2020.8.23 Car-Den 山本直人 (ob) 佐藤正道 (pf) 奥村将和 (ds,per)
ジャズでオーボエはなじみが薄く、私もヤマナオさんの他は聴いたことがない。
そのヤマナオさんも根っからのジャズメンではなく、クラシック畑の方で、しかも元名古屋フィルハーモニー交響楽団首席オーボエ奏者という日本屈指の演奏家である。
バリを拠点にご活躍されている tomocaさんとのオーボエの『響演』もお聴きしたかったが、コロナ禍の影響で多くのライブが中止や延期となり、昨年9月に名フィルを退団されて以後、初めて足を運ぶことができた。
『響演』がお聴きできる日を楽しみにしております。
アンコールで演奏された『希望』。
「何方か共演してください」と、お知り合いの作曲家の方が Twitter に楽譜をアップされてたそうだ。
ライブでは初演奏で「希望が持ちにくい状況ですが、明日の活力になれば」とヤマナオさん。
光と影が去来するオーボエの音色の向こうに明るい日差しを感じる。
コロナ対策で席数を減らしてのライブだったが、集客が難しい状況下での満席。
2階席がある高い天井は雑味のない澄み渡った世界を演出し、このトリオには持って来いの会場である。
正道さんのコントロールされたピアニシモも存分に聴かさせてくれる。
私がヤマナオさんをお聴きする切っ掛けになったのはアルメニアのピアニスト、ティグラン・ハマシアンから。
彼の1stアルバム『World Passion』を聴いた時の驚きは私史上最大だった。
今まで聴いたことのない旋律に音色と驚愕のテクニック。
録音した当時17歳だったのは、藤井二冠が17歳で棋聖のタイトルを取られた凄さに匹敵する。
それ以来15年近く、ずっど私のNo.1ミュージシャンである。
このアルバムで dudukとzurnaという民族楽器の音色に魅了された。
オーボエと同じダブルリードならではのノスタルジックな哀愁を纏った音色。
ジャズのライブでダブルリードの楽器を聴く機会は、ほとんどと言っていいほど無い。
3曲目 (18:30) 『These Houses』や 8曲目 (46:17)『Mother's Lament』など、オーボエで奏でられたら空も飛べるくらい鳥肌立ちまくりだろう。
そのティグランのニューアルバム『THE CALL WITHIN』が8/28にリリースされる。
楽しみだ!
購入したアルバムはいつもの通りジャズ茶房青猫でリクエスト。
奥村さんのリーダーアルバムで、1~5曲でヤマナオさんが参加されている。
ジャズ寄りではなく『モルダウ』や『ダッタン人の踊り』といったクラシックのお馴染みをキッチリと吹かれている。
『G線上のアリア』での独特の高音域は堪りません。
奥村さんのリズムも絶妙で、ハンドパンを叩くヤマナオさんのオリジナル『枯野行』は切ない旋律が並ぶ中でもグッと来る。
このアルバムに合わせるならコーヒーではなく、紅茶だな。
でも、すでにカフェオレを頼んでしまった。