですよね。

映画の方もクセになる味で、この映画、何がスゴイって、線路は単線なのに伏線を回収していて、1回目より2回目の方が面白いんです。

 

theatercafe.blog.fc2.com

 

アンコール上映会は6月6日までで、最終日には銚子電鉄竹本社長の舞台挨拶もあるようだし、社長役で主演のコウガシノブさんのニューバージョンメッセージも前回よりチョイ長めになっていて両社長も気合十分なので、まだまだこれから上映は続くよ何処までも。