necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

栗林すみれ & 金澤英明 『二重奏Ⅲ』発売記念 Live

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2021.11.9 BUZZLE BUNCH 栗林すみれ (pf) 金澤英明 (b)

 

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開演5分前に到着すると、すでにほぼ満席状態。

空いている席を探しながら店の奥に進んでいくと、最前列のテーブルのひと席が空いていた。

片方の席に座っている女性は、暗い店内にもかかわらず濃いめのサングラスをかけていて、黒いキャップに黒マスク、黒のレザーコートと黒の革パンといった全身黒ずくめのパンキッシュで、「PANIC IN THE ZU: のボーカルかよ」と、ツッコミたくなる出で立ち。

会釈をして腰掛けると、「一応そこミュージシャン席なんですけど」と言われ、そちらを見ると、「えっ、すみれさん?、失礼しました」と、後ろの席に移動した。

網膜の具合はまだ思わしくないのだろう。(6/24投稿の記事をご覧ください)

 

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CDジャケットの内側を見ると、前回ケニーズでのすみれさんのソロピアノをお聴きした日から1週間後、6月27日から29日のレコーディングとなっていて、白の蘭越、紅と黄の蘭越に続いて、今回は緑が薫る蘭越

ジャケットでは幽玄な羊蹄山をバックに二重奏の木が葉音で奏でているようだ。

 

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すみれさんのオリジナル『A Blessed Day』。

蘭越雄大な自然と人々の温かさを満喫されているお二人の楽し気な姿が目に浮かぶ。

すみれさんの深遠なピアノの音色は澄み渡った蘭越の風景を想像させ、金澤さんの寄り添うようなベースによってその風景に奥行きが生まれる。

シンプルなアンサンブルだからこそ、音の余白がよりそれを感じさせるのだろう。

 

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金澤さんのオリジナル『寂-SABI-』。

内面的な豊かさの「わび」ではなく、表面的な美しさである「さび」とされたのは、イケメンだった若き日よりも経年変化によって刻まれた皺や白くなった髭などが醸し出す今の姿に人としての味わいを感じておられるからか。

言葉では説明し難い日本の美意識を、音によって言葉より深いところで気付かせてくれる名曲。

ピアノを弾きながら、振り返るような姿勢で、何度も金澤さんを見つめるすみれさんが印象的だった。

「さび」の美しさを知っているすみれさんの心が「わび」と言えよう。

 

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豊橋に来たい理由はいろいろありますので、詳しくは言いませんが」と、金澤さん。

その理由の一つは『カレーハウス ラジャ』であることは言うまでもない。

ライブの翌日に寄られたご様子である。

私もライブ前に二年半ぶりのラジャで、牡蠣とベーコンの3辛大盛りをいただいた。

「くうーっ」と、思わず唸ってしまう言葉では説明し難い美味しさ。

 

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たえこママさんも相変わらずお元気で、いつものスマイルだが、お店のアイドルがレオ君からクー (クウ?) ちゃんに変わっていて、ご挨拶させていただいた。

 

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店内の写真を見ていたら3年前の今岡友美+『二重奏』のチラシも飾られていたので何気に写真を撮ったら、2ndで「友ちゃん」と呼ばれ、今岡さんが客席 (私の後ろの席に座られていたがまったく気付かず) からステージに上がられた。

2曲お聴きできてラッキー。

ズシリと深いところで心を揺らすエモーショナルな歌声に痺れた。

 

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サインと写真を撮らせていただいたお礼を言うと、蛍光灯が煌々と照らしている中でサングラスを外されてもう一枚。

そのお心遣いがライブの演奏と同様にじんわりと沁みてきた。

この演奏と出会うために音楽を聴いているのではないかと思う時が希にある。

凄いとか素晴らしいとか思えるライブやCDはたくさんあるが、その時の感情はそれとはちょっと違う。

もっとじんわりとした感覚である。

言葉では説明し難いが、音楽が自分に寄り添ってくれている実感がある時にそう思うのかな?

二重奏はこの夜も寄り添ってくれた。