necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

伊藤志宏 ソロピアノコンサート「solitude standing」

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2020.1.26 カワイ名古屋 コンサートサロン「ブーレ」

 

クラシックのサロンでのソロピアノコンサート。

もし当初からこの企画でオファーしていたらOKを頂けなかったかも知れなかった。

当初の企画はピアニスト3人でのコンサートだった。

志宏さんを筆頭に全員多忙なため、3人のスケジュールと会場の調整に3年を要した。

3人の顔を見るたびその話ばかりで、決まりかけては流れてを繰り返し、ようやく決まったときはうれしさよりも安堵感が勝った。

そのほっとした気持ちもつかの間、ひとり抜けふたり抜け、アクシデントの土砂降りに頭の中が真っ白になり一瞬時が止まった。

企画にノリノリだった志宏さんも「ガーーーーーーン」「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜まじか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」「なんてことだ、、、、、」と絶句。

流れても仕方ないと思っていたが「自分はsoloでも全然かまわないんだけど」と言っていただいた。

ありがたいお言葉に時は動き出した。

 

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コンサートの当日の志宏さんからの「ごめんちゃいです」のメッセージにまた時は止まった。

よく目を通すと予定の時間に遅れるという内容でほっと一息。

 

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SHIGERU KAWAI-EX を知り尽くしたカワイ専属の調律師により丹念に調律され、会場のセッティングも完了し、あとは志宏さんの到着を待つのみ。

 

開場時間ちょうどに到着され「開場しましたので公開リハになりますけど。」と尋ねると「じゃあ、リハはやらないので椅子だけ一番下げておいて。」とのお返事。

「鍵盤の感触だけでも...」と私。

「いや、やんない」と志宏さん。

 

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志宏さん曰く、ライブハウスに置いてあるピアノは物によっては弾いてはいけない鍵盤があるそうだ。

最初、確かめるように弾いていたのはその確認だろう。

もちろん、そのような鍵盤はひとつもない。

1st が終わりステージを降りての第一声は「めちゃくちゃ弾きやすい!」だった。

象牙白鍵と黒檀黒鍵は弾き心地に優れ、自然なタッチを生む。

 

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告知の投稿で「名器が孤高のピアニストのすべてを引き出す」と書いたが、それは間違いではなかったが十分ではなかった。

孤高のピアニストは名器のすべてを引き出した。

熱演は1st 50分、2ndは60分を超えた。

共にノンストップ。

芳醇で重厚な響きから繊細で軽やかな微音まで、ブリリアントな輝きからビロードの柔らかさまで、名器の持つポテンシャルを最大限に引き出した。

さらにそれをサロンが心地よく包み込む。

息を呑む音もはばかるほどの空間。

 

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アンコールは観客の拍手によりペトルチアーニの「September 2nd」と「ペンギンは飛べない」となった。

ガツンと弾くペトルチアーニだけ写真OK。

「バーン」と思いっきり鳴らした音は雨上がりの青空のように澄み切っていた。

 

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ソロになったためナカガワ暢さんにデザインしていただいたチラシが公開できなくなったが、自分の事より私を気遣っていただいきありがたかった。

この日もわざわざ京都からお越しいただき、最後列で身を乗り出して何枚もドローイングされた。

「そう、おれこういう指のかたちになるんだよ」と志宏さん。

 

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企画が変更したにも関わらず、仕事を休んで来ていただいた方や、仕事を抜け出して来ていただいた方、遠くは福岡から来ていただいた方。

来ていただいた方全員に感謝である。

ありがとうございました。

 

 

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ライブゴットの小久保さんがソロになったのは必然と書かれていたが、私もそう思う。

この日のための3年だったと言える。

 

志宏さんからのリクエストで次回のここでのソロピアノが決まった。

と言っても日時はまだ未定。

こんないいピアノでしょっちゅうやるのはもったいないので来年でいいそうだ。

 

その前に2月29日にここでの 2台ピアノコンサートを企画させていただいた。

ピアノは今回の SHIGERU KAWAI-EX とそれに次ぐ SK-7。

ピアニストはハクエイ・キムさんと佐藤浩一さん。

是非この空間でのこのおふたり演奏をを聴いていただきたい。

よろしくお願い致します。

 

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