”ものんくる”はボーカルの吉田沙良さんとベース時々ギターの角田隆太さんによるジャズ系ポップスユニット。
私はものんくるを応援する運命にあると勝手に思い込んでいる。
2014年9月、ティグラン・ハマシアンの来日ライブの予約を福岡のSIKIORIに入れてホテルと飛行機も手配した。
しかしSIKIORIでのライブが中止となり、キャンセル料に涙しながら行ったコットンクラブのロビーでお二人の姿を見かけた。
菊地成孔さん経由で『飛ぶものたち、這うものたち、歌うものたち』をお聴きしていて、沙良さんの圧倒的なボーカルと角田さんの物語を紡ぐ歌詞をオクテット(8人編成)で聴かせる洗練されたアレンジの虜にされて、前日足を運んだ inF で谷川賢作さんとのライブ情報をチェックしたばかりだったこともあり、プライベートのところ失礼ながら声を掛けさせていただいた。
先に来られていたお二人は早々に席へ案内され、ギリギリに着いた私は最後の方でようやく番号を呼ばれた。
テーブル席は1席だけ空いていてボックス席でも大丈夫ということだったのでテーブル席をお願いするとなんと偶然にも角田さんと背中合わせの席。
これは音楽の神様の思し召しだと思い、失礼の上塗りでいろいろとお話をさせていただいたが、神対応のお人柄にますますファンとなり、名古屋へお呼びすることを約束させていただいた。
こうなったらトコトン応援するしかないでしょう。
『南へ』ではインディーズ時代の『SARA』で参加していた CRCK/LCKS (クラック・ラックス) のリーダーとなる小西遼さんが加入してノネット (9人編成) となり、物語の世界観も広がったが、告知映像での小西さんのまったく毒気のない爽やかな笑顔は本人ではなく良く似た弟さんではないか?
角田さんもCRCK/LCKSのオリジナルメンバーであるが、後に脱退されたのはものんくるに力を注ぎたいという思いからだろう。
お約束を果たせた『ものんくる with strings』at K.D.ハポン。
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールなどで活躍されている関口将史さん(vc)と田島華乃さん(vn)という強力なメンバーで来ていただき、その灯ぐらし鈴岡さんとのコラボをさせていただいた。
照明を落としキャンドルの灯りに照らされた音色はゆらゆらと1/fに揺らめいて、もう蕩けるしかなかった。
ホーンアンサンブルをメインとした固定メンバーから曲ごとによってミュージシャンを集めるスティリーダンスタイルとなった『世界はここにしかないって上手に言って』。
ドラムスだけでも、石若駿さん、FUYUさん、伊吹文裕さんといった贅沢な布陣で、それぞれのグルーヴ感を楽しむだけでも聴きごたえがある。
他にも斎藤ネコさん、桑原あいさん、井上銘さん、黒田卓也さん、宮川純さん、などなど総勢17名の気鋭のミュージシャンが参加した名作。
これまでのポップスフィーリングのジャズからジャズフィーリングのポップスへの変革も興味深い。
このアルバムの1週間後にリリースされたこれまた傑作の けもの『めたもるシティ』。
そして念願だった けもの×ものんくる=けものんくる『世界はめたもるシティにしかないって上手に言って』を企画させていただいた。
私のわがままを聞いていただきアンコールで青羊さんと沙良さんが同じステージに立ってくださり感謝しかない。
菊地さんから卒業?してセルフプロデュースした『RELODING CITY』。
アルバムのテーマは再読み込みを意味する「リロード」。
コンセプトにかけた『アポロ』のカヴァーやこれまでのイメージを打ち破る『HOT CV』 tofubeats氏によるリミックスなど新鮮な風が吹き抜けた傑作。
そして9月5日にそのアナログ盤がリリースされる。
アナログ盤仕様の曲順、アートワークによって新たに「再読み込み」されて。
角田さんがリロード中の渋谷の街にある隙や不安感が自問自答する自分達の心を後押ししてくれると感じたように、リロードする街をコンセプトにしたライブは面白いのではないかと思った瞬間「柳ケ瀬」が思い浮かんだ。
昭和40年代の繁栄からシャッター街となったが、商店街の若い人たちを中心に街の再生へ向かって様々な活動や試みが始まっている。
岐阜の駅前から会場の yanagase ants まで徒歩15分くらい。
お時間に余裕のある方はレトロで新しい街の様子を楽しみながらお越しいただきたい。
『RELODING CITY』のイントロは始まっている。
10月4日は今名古屋で最も勢いのあるペンギンラッシュ (5/25と7/13の記事を参照してくださいませ) との対バンであり、柳ケ瀬の街とのコラボでもある。