necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

癒しとやすらぎのコンサート

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2020.11.2 大安寺

万葉SOUL  竹中信子 (vo) 村尾浩史 (key)

瑠璃音 (るりね)  笠井詠子 (fl) 中山夕子 (key)

TOMOO&SAKI  野上朝夫 (key) 籠谷紗希 (vl)

 

生憎の雨でライブが開催されるのか?という一抹の不安を持ちつつ奈良の大安寺に到着すると、境内ではなく獅子吼殿と本堂の二ヵ所に会場を移して3組が交互にライブをするプログラムに変更されていた。

天気予報を見て、おとといくらいに雨天時のプログラムを作成されたそうだ。

 

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さすが三馬先生。

ドクターでありサックスプレーヤーでもあって、病院などでのライブの企画もされている。

コロナ禍では「こんな時だからこそ」と、病院の暗くて重い空気を生の音で吹き飛ばすべく、月曜日のお昼の時間に客席なしでのロビーライブを再開された。

三馬先生とは、古都の佇まいを残す高畑地区にあるカフェ ろくさろん で、先生が企画されたライブでお話をさせていただいてからのお付き合い。

 

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その ろくさろん へ何度か伺ううちに、お客さんとして来られいた村尾浩史さんや野上朝夫さんとも面識ができ、今回ご出演されるということで、ぜひお聴きしたいと楽しみにしていた。

 

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本堂の厳かな空気の中で古の想いを綴る万葉SOUL。

現代のメロディとシンセサイザーでのアレンジに乗せた大伴家持らの言魂に、しばし時空を超えて心は万葉の時代を彷徨う。

三馬先生のサックスも初めてお聴きすることができラッキーだった。

 

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瑠璃音は、おそらく正倉院の宝物からのネーミングだろう。

クラシックをベースに様々なジャンルからの調べは、情熱の名残のようにまどろみに埋もれたいくつもの思い出をよびおこしてくれる。

ドビュッシーの『月の光』は瑠璃色に輝いていた。

 

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ジブリのキャラクターのようなお二人、TOMOO&SAKI が奏でるジブリジャズとそれぞれのオリジナル。

演奏者がこれほどまでに楽しんでいるライブは他に記憶がない。

タイムオーバーの中でのまさかのアンコールに飛び跳ねて喜び、童謡『ふるさと』を会場全体で歌い終わると、何人もの方が涙をぬぐっていた。

 

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野上さんと最初にお会いしたときは、奈良での音楽活動がまだ暗中模索の頃だったと思う。

元々は横浜にお住まいで関東を中心に活動をされていたが、東日本大震災を機にご家族で奈良に越してこられた。

何の伝手もなかった奈良で今このようにご活躍されている要因は音楽性とお人柄。

三馬先生が一緒にやりたいと思われるのに時間は要らなかった。

音楽に対する志が近いのだと思う。

 

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紗希さんのオリジナル『ほんの少しの勇気』。

のびやかで透明感のある音色に高度なテクニックを感じるが、それよりも身体から溢れ出るお人柄と笑顔に聴き入ってしまう。

 

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野上さんが関東で活動されているときのピアノソロで、『はじまりの種子』は東日本大震災のチャリティーのために作られたそうだ。

奈良に越されてからは阪神淡路大震災も想って弾かれているのだろう。

 

2022年秋に自宅から自転車で30分のサイクリングコースである愛・地球博記念公園ジブリパークがオープンする。

自転車を漕いでそこで TOMOO&SAKI のジブリジャズを聴きに行けたなら最高である。

スタンリー・クラークの中で一番好きなアルバム『JOURNEY TO LOVE』の日本でのタイトルは『慈愛への旅路』となっていて、LOVEを愛ではなく慈愛と表現している。

TOMOO&SAKI をはじめ、三馬先生と繋がっている音楽は慈愛に満ちている。

だから「癒しとやすらぎ」がある。