2020.2.29 カワイ名古屋2F「ブーレ」 ハクエイ・キム(pf) 佐藤浩一(pf)
『7 in the midnight』 が終わると「止まらずに出来て良かった」とハクエイさん。
もちろんジョークだが、もしかしたら本音も少しは混じっていたかも。
それほどの難曲。
徹夜明けの朝7時、そろそろ寝ようかというときにメロディが浮かび布団の中で書き留めたという、浩一さんの7拍子のオリジナル。
7拍子なのはたまたまだそうで、眠気の波におそわれた混沌としたリズムの中にまどろみの気持ちよさも感じる。
7拍子の曲で思い浮かぶのはアヴィシャイ・コーエン トリオの『seven seas』だが、尋常ではないリズム感。
普段やり馴れないリズムにリハーサルでは少々戸惑いぎみのハクエイさんだったが、短時間でみるみるアジャストして、本番では0.1ミリの誤差もない息の合った圧巻のDUO。
このトリオと聴き比べても遜色ない凄さ。
「てっきり中止になると思っていた」とハクエイさん。
私は0.1ミリも思っていなかったが、確かにキャンセルや問い合わせはあったし、行くよと言っていただいてお見えにならなかった方もいた。
致し方ないし、私宛のメールやメッセージでご予約をいただいた方には、ご無理をしないよう連絡をさせていただいた。
開場して間もなく、キャンセルされた年配の女性が差し入れだけでもと、天むすを持って来られ、挨拶程度ですぐお帰りになられた。
感染するリスクを考えてのキャンセルだろうが、とても残念そうだった。
告知で「最高の環境で今までに聴いたことのないハクエイさんと浩一さんがお聴きできる」と書いたが、「今まで聴いてきたハクエイさんと全然違う」「ピアノも素晴らしいけどホールもいいから音が違うんですよね」「また是非ここで企画してください」等々、お客様からその通りのご感想をたくさんいただいた。
普段はクラシックのみで、ここでジャズを企画するのは私くらいだが、クラシックのリスナーにも聴いていただけるようになればと思う。
今日のコンサートならば受け入れていただけるはずだ。
ふたりのオリジナルバラードの美しさと響きはラフマニノフやラヴェルに匹敵した。
河合楽器の調律師の宮平さん(手前)とブーレ担当の伏見さん(奥)。
この日もいくつかのイベントが中止または延期になっていて、河合楽器から中止の要請があればどうしようもないところ、いろいろとお気遣いくださりありがとうございました。
お客様からは顔は見えなかったが、最高の環境を整えてくださったコンサートの立役者。
今回もチラシのデザインをお願いしたナカガワ暢さん。
いつもながらファッショナブル。
京都で「個展 梅と六人の女其の12」を開催中で、土曜日は毎週在廊のところ、この日だけ外して京都からお越しいただいた。
有難いやら、申し訳ないやら。
1stステージでそれぞれのソロを聴いて、「同じピアノを弾いたのに全然音色が違うのでビックリした」とナイスなお言葉。
今回1stをソロにしたのはそれも狙いのひとつ。
個展、寄らさせていただきますね。
大変な時期にお越し下さったみなさまには感謝致します。
平穏なときにまたおふたりにお願いできればと思う。
その際には天むすの女性の方にも聴いていただきたい。