necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

若手監督応援上映会 vol.4 at シアターカフェ

 

2022.5.28・29 シアターカフェ 若手監督応援上映会 vol.4

 

 

関東から「わかな会」の小松代表、関西からは「中之島映画祭」のスタッフ月島さん、若手監督を応援されているお二人が名古屋のみなさんにどうしても観ていただきたいという作品を持ち寄っていただき開催された若手監督応援上映の4回目。

 

Aプログラム

『あのこを忘れて』谷口雄一郎監督 木村梨恵子さん

『8月2日の約束』『かたつむりぼうやとしあわせのしずく』望月亜美監督 森恵美さん

 

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『あのこを忘れて』谷口雄一郎監督

応募総数233作品の中から審査を通過した8作品を上映した中之島映画祭でグランプリに次ぐ優秀賞を獲得されたが、逆にこの作品を抑えてグランプリを獲った作品があるんだと驚いた。

先日足を運んだインディーズバンドのコンテストと同様、観客の投票のみで順位を決めるシステムはわかりやすくて良いし、予約不要で入場無料みたいなので、来年のGWは大阪へ行こうかな。

ある病気の特効薬の副作用で特定の人を忘れてしまうのだが、その相手に彼女だと嘘をつき、子供がいたことを隠し、嘘をついた方つかれた方それぞれのやさしさに涙。

帰り道で無性にプリンが食べたくなったのでセブンイレブンでネーミングに惹かれて「きみだけのプリン」を購入したが、プリンを食べる度に思い出すであろうあのこの表情は忘れられそうにない。

 

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『8月2日の約束』望月亜美監督

八王子short film映画祭の企画コンペで通過した6作品のひとつで、完成に向けてのクラウドファンディングに少し支援をさせていただいた作品。

制作費は掛かるだろうし題材も難しい思うが「皆が避けて通るところを敢えて挑戦しています。」という一文に惹きつけられ、その心意気と意義はスクリーンからも伝わってきた。

史実に基づいた八王子空襲を題材に、認知症になって家族や日常の出来事を忘れるようになっても、記憶からなくなっていたはずの大切な人への想いはもっと深いところに刻まれていて、戦争は戦場だけで起きているのではなく、終戦しても終るものではないことを痛感した。

 

Bプログラム

『コーンフレーク』磯部鉄平監督 GONさん

『名探偵一色誠シリーズ』一田久作監督 田中裕士さん

 

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『コーンフレーク』磯部鉄平監督

音楽の夢を追いかける男と保険外交として日々働く女、同棲した7年間のうちにたくさんの隙間がてきてぐだぐだの関係だが、別々の夜を過ごしたことによりお互いに関係を見つめ直す。

それぞれに悩みを持ち、これからついて考え、一歩踏み出す人々と、生活感溢れる大阪の街が魅力的に描かれていて、エネルギッシュ。

バンドを続けているのではなくやめられないというのは自主映画もそうであろう。

 

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『名探偵一色誠シリーズ』~踊る殺人試験~ボクシングジム殺人事件~オカルト殺人事件~ 一田久作監

古畑任三郎と小見門研介を合わせたような推理と早口は切れ味鋭く、2分間で難事件を解決するので予告は8秒。

『ボクシングジム殺人事件』にご出演された田中裕士さんが肩にしているチャンピオンベルトは本物で、なんと元WBC世界バンタム級ユースチャンピオンとのこと。

それを踏まえてもう一度予告編をどうぞ。

 

Cプログラム

『明けない夜とリバーサイド』夏衣麻彩子監督

『フカミおじさんとホシノおじさん』芦原健介監督 星野恵亮さん

『タイトル未定。』山場雅監督

 

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『明けない夜とリバーサイド』夏衣麻彩子監督

大須にじいろ映画祭」「知多半島映画祭」「あいち国際女性映画祭」など、夏井監督は愛知県とのご縁があり、元々地元である近藤笑菜さん演じる主人公はウエディングプランナーに憧れ、愛知から上京して弟の部屋で同居するが、ウエディング業界も新型コロナウイルスの影響を受けて思うようにならない。

弟の出す水平思考問題がストーリーに絡む展開が秀逸で、凝り固まった思考がほぐされた。

「夜が明けない」と思っている方にそっと寄り添いやさしく語り掛けくれる作品。

池袋シネマ・ロサにて 8/6(土)〜8/12(金)の公開が決まったそうなので是非!超オススメです!

 

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『フカミおじさんとホシノおじさん』芦原健介監督

 

 

本邦初公開の『フカミおじさんとホシノおじさん』は動画も写真もなかったので、先日シネマスコーレで鑑賞した『その神の名は嫉妬』(ニース国際映画祭2022にて外国語映画最優秀脚本賞受賞) を貼り付け。

どちらの作品もキャスティングが絶妙だと思っていたら芦原監督曰く「俳優さんは常に見ているからオーディションはしていない」とのこと。

この役はだれがいいのかピピっとくるらしい。

たしかに星野さんはまり役でした。

『明けない夜とリバーサイド』と同じ川沿いでのおじさん同士のやり取りのが本当にどうでもよくて、姉弟のやり取りとは真逆で、でもそれがツボに嵌って、ある意味セットで観られてラッキーだった。

 

『タイトル未定。』岡ゆきの・山場雅監督

女子高生の卒業と成長をミュージックビデオ調で撮った作品。

まず歌詞を伝えておき、後半でそれを曲に乗せることによって、より言葉が突き刺さってきた。

曲も良かったし、ファッションやデザイン性も見どころ。

 

Jプログラム

布瀬雄規監督ミニ特集上映会

過去参加監督近況報告

じゃんけん大会

 

 

布瀬雄規監督や野本梢監督などなど、シアターカフェでお馴染みの監督やスタッフの方からのメッセージが届き、近況報告ではみなさんお元気そうで何より。

座談会では舞台挨拶ではお聞きできないような、谷口監督のイ・チャンドン監督愛や、芦原監督は全裸監督ならぬ全裸俳優だったなど、ぶちゃっけ話に盛り上がった。

正座されている一田監督の衣装チェンジもお人柄が伺える。

 

 

じゃんけん大会では、望月監督の深大寺そばをゲット。

「ロケ地のそば屋さんですか?」とお聞きすると「違いますよ」ということで、なぜそば?

きっと望月監督は大のそば好きなのだろう。

 

 

2日目、2階の上映スペースに入るとシネマスコーレで絶賛上映中の『犬ころたちの唄』の前田多美監督がチラシを配られていた。

どうやらシネマスコーレで舞台挨拶があるらしく、その前に寄られたようだ。

チェックしていた作品だったので、舞台である広島の横川について少しお聞きさせていただいた。

それにしても、前田監督の爽やかな笑顔とチラシとのギャップはバリあるけん。

 

Dプログラム

『マニブスの種』芦原健介監督

Surface』谷口雄一郎監督 今野ゆかさん

『のこされたもの』望月亜美監督

 

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『マニブスの種』芦原健介監督

差出人不明の封筒の中に入っていた種を育てると手のようなものが生えてきて、その手のようなものは思いも寄らないな行動をとる。

予告編やオープニングの感じからして、オカルト映画だと思っていたら意外や意外の展開で、私の郵便受けにもこの種が届かないかな。

 

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Surface』谷口雄一郎監督

先日鑑賞した『あした、授業参観いくから。』と同様なワークショップ的作品。

人気少女漫画家の不倫をSNS上で誹謗中傷した人々と弁護士とのやり取りが次々と繰り返される。

弁護士は同じ内容を繰り返すが加害者たちの言い分は千差万別で、ラストはまんまとしてやられた。

 

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『のこされたもの』望月亜美監督

じゃんけん大会のそばはこちらの作品に因んでいたのだと納得。

冒頭の数分間で喪失感からボケてしまう話かと思ったが、喪失感からの立ち直りを描いていた。

前もって覚悟ができているよりも突然亡くなった場合の喪失感の方が大きいだろうが、いつまでも元気だろうと思うのではなく、元気なうちに何でもいいからできることはしておいた方がまだ救われる。

先日、80歳になる母と演歌のコンサートを聴きに行ってきた。

 

 

映画はたまに一緒に行くが (シネコンに一緒に行って別々の作品を観ることもある)、コンサートは小さい頃に行った長島温泉 (現ナガシマスパーランド) での鶴岡雅義と東京ロマンチカ 以来かな。

いただいたそばは母と食べたいと思います。

良いものをありがとうございました。

 

Eブロック

『午前三時の料理店 (レストラン)』『さよならウエディングドレス そして、またいつか』一田久作監

『マイ・シェアメイト』夏井麻彩子監督

『TWILIGHT』磯部鉄平監督

 

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『午前三時の料理店 (レストラン)』一田久作監

予告編で「ふたたび3時に開く」としかないが、3時からのメニューは1品のみで、そのメニューは私は食べたことあるかなぁ?といったメニュー。

その理由と、ラストシーン前での一田監督の拘りに、ユーモアだけでなくヒューマニズム溢れる作品も撮られるのだと、三谷幸喜さんを感じた。

 

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『さよならウエディングドレス そして、またいつか』一田久作監

『8月2日の約束』と同じく八王子short film映画祭で上映され、日本閣特別賞を受賞した作品。

ちなみに『8月2日の約束』は審査委員特別賞受賞を受賞されている。

八王子日本閣という結婚式場が映画祭の特別協賛をしており、出会い・愛・結婚、をテーマにするなどの応募条件もあるらしいが、その条件を満た上でさらに八王子をアピールしていて、かなり奇天烈なストーリーに一田監督の思考は自由過ぎるだろう。

確かに予告編を観ただけではさっぱりわからないと思うが、気になった方は6月16日(土)に岐阜のMKE映画祭で上映されるので、是非!

www.mke-cf.info

 

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『マイ・シェアメイト』夏井麻彩子監督

シアターカフェが白壁に移転する前の大須でも鑑賞しており、2018年の大須にじいろ映画祭でグランプリを獲得した作品。

大須にじいろ映画祭はレズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダー、の尊厳を尊重するLGBT系の映画祭だが、声高に主張するのではなく、さらりと美しい表現になっている。

『明けない夜とリバーサイド』でも主演されている近藤笑菜さん、スゴイです。

 

『TWILIGHT』磯部鉄平監督

主演の栗生みなさんのファンが客席の半数を占め、早々に予約で満席となったEブロック。

彼女の楽曲『卒業写真』から生まれた作品だそうだ。

一緒に卒業することができなかた高校時代の親友の死を引きずり、願いを書いて一緒に埋めたソフトボールのことを思い出し廃校になった母校に行くと、辺り一面を掘り起こしている少年と出会う。

ふたりを包むトワイライトは花束のようだった。

 

 

AプログラムからEプログラムまで完賞したので、監督や出演者のみなさんのサインが入った色紙をいただいた。

監督さん7名と出演者にスタッフを合わせた13名のみなさん、わざわざ名古屋までお越しくださりありがとうございました。

さすがの目利きが選んだだけあってどの作品も素敵で濃厚な2日間でした。

監督さん達や作品との出会いに感謝で、今後もチェックさせていただきます。

でも、まだコンプリートじゃないです。

 

 

6月3日『犬ころたちの唄』の最終日にシネマスレコーレに行くと、ん?前田監督が入口の前に立っておられた。

上映期間中ずっと名古屋に滞在されていて、毎回舞台挨拶に立たれてそうだ。

まーじーかー、そんな監督初めて聞いたわ。

パンフレットは町田康さんや加藤ひさしさんとの対談にシナリオ、横川のロケ地マップもある超豪華版。

CDも深夜兄弟の他、のっこん、はらっぱ、などなど、横川にどっぷりと浸させてくれる。

今から翌日より公開される茨城へ向かわれるとのこと。

まーじーかー。

 

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『君がいる、いた、そんな時。』の迫田監督、『彼女のは夢で踊る』の前川監督、そして前田監督、他にも広島でご活躍されている監督さんを知っているが、みなさんの作品からは広島愛が溢れていて、ロケ地を訪れたくなる。

ご当地映画ではなく地域密着型映画と言えるが、なぜ広島でそのような作品が多いのか。

カープファンもそうだが、広島の地元愛は特殊なように思える。

音楽とドキュメンタリータッチの映像がマッチしていて、ラスト30分間の長回しには驚いた。

肝が据わっているし、とんでもない監督になりそうな予感。

 

 

横川は名古屋で例えれば今池といった感じだが、映画鑑賞後に今池から南へ行った吹上にある鑪ら場へ、自転車漕ぎ太郎してギターの弾き倒し絶叫を聴きに向かった。

ドッグフード買い太郎さんは広島から来ておられるし、犬だし、3匹とも良かったし。

 

 

カウンターに置いてあるCDを見たら、『犬ころたちの唄』の主演をされているミカカさんのオムニバスアルバムだった。

ポスターも貼ってあったし、映画とのコラボなのだろう。

 

 

これで、コンプリート。

第5回も楽しみにしています。