necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

けもの

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”けもの”はシンガーソングライター青羊(あめ)さんのソロプロジェクト。

その存在を知ったのは2013年に菊地成孔氏プロデュースでリリースされた「LE KEMONO INTOXIQUE(ル・ケモノ・アントクシーク)」だが、2004年からジャズボーカリストとしてのキャリアをスタートさせ、2010年には自身のソロユニット/アートアクティビティとして”けもの”を立ち上げ、2011年に「けもののうた」をリリースしている。

 

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当時のレコーディングメンバーは「けもののうた」青羊(acoustic guitar,vocal)、石田衛(piano)、織原良次(fretless bass)。

「LE KEMONO INTOXIQUE」は、それに加えトオイダイスケ(electric bass)、石若駿(drums)、柵木雄斗(drums)、菊地成孔(soprano&alto sax,vocal,synthesizer)、と豪華ジャズメンが名を連ねる。

音的にも「LE KEMONO INTOXIQUE」では「My Foolish Heart」と「Day by Day」のジャズのスタンダードナンバーがオープニングとクロージングに収められてジャズ色の濃い内容になっている。

中でも「BEAT IT」での菊地さんとのエモいデュエットにスローなアレンジながらグルーブ感がハンパない駿さんのドラムは必聴である。

そしてその歌声を聴いた時の衝撃はUAを初めて聴いたときの感覚と似ていた。

2003年の私の誕生日に菊地さんはUAとのDUOでの超名盤「cure jazz」をリリースされているが、青羊さんの声を耳にした時の感覚は私と同じだったのでは。

それは声が似ているとか歌い方が似ているというチープなものではなく歌い手としての存在感。

決して機械の採点では計れないもの。

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これはライブでお聴きせねばと代官山「晴れたら空に豆まいて」、惜しくも閉店された六本木「新世界」などへ足を運んだ。

そこで聴いたのは白でも黒でも黄色でもない”けもの”であった。

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名古屋へは2度お呼びしているが今回は初期からメンバーも音も編成もガラリと変わっている。

石田衛さんがいなければ織原良次さんもいない。

今やけものの心臓ともいえる俳人でもある天才トオイダイスケさん(electric piano)、あいみょん家入レオなどJ-POPのレコーディングにも参加されている前回に続いての伊吹文裕さん(drums)、中村佳穂バンドなどで活躍されている新たに加わった西田修大さん(electric gutar) という強力で新鮮な布陣。


けもの / 2nd ALBUM「めたもるシティ」全曲試聴

2017年の私の誕生日にリリースされた「めたもるシティ」はシティポップスの金字塔とも言える超傑作である。

 ゴダールの映画からインスピレーションを受けた「第六感コンピュータ」。

TBS南部アナウンサーのナレーションから始まる「Fish京子ちゃんのテーマB めたもVer.」。

全盲の映画監督佐々木監督の「ナイトクルージング」のエンディングテーマにもなった「めたもるセブン」。

「銀座の街に革命が起こったらどのブランドを着て戦おうかな」と歌うお洒落ポップスの極み「tO→Kio」。

そして新作「美しい傷」ではどんな”けもの”を聴かせてくれるのか。

ペンギンラッシュとのWリリースライブを楽しみにしているのは誰よりも私である。