necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

東京自転車節

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2021.8.7 シネマテーク 青柳拓監督 『東京自転車節』

 

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2020年3月。山梨県で暮らしていた青柳監督は、コロナ禍で代行運転の仕事が遂になくなってしまう。ちょうど注目されてきた自転車配達員の仕事を知り、家族が止めるのも聞かずに新型コロナウイルス感染者数が増えていた東京に向かう。緊急事態宣言下に入っていた東京で、青柳監督は自転車配達員として働きながら、自らと東京の今を撮影し始めた。働くということとは?“あたらしい日常”を生きることとは?あらわになった“ニュートーキョー”を自転車配達員の視点で疾走する路上労働ドキュメンタリー。

                              (公式サイトより)

 

ウーバーイーツは何か作っているわけではなく単なるシステムなので、システムを組んだ側は都合のいいようにルールを決めて配達員からごっそり搾取する。

搾取される側の配達員は労働者ではなく個人事業主にあたるため、配達中に事故にあって怪我をしても労災保険は適用されず、パンクなどの修理費や企業ロゴの入ったバックなどの備品もすべて個人負担。

日毎の労働時間、配達件数、報酬金額が表示されるが、効率も思っていたほどではなかった。

軽急便と比べて、ガソリン代が要らなし、シェアサイクルでもできるところがまだましか。

ケン・ローチ監督『家族を想う時』の自転車版と書けばかなりほめ過ぎではあるが、通じるものはある。

養う家族はない独り身の気楽さや青柳監督の人柄によって、ケン・ローチ作品のような悲壮感は漂っていないが、監督には稼がなければならない理由があって、心配を掛けないよう祖母にはしっかり稼いでいると嘘をつく。

映画を学ぶために借りた奨学金の返済額が550万円、利子を含めると700万円にもなる計算で、ウーバーイーツ以前に、社会に出る前から莫大な借金を背負わすシステムにも問題を感じる。

デフレ下においてどこも企業努力をしているのに、大学の授業料は当たり前のように右肩上がりで、他国と比べて国からの支援も少ない。

 

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折しもこの日は愛知県に3度目の「まん延防止等重点措置」が出される前日。

1ヵ月半で緊急事態宣言を解除できたと大型ビジョンの中で自慢気に言っている安倍前総理の姿を見上げるシーンがあったが、相変わらず時短要請と酒類の提供禁止を繰り返すばかりの無策ぶりはウーバー配達員にとってはありがたいのかも。

この日はテレビでオリンピック観戦をされている方が多いのか、土曜日としては今池周辺の人通りは少なく、観戦中のお宅に食事を届けるであろうウーバーのバックが目立っていた。

一定の要件をクリアできればクエストという成功報酬がもらえるルールは人をゲームのコマのように扱っているみたいで、届けた先でも玄関ドアの前に置くかドアが開いてもただ受けとるだけで言葉のやり取りはない。

配達の受注から報酬の支払いまですべてオンラインで、人はシステムの一部となる。

これが新しい生活様式のひとつ。

 

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名古屋シネマテークでの上映は8月13日まで。

お昼の上映なのでお盆休みの方は是非。

ラストの映像に、ケン・ローチ張りの怒り節が聞こえてきた。