necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

Morphine Desert -trio acoustic- Tour

2022.7.1  STAR☆EYES  Morphine Desert -trio acoustic- Tour

北川とわ (piano) 小美濃悠太 (Contrabass) 岩瀬立飛 (drum)

 

立飛さんが着ているのはこれまでのMorphine Desert Tシャツで、とわさんが着ているのは trio acoustic バージョン。

「まさかコントラバスで私の曲を弾くことができる人が居ようとは夢にも思っていなかった」と、とわさん。

これまでの歴代のエレキベーシストは6弦ベースの箭島裕治さん、5弦ベースの岡田治郎さん、4弦フレットレスベースの織原良次さんと、徐々に弦の本数が減り、フレットレスになりと、コントラバスに近づいてきたとは言え、同じベースと呼ばれる楽器であってもエレキベースコントラバスはまったく別物。

そして、その歴代のエレキベーシストの共通点は超テクニカルであること。

そうでないと、とわさんの曲は弾きこなせないが、そのエレベの達人たちからも難しいという苦情は幾度となく聞いてきた。

それをコントラバスで弾き倒してしまうとは、、、

 

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1年前に小美濃さんとアコースティックトリオを組まれるお話をお聞きして、以前から小美濃さんのお名前は高田ひろ子さんとのトリオなどで承知していて、ずっとお聴きしたいベーシストでもあったが、昨年は名古屋でのライブは一度もなかったそうだ。

 

 

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指板の上を縦横無尽に超高速で駆け巡りながらも正確なピッチに目をまん丸くして聴いていたが、「感覚で弾いている」そうで、長嶋茂雄終身名誉監督の領域。

さらに表現力豊かなアルコ弾きは抒情的な美しさだけでなく、効果音的な使い方には現代音楽の要素もあり、トリオとしても有機的なつながりがより強まったように感じた。

エレキベースコントラバスのどちらが上とか下とかはなく、どちらがフィットしていると感じるのか、それは聴き手の感性に依る。

そして、両方聴き比べられるのは面白い。

1stアルバムからの曲を聴きながら、とわさんのボケを見事に引き出す箭島さんのぼやきベースを思い出したが、あれは紛れもない超絶技巧であった。

 

 

 

因みに、コントラバスウッドベースは同じ楽器で、クラシックではコントラバス、ジャズではウッドベースと呼ぶのが一般的であるが、今回のツアーのチラシにはコントラバスとあったので、それに準じて書いている。

クラシックではバイオリンやチェロのように弓で弾くのが主だが、ジャズでは指で弾くピチカート奏法が主で、ジャズライブでコントラバスと書いてあるとアルコ弾きに拘りがあるのだろうと理解している。

スウェーデンの世界的奏者、アンダーシュ・ヤーミンが弾いているとウッドベースではなくコントラバスと言ってしまう。

 

 

2ndステージで披露された砂漠をモチーフにした組曲は、命をも燃やし尽くすほどの灼熱のリズム。

視界を遮るものや光源が一切ない満天の星空は神秘的で言葉を失うほどの美しさ。

砂漠に咲く花は死を前にして幻想を見ているような危うさ。

人が生きていることを一番実感できる場所は砂漠ではないのだろうか。

美しさと儚さ、生と死がせめぎ合うような壮絶なバトルはその実感を沸き立たせてくれた。