2021.6.3 ロジウラのマタハリ春光乍洩
『TANGO VAGABUND』 早川純(バンドネオン) 中西文彦(ギター)
ツアータイトルになっている『TANGO VAGABUND』 は中西さんのオリジナルナンバー。
初めて書いたタンゴの曲とのことで、専門家ではないので自由なタンゴにしようと考えたそうだが、それを意味するピアソラの超有名な曲『Libertango』はすでにあるため、放浪者や放浪することを意味する『TANGO VAGABUND』となった。
「でも、たいして放浪してないけどね」と、中西さん。
それに対して純さんが「体を移動させることだけが放浪じゃないですよね」と納得の一言。
このお二人のトークも徹頭徹尾、放浪していたし、心の放浪だってある。
これを聴きながら、しばし放浪してくだされ。
放浪といえば、昨年の1月に普通自動二輪免許を取得されてから純さんのSNSの投稿は、専ら愛車 YAMAHA SR400(2003年モデル)でのバイク愛ほとばしるツーリングの様子で、オートバイに加えてロードバイクも始められ、Instagramはさながら『BIKE VAGABUND』といった趣き。
今回のツアーも雨が予想される中、バイクで来られており、これから滋賀・大阪と関西方面へ。
移動疲れで演奏に影響にしなかな?と思ったが、移動も楽しんでいるそうでまったく問題ないらしい。
それぞれのソロコーナーでは「何をやるか決まってない」という中西さんがお客さんの年齢層を見て決めたという曲は『蘇州夜曲』。
会場から笑いが漏れて「お客さんの層とは関係ないような」と純さん。
「今の曲が軽快だったからちょっと疲れちゃった」と始まったすすり泣いているような繊細な音色は時の流れを放浪しているようだった。
純さんのソロは「明るい曲」「暗いワルツ」「ブラジルの曲」からお客さんの拍手で決めたところ圧倒的な「暗いワルツ」の勝利で、NHKのドラマ『岸辺露伴は動かない』で使われていた『Valse du Temps perdu・失われし時のワルツ』となり、ぐっしょりと沁みた。
ソロアルバム『Caja Magica』にも収録されて、『菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール』のライブでも弾かれている。
名古屋ブルーノートが廃業となって「ぺぺが名古屋でやる場所が無くなりましたね」と純さんとお話ししたが、ジャズに力を入れている長久手市の『長久手文化の家』でぺぺのライブやってくれないかなぁ。
2019年4月12日の名古屋ブルーノートでの1stステージで、時間切れによってアンコールができなくなり、菊地さんがひとりステージに戻ってきて、「この借りは必ず返します」との約束をしていただいたが、その約束を果てしていただける日を心待ちにしています。