necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

HAKUEI KIM  Piano Solo

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2010.10.16 THE WIZ  ハクエイ・キム (pf) 

 

ニューアルバム『TRACES』のリリースライブであるが、全曲完全即興演奏のライブ録音であるため、アルバムの再現演奏.......なんて、もちろんやりません。

 

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オリジナルを中心に、ボサノバの名曲『Gentle Rain』や、2018年にリリースされた『RESONANCE』に収録されているジョン・マクラフリンの『A Lotus On Irish Streams』など、秋の夜にスパークリングワインようなキラキラした音の泡が哀愁を誘う。

その中にどっぷりと肩まで浸かってうっとり酔いしれるコクボッチ。

 

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完全即興 (インプロヴィゼーション) ライブでこの1枚と言えば、てっぱん中のてっぱん、キース・ジャレットの『The Köln Concert』を誰しも挙げるだろう。

そのアンコールで弾いた『Part Ⅱ c』を、アンコールで弾かれたのには殺られた。

美しさの極みのインプロだが、この曲だけ『Memories Of Tomorrow』というタイルが後になって付けられているのはちょっとあざといかな。

『TRACES』のタイトルは、ハクエイさんがインスピレーションで決められた。

 

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ジャズはアドリブの音楽であるが、コード進行やテーマに基づいて自由に演奏するアドリブと、一切何も決めていない真っ白な状態からコード進行やテーマやキーの転調などを決めながら演奏するインプロヴィゼーション (即興) は別物である。

アドリブができなければジャズミュージシャンとは言えないが、ジャズミュージシャンならインプロヴィゼーションができるとは限らない。

ここで言う「できる」とは、お金をいただいたお客様を満足させる演奏ができるという意味である。

ましてや完全即興ソロライブとなれば、企画するミュージシャンはまずいない。

 

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ピアノ線の上で綱渡りをするように絶妙なバランスをとりながら音符が繋がっていき、その場の集中力や緊張感も聴こえてくるようだ。

全9曲、1曲ごとにそれぞれのアプローチで、構成力、芸術性、テクニック、匠による調律と録音、聴けば聴くほど完成度の高さを感じる究極の1枚。

 

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Sold Out となったこの夜。

「12月にまたソロで名古屋に来ますので、よかったら」とハクエイさん。

12月6日 (日) の Mr.Kenny's も Sold Out 必至なので、ご予約はお早めに。