2020.2.14 Mr.Kenny's 島裕介 (tp,fi) 丈青 (pf)
「そういえば、今日バレンタインだったんですよね。車の中で丈青に言われるまで気づきませんでした。」と、島さん。
『My Funny Valentine』でマーチン・コミッティが咽び泣く。
マイルス・デイビスやチェット・ベイカーも愛用したマーチン社の名器。
1940年代後半のビンテージで金属が劣化しているため、鳴らすのに無茶苦茶バテるそうだ。
その深みのあるダークな音色はハイカカオチョコレート。
苦味と酸味が強めで甘味は少ない。
華やかな編成では映えないだろうが、この夜にはこれ以上のブツはない。
『名曲を吹く』のコンセプトは飾るのではなく削る。
原曲の魅力を彫り起こし、シンプルなアレンジだからこそアドリブが際立つ。
先日の慶應義塾大学でのレクチャーコンサートの流れで、奏法や曲についての解説をたっぷりと、興味深く聞かさせていただいた。
丈青さんがビル・エヴァンスの左手のコードとコントロールについて熱く語ったあと「僕は左利きではありませんので...」と、『Blue in Green』のイントロに慎重に指を置いた。
70年前のヴィンテージは金属の枯れ具合が絶妙。
超絶技巧や迸るパッションを超越したミュートの静寂さにその時代の空気が漂う。
ペンギンラッシュの真結さんお手製のバレンタイン・ジンジャーキャラメル。
ケニーズでよくいただく自家製ジンジャエールをシンプルなアレンジでくちどけのよいキャラメルにしたブツ。
ペンギンラッシュは只今ニューアルバム絶賛制作中で、こちらも甘くない作品になるだろう。
MCで紅白歌合戦の話題を振られた丈青さん。
大晦日はボクシングとRIZINを見ていて見逃してしまったが、林檎さんの隣りでにやけ気味。
そして JAZZ JAPAN AWARD 2019 の受賞おめでとうございます。
カウンターにお客様からいただいたチョコレートを積んでご満悦の島さん。
チョコレート中毒にご注意を。
次回の島さんのケニーズは6月14日。
チェット・ベイカーの『My Funny Valentine』には甘さの欠片もない。
ドラッグによる救いのないアンニュイさと切なさ。
ミュージシャンが罪に問われても曲には罪はない。
どんな時代も、どんなときも。 by マッキー