necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

『名も無い日』日比監督と巡るロケ地ツアー

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2021.6.18 『名も無い日』日比監督と巡るロケ地ツアー

 

ネタバレはしていませんので、映画鑑賞の手引きになればと思います。

 

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神宮前駅西口に集合。

ご一緒させていただいた方の中にあさイチで熊本から来られたという女性が居られてびっくりでしたが、なんと今回のツアーには北海道から沖縄まで全国から参加者が来られるそうで2度びっくり。

熱烈なファンのみなさんには頭が下がります。

 

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予告編をご覧いただいて、その中のシーンと照らし合わせてもらえればと思います。

 

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まずは駅からすぐ近くの神宮小路へ。

ここだけ昭和から時が止まったかのようなレトロな飲み屋が軒を並べ、誰しもへべれけになりそう。

 

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永瀬正敏さん演じる達也の同級生八木 (中野英雄さん) が営むお店は居酒屋の赴きでしたが、撮影に使われたのは「えん楽」という中華料理のお店。

 

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予告編で八木と直子 (大久保佳代子さん) が座っていたカウンター。

今度お寄りして永瀬さんが座られた壁際のカウンター席で昔ながらのしょうゆラーメンをいただきたいと思います。

 

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その並びにある居酒屋「美樹ちゃん」。

今井美樹さんを意識してスクリーンにも映っているそうで、初見でこれに気付かれた方がいればスゴイ。

 

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神宮小路を抜けて熱田神宮前商店街へ。

達也と同級生の明美 (今井美樹さん) が久々に再会して、寝静まった商店街を歩くシーンに使われています。

監督が子供の頃は、ここで買い物を全部済ませることができたそうですが、現在は駅前の再開発が進んでおり、シャッターの閉まっているお店が目立っていました。

 

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商店街に限らず、至る所にポスターが貼られていて、地元全体で応援されている様子が伺えました。

映画を鑑賞後に余韻に浸りながら商店街でお買い物でも。

 

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監督がどちらも日本一美味しいと太鼓判の「焼きたてメロンパン ポポ」と「BRIGHT COFFEE STAND」。

 

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ツアー終了後に立ち寄って、元祖メロンパンとブラジルの浅煎りをいただきました。

カリッフワッのメロンパンと、一杯入魂で丁寧に淹れられたコーヒーの相性は良く、お隣同士で兄弟のような仲の良さを感じ、美味しさは監督の仰った通りでした。

 

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商店街のアーケードがなくなるところで突然雨が降りだすシーンについて「あの意味はわかりました?」と日比監督。

達也と明美とのセリフにヒントがあるということで、鑑賞の際にはじっくりと聞いてみて下さい。

ちなみに私はわからなかったので、次回はそれを踏まえて鑑賞します。

他にも白狐の仮面や、自転車が燃えるシーン、ろうそくの風など、ひとつひとつに意味が込められていて、なるほどということが見えない糸で繋がっているのを意識しながら鑑賞していただけたらと思います。

 

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商店街からマイクロバスでの移動中、映画の重要なアイテムで、ポスターでも永瀬さんが構えられているローライフレックスについて、河瀨直美監督の『光』の中で永瀬さんが演じられた視力を失っていくカメラマンが持っていたのもローライの二眼レフだったことから「永瀬さんからの提案ですか?」と、質問させていただいたところ、ふたりで話し合って決められたとのことでした。

「わかる人にだけわかればいいのですけど」と前置きされたあと、ローライのしかも35mmである理由、ライカや国産メーカーではダメな理由を教えていただき納得でした。

 

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マイクロバスは3兄弟が育った小野家に到着。

日比監督のご実家でもあります。

朽ちた姿を表現したいということで、外側の汚れは美術によるものだそうです。

当初は実家を使う考えはなかったそうですが、ある日この家自体が弟さんに見えたそうで、ここを軸にしたストーリーにしようと思われたとのことです。

そう言われれば、確かに人の顔のようにも見えます。

 

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劇中でオダギリジョーさん演じる次男の章人が横たわっていた部屋。

こちらの壁の汚れも美術によるものです。

章人さんの写真もあり、手を合わさせていただきました。

家族が幸せだった頃の回想シーンでは、美術で70年代当時の電化製品や食器をそのまま再現されていて、それを見たときには涙されたそうです。

 

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映画のポスターと並んで貼ってあるのは、名古屋市美術館で7月10日から9月5日まで開催される『日比遊一写真展 imprint/心の指紋』のポスター。

7月17日には監督の講演会もあるとのことで、その日に伺います。

 

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予告編で金子ノブアキさん演じる三男隆史が「アッくんはね、小野家に恥じないたったひとりの立派な男なのよ」 と話していた部屋。

実際の章人さんも東大を卒業されていて、世間的には金子さんのセリフ通りの方だったのでしょう。 

 

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予告編で章人がコールタールのようなものでまっ黒になっていた浴室。

その演出は監督が突然決めてテストなしで撮られたそうですが、オダギリさんは文句ひとつ言わず演じられ、それだけでなく次の日に「肌がつるつるになりました」とラインが送られてきたというエピソードをお聞きして、役者としてはもちろん人間性の素晴らしさも感じました。

 

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二階から玄関を見下ろしたところ。

劇中でも同じアングルでのシーンがあり、ぽつりとあった達也の影が印象的でした。

 

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予告編で章人が「何がわるんだて」と叫んでいた実際の章人さんの部屋。

この撮影中、永瀬さんとオダギリさんは一切目を合わさなかったそうです。

 

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予告編で提灯が燈っていた通り。

監督が子供の頃には実際にあのような風景はあったそうですが、今は見られなくなったみたいです。

 

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劇中で達也の幼少期からの思い出が詰まった場所としてたびたび登場する宮の渡し公園。

ラスト近くのシーンで偶然にも監督が欲しかった天気になったそうで、その空にも注目してご覧いただければと思います。

あとファインダーを覗く永瀬さんにも注目してください。

脚本にはないアドリブで深い表現をされていて、それを聞いたとき本当に凄い役者さんだと鳥肌が立ちました。

 

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大切な人を亡くしたときの喪失感は誰もが避けては通れない道です。

この映画はその喪失感に遭遇したすべての方に向けた作品です。