2019.10.26 Mr.Kenny's
ペンギンラッシュ 望世(vo,gt) 真結(key) 浩太郎(b) Nariken(ds)
オープニングの『街子』でアップライトベースのジャジーなリフに、いつもよりソフィスティケートされたボーカルが乗る。
抑揚の効いたドラムと絡む流麗なグランドピアノ。
今宵の街子はジャズで踊っている。
望世さんと真結さんがJK時代に結成して、初ライブから数えて5周年の記念ライブ。
会場は名だたるジャズミュージシャンや多くのジャズファンから愛されている JAZZ CLUB Mr.Kenny’s。
入口の看板に貼られたチラシのデザインは真結さんによるもの。
今までカウンターの中から数々のジャズの名演奏を聴いてこられた彼女がここでライブをする重みを一番感じているだろうし、お世話になっている倉マスターや美穂さんの前での演奏は特別な思いがあるだろう。
ご家族も来ておられたようだ。
もうすぐハロウィーンらしいが、虫に刺されて鼻の頭を赤くしている望世さんはトナカイを思わせ、ハロウィーンを飛び越してメリークリスマスといった感じの鮮やかな赤が黒に映える。
客席から鼻の頭が見えるほどの至近距離とフラットなステージによる一体感はジャズクラブならでは。
ジャズの流儀の則ってか、会場の雰囲気がそうさせるのか、普段聞かれないMCにいつものクールなイメージとは違った一面も見せる。
この日限定のカクテルに真結さんお手製のかぼちゃぷりん。
車のためカクテルは飲めなかったが、甘さ控えめのぷりんは絶品。
音楽にデザインにスイーツ、センスがある人は何でもやってしまう。
1st ラストの『ルサンチマン』でのベースとの掛け合いもかっこ良かった。
JK時代に作った『Dolk』のMCで「ししゃも」のようなもっとJKっぽい曲を書きたかったということだったが、そういったバンドは星の数ほどある。
独特の感性と音楽性、出会うべくして出会ったふたり。
私の中ではその最たる曲である『奈落』を聴くことができるのはワンマンのひとつの楽しみである。
詞の意味合いを聞くのは野暮だと思いながらも、一度私の解釈を聞いていただけるとありがたい。
2nd のラストはカーペンターズでもお馴染みの『Close to You』。
ジャズのハコならではの選曲。
ピアノのイントロ部分は天才ジャズピアニスト伊藤志宏さんのアレンジを参考にされたそうで、真結さん曰く「10分の1もできていない」とご謙遜だが、ピアニストとしての腕前も確かである。
その志宏さんは望世さんの一番好きなジャズピアニストとのことなので望世さんからのリクエストかも。
ちなみに真結さんの一番は SOIL&"PIMP"SESSIONS の丈青さんだそうだ。
そういうふたりからリクエストをもらった訳ではなく偶然に驚いているが「伊藤志宏&丈青 2台ピアノコンサート」を来年1/26(日) 15:00~ 栄にある河合楽器2Fのコンサートサロン「ブーレ」で開催することが決まったのでよろしければ。
もちろんおふたりも来ていただけるとのことで、ペンギンファンも是非。
詳細は後日ブログにアップします。
バンドのメンバーが望世さんと真結さんのふたりきりになったとき、浩太郎さんとNarikenさんに声を掛けたくても怖くてなかなか掛けられなかったそうだ。
今のバンドの雰囲気とこの笑顔からは想像できないが、おふたりの演奏テクニックとの釣り合いが取れなくて断られるのが怖かった部分もあるだろう。
ペンギンラッシュの高度なライブパフォーマンスはこのふたりによって支えられている。
絶妙なバランスの上に成り立っている4人の関係は替えが利かない。
10周年もこのメンバーで、どれだけビッグになっていてもこの場所でお願いしたい。
その前にこのような企画をまたよろしくです。
実はこのライブはペンギンラッシュから持ちかけたのではなく、真結さんの活躍を知った倉マスターがYoutubeの動画をご覧になって「うちでやればいい」と鶴の一声で実現したもの。
素敵なライブを企画していただいた倉マスターと美穂さん、ありがとうございました。
そして即日完売、超満員となった会場を少数精鋭でスムーズな配膳をしていただいたスタッフのみなさんお疲れさまでした。
カウンター席だったので手際の良さに感心してました。
今回初めてケニーズに来られたお客様も多かったと思うが、良いライブを連日やっているので、これを機会にまた寄ってみては。
ペンギンファンはカウンターに真結さんが居ればラッキーである。