牧山純子 (vln,e-vln) 安部潤 (pf,key) 森光奏太 (b) 磯貝一樹 (gt) 川口千里 (ds)
これほどまでにミュージシャンもリスナーも待ち望んだリリースライブはないだろう。
4月8日に発売されたキングレコード移籍第一弾アルバム『アレグリア』。
そのリリースライブが4月24日名古屋ブルーノートに決まったが、コロナ禍により5月27日に延期となり、さらに振り替え公演も延期となってしまい、再振り替え公演が決まりそうだとお聞きした矢先、8月15日に名古屋ブルーノートが廃業となった。
その時点で、もしリリースライブがあるとしたらボトムラインだろうと期待はしていたが、そのボトムラインもクラウドファンディングで支援を募るなど、ご多分に漏れず経営が大変だという話は聞いていた。
その状況下での席数を減らしての『アレグリア』リリース記念ライブ。
発売日から半年以上が経過したが、絶対に『アレグリア』をライブで届けたいという牧山さんの強い想い、開催できなかった名古屋ブルーノートの無念な想い、それを受け継いだボトムラインの熱い想い、様々な想いを感じて席に着いた。
リリースライブで全曲CDの曲順に演奏するなんて話は聞いたことがない。
それほどまでに想い入れの強いアルバムだろうし、曲の並びもこれ以上はないという確信のプログラム。
疾走感溢れる『ラ・フェット・ドゥ・モール』から始まり、クラシック以外は音楽ではないという環境で育った中でもこの曲は知っていたというイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』に、エレクトリック・マイルスの『PORTIA』の香りが漂う超クールな『スコッチ・ミスト』など、どれもニュープロジェクトの名に相応しい。
後半の一番の聴かせ所で真っ赤な指板のエレクトリック・バイオリンに持ち替えての、この楽器のために書いた『infinity』では、ステージの上に虹が架かったかのようにカラフルで艶やかな響き。
T.REX の『20thセンチュリー・ボーイ』のリフはまさにエレキギターのディストーション。
黒く塗りつぶされたスタイルで不良少年のように荒々しく掻き鳴らす。
もうラストだとわかっている『ブリザ・デ・アレグリア』で、喜びの風を感じながらの大円団。
アンコールの『チャルダッシュ』はお馴染みの曲だがいつもと違うニュープロジェクトアレンジでエレキギターと超速弾きの競演も。
西山瞳さんとのイングヴェイも期待してしまう。
今回のリリースライブは東京と名古屋のみだったが、年明けの1月7日にビルボードライブ大阪でのライブも決まったとのこと。
ボトムラインでは『ムーン・シャドウ』で豪快なドラムソロを叩きまっくていただいた牧山さんとはレーベルメイトである川口千里さんの「Dynamogenic」(12月23日発売) のリリースライブがある。
牧山さんから話を振られて、ライブの日程で「1月じゅう、う~ん」となってしまったが、何処からか「1月19日」と、船場吉兆の女将の囁きが聞こえた。