necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

Amane Quartet 藤井二冠vs羽生九段 (王将リーグ戦)

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 2020.9.22 Mr.Kenny's 伊藤天音 (pf) 矢ヶ崎誇楠 (as) 串原光星 (b) 山崎隼 (ds)

 

 9/15に THE WIZ でソロピアノをお聴きした天音さんがリーダーのカルテット。

二十歳の天音さんを中心に、その前後の年齢が揃った将棋の藤井二冠と近い世代である。

最年長 (と言っても若い) 名古屋大学院生の串原さんが安定したベースで低音をガッチリ支え、名古屋大学工学部の誇楠さんの個性溢れるサックスに、最年少にして唯一のプロである隼さんがいつもに増してノビノビ叩く。

それをまとめる天音さん。

バランスのとれた良いカルテットである。

特に初めてお聴きする誇楠さんには驚いた。

すでに自分の哲学を持っているような音だと感じたが、10歳くらいサバ読んでないか?

しかも自他共に認めるかなりのジャズおたくらしい。

コナンという一度聞いたら忘れられない名前もミュージシャンには武器だ。

名前と言えば天音(あまね)さんも名は体を表している素敵な名前である。

もしかしたらお母さんは竹野内豊ファンだったりして?

違っていたら御免なさい。

 

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アラフォー以上は知っている方も多いと思うが、天音さんが生まれる2年ほど前に放送されたドラマ『WITH LOVE』。

主人公の二人は竹野内豊さんが演じる「長谷川天(たかし)」と田中美里さん演じる「村上雨音(あまね)」。

しかもピアノが物語の重要なアイテムとなっている。

天(ハンドルネーム:hata)が、曲のデータを見ず知らずの雨音(ハンドルネーム:てるてる坊主)のメールアドレスに間違えて送ってしまう。

そこからメールのやり取りが始まり、名前も顔も知らない相手に惹かれ合うが、お互いに「パリ在住で、元・銀行員の留学生」「九州在住で、元・作曲家の小学校音楽教師」と偽り、近くにいながらもすれ違う二人。

そして、雨音は自身の結婚式で天の弾くピアノを聴いて、天がhataだと気づく...(動画2:33~)

 竹野内豊さん、憎たらしいほどカッコいいわ。

 

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岩代太郎さんのサントラ『白線流し』とか久々に聴いたが、しみじみするなー。

天が弾いていた『ONCE IN A BLUE MOON』を、ぜひ天音さんに弾いてもらいたい。

 

THE WIZ でのお約束通りに演奏があったショーン・マーティンの失念した曲名は『Festina Lente』だった。

ソロでの雨の雫のようなしっとりとしたイメージから、カルテットでは天高く広がる青空のような爽やかなアレンジ。

リーダーの特権と言うべきか、本日3曲目のショーン・マーティンのナンバー『Focus』。

キレキレのソロの応酬に黒っぽいバッキングもグルビーで、ダイヤの原石の輝き。

ステージがキラキラしていたのは隼さんのキンキンのヘアーのせいだけではない。

 

この日はもうひとつ大切なイベント、王将リーグの開幕戦、藤井聡太二冠と羽生善治九段の対局があった。

ライブは始まるちょっと前まで、『もりけんTV将棋』と『観る将』さんの評価値放送をハシゴ。

もりけんさん、ブログのご紹介いつもありがとうございます!

 

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王将戦は規制が厳しいのか、有料の番組以外は盤面を出すのはNGみたいで、果敢に挑んだもりけんさんはYOUTUBEツイキャスもBANされた。

 

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『観る将』さんは絶対に消されないようにと指し手も言わず、慎重モード。

そのお陰で投了まで観戦できた。

ライブ開始の15分程前に決着し、羽生九段の勝利。

アマ四段の観る将さん曰く「歴史に残るような名局」とのこと。

両者ともお疲れさまでした。

そして、ありがとうございました。

 

前回、藤井二冠のことを書いたブログのFacebookのコメントで友人から本を勧められた。

大崎善生著『将棋の子』。

この日の前日にページをめくり始めると一気に読み終えた。

 

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地元では10年にひとりと言われる天才も奨励会に入会すればただの人。

その奨励会からプロ棋士に進める者は一握りもいない。

年間でたったの4人。

藤井二冠や羽生九段は天才を遥かに超越したどれだけの存在なのだろう。

自分や家族のすべてをかけた夢が儚く消えた青年の姿を追ったノンフィクション。

何もかも無くした成田英二が最後まで持っていたのは奨励会を退会したときに記念にもらった駒。

羽生さんなんかと戦ってきた証拠だから、こんなことで負けるわけにはいかない。

読み終えたときに、プロや夢破れたすべての棋士たちに畏敬の念を抱かずにいられない。

感涙必至なので、電車などで読まれる場合にはご注意を。

この本を勧めていただいた友人は元・プロボクサーで日本フェザー級1位の経歴を持つ。

日本フェザー級タイトルマッチではリードしながら偶然のバッキングで4ラウンド負傷引き分けとなった。

再戦は7ラウンドTKO負けで、対戦相手は世界チャンピオンに上り詰めた。

タラればの話は勝負の世界で禁句なのは承知だが、偶然のバッキングがなければ日本チャンピオンはもちろん、世界チャンピオンに手が届いていたかも知れない。

ひとつのパンチの重みを知る者は一手の重みを知る。

中村さん、ずしりと重みのある本をご紹介くだりありがとうございました。

 

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今回もりけんさんもいろいろあったが、こんなことで負けるわけにはいかない。

もちろん、藤井二冠も。

 

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Amane Quartet のみなさんにもりけんさんのキメのポーズをしていただいた。

「どーん!」