necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

梅井美咲 PIANO SOLO

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2021.4.3 成城学園前 cafe Beulmans 梅井美咲 (pf)

 

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楽し気な家族連れの声が聞こえてくる土曜日の午後の住宅街。

暖かで平和な日差しが2階にあるお店の窓からカーテン越しに緩やかに差し込み、テーブルのグラスを通過して、小さなスペクトルを映し出している。

ピアニストがぱらりと開いたページから聴こえてきたインプロヴィゼーションはその光の波と同調していた。

その場の情景を感情の赴くままに音にしてしまう。

 

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数々のコンテストでの受賞歴を持ち、16歳のときに『Blue Giant Nights』のオーディションで選出されてブルーノート東京に出演。

今年の1月には18歳で自身のリーダートリオのデビューアルバム『humoresque』をリリースし、コットンクラブでの発売記念ライブを成功させるなど、ピアニスト・コンポーザーとして鮮烈な光を放つ東京音楽大学の2年生。

その才能はさまざまな可能性に満ち、多くの秘密を湛えている。

 

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ノラ・ジョーンズをブルージーに弾けば、讃美歌のような慈愛に満ちたオリジナルと、超絶技巧でチック・コリアを弾き倒し、弾く予定ではなかったが「今日のお客さんなら攻めたことをしても大丈夫かな」と、武満徹氏を幻想的に。

アルバムからの『Teeny-weeny-socks』はアドリブ全開で、アンコールでの『Of a river,a small murmur』ではアップライトとは思えない鳴りの良さに驚いた。

 

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アルバムにも収録されている渡辺翔太トリオの『North Bird』。

オリジナルから感じた力強さとは違ったアプローチは風に乗って大空を軽やかに舞うようで、エンディングの地平線の彼方に消えていくような情景描写は圧巻だった。

こんなのを聴いてしまったらトリオでのライブも行かざるを得ない。

残念ながら今のところ名古屋でのライブの予定はないとのことだが、5月8日(土)に地元である関西でのライブがある。

1stなら名古屋はもちろん、東京からでも日帰りできる。

 

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本当に十代の演奏か?と思わせられたライブだったが、MCでくるりと身を反転させ「上京してまだ半年なのにたくさんの方に来ていただいてうれしいです」とはにかんだ笑顔は確かに十代の少女だった。

 

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「まだサインは出来てないので」と、CDに書いていただいたご自分の似顔絵も女の子らしくほっこり。

これから地平線の彼方に飛んでいくであろうピアニストの初期の名前のないサイン、これは貴重です。