necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

栗林すみれ Solo Piano

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 2021.6.20 Mr.Kenny's 栗林すみれ Solo Piano

 

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昨年の6月、新型コロナウイルスの影響でライブができなくなったときに Studio Dede で開催されたオンラインライブ。

一発勝負だからこそ生まれる音楽のマジック。

その充実感に満ちた大切な瞬間をかたちに残したいという想いから生まれたCDとBD。

『LIVE at Dede STUDIO TOKYO Sumire Kuribayashi Trio featuring Marty Holoubek &Shun Ishikawa 』

現在のオンラインショップに加え、7月には全国流通するらしい。

「内容は同じですよね」と確認した上で何度も聴き比べたが、同じ内容でも味わいが違うので両方持つべき。

どちらか一方なら、音の立体感があり、鍵盤のアップを多用して指使いの美しさと笑顔にも見惚れとてしまうBDがオススメ。

リーダー作品としては、初の自主制作であり、初のライブ作品に「あとがない方が向いているかも」とすみれさん。

その言葉に誰しも納得するであろう素晴らしさだが、当日は首が回らないほどの悪コンディションだったそうで、キース・ジャレット並みに崖っぷちが似合う。

もちろんコロナは歓迎すべきものではないが、それによってたくさんの気づきも生まれる。

 

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ロピアノはそのライブ作品からの曲を中心に、ではなく、春頃に網膜剥離の一歩手前になって寝込んでいたときに書いたという曲が中心になっていた。

コロナ禍や自らの体調もあって、いろいろと考えられたこともあったようだが、その時の想いが込められた曲達は、深淵を覗き込むような重厚さや、またひとつ別のステージで弾かれているような幽玄美さえ感じられた。

その患った目から見える景色はたぶん以前のものとは違って見えているのだろう。

 

すみれさんがこの地方に来られる時はBird&Dizでお聴きすることが多いが、コロナ禍で1年以上お店は閉めっぱなしで、今回もBird&Dizでのライブはなかった。

先日、元木マスターが隣の閉店した紳士服店の解体の様子をFacebookであげており「ついでにうちも壊してもらおうかな?」といった自虐もあって、すみれさんのことだから心配されて寄られたのではないかと思ってお聞きしたところ、やはり寄られたそうだ。

「マスターがよぼよぼになっていたらどうしようと思っていたけど、お元気でしたよ」とすみれさん。

すみれさんの手前でカラ元気もあっただろうが一先ず安心した。

 

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アンコールはキース・ジャレットブリュッセルでのソロコンサートのアンコールに弾いた即興演奏。

構築された美しさは自然に存在する美しさには敵わない。

そして、その旋律に負けない音色の美しさはすみれさんのお人柄もあってのこと。