2022.12.11 (昼) Tea house Sima
『“X’masピクニックlive” 樽木栄一郎 Solo Live』
2022.12.11 (夕) 菓子処 かしの
『樽木栄一郎 Solo Live』
樽木栄一郎さんのソロライブ、昼と夕のダブルヘッダーを両方行ったからこそ知ることができた百戦錬磨たる樽木さんの凄さ。
お昼の愛知県のホームグラウンド 小牧市『Tea house Sima』 はお客様同士の「お久しぶり」という会話があちらこちらで聞かれ、コロナ禍でなかなか会えなかった樽木さんファンが集まり、オリジナル中心のプログラム。
夕方からの岐阜県大垣市の『菓子処 かしの』は 『Tea house Sima』のスタッフだったユキさんが独立して始められたお店で、3年半前のOPEN記念ライブ以来2回目となり、樽木さんのライブは初めてのお客さんが多いことから、序盤はご本人曰く「原形をとどめない」各年代のカヴァー曲を続けて歌って会場が温まったところで怒濤のMCへ突入するというお昼とは全く違ったプログラム。
11月30日にリリースされた『LIVE at SASAGURI/TAMAYA Vol.2』にも収録されている『mum』では、昼の亡き人からの想い、夕の亡き人への想い、どちらも涙腺を刺激する別のエピソードが添えられ、同じ曲でも異なる視点で聴くことができる深い味わいは同じ茶葉でも摘む時期によって味わいが変わる紅茶のよう。
キンミヤ焼酎からCMソングの依頼を受けてつくられた『刹那』。
和の味わいを感じるメランコリックなナンバーは「『異邦人』みたいな感じで」という要望があったそうだ。
言わずと知れた久保田早紀さんの名曲で、樽木さんのカヴァーもオリジナルとは別の世界観に引きずり込まれる。
昼に明かされなかった起用の経緯を夕で話され、ご本人曰く「芸能人の中にひとり旅人がいた」2020年の『TOKYO GUITAR JAMBOREE』にご出演された経緯にも話は繋がり、曲だけでなく伏線回収のようなMCにも酔いしれた。
旅人が唄う『異邦人』に、「何者だ?」と、名だたる芸能人達が舞台袖に集まってくる光景が目に浮かぶ。
『Tea house Sima 』の店長マユさんが樽木さんをイメージされた『樽木栄一郎ブレンド』はアッサムをベースにしたカルダモンのローズティーで、尖ったスパイシーさのあとに華やかなバラの香りが広がる。
樽木さんの出身地の広島県福山市はバラの産地でもあるそうで、大豆ミートのカツを挟んだガッツリ系のパンに負けない強い主張。
若い頃は「流し」で食べていた樽木さんだが、引っ込み思案では「流し」で生計は立てられない。
『菓子処 かしの』では、サーモンにモッツァレラチーズと野菜ぎっしりのキッシュに合わせた「べにふうき」。
渋みとボディ感がある紅茶はモッツァレラの甘味を引き立たせる。
それをいただきながら、先ほど仕入れたばかりの『樽木栄一郎ブレンド』の新鮮なネタをMCで握る姿に寿司屋の大将みたいだと思ったが、実際に寿司屋のカウンターの中でたったひとりに向かって歌われたこともあるそうで、その話にもジーンとした。
ひとりに向けての寿司屋のカウンターの中から一万人を超える両国国技館の大舞台まで、何処であろうと何人であろうと全力で歌う。
それが樽木栄一郎。
スイーツの盛り合わせには『菓子処 かしの』の代名詞である「kasino」。
『Tea house Sima 』ではマスカットの紅茶などもいただき、どちらのお店もわんこそばのようになくなったらどんどん注いでいただけるので併せて10杯ほど飲んだが、たくさん飲めちゃうのも紅茶の魅力のひとつ。
そして、アンコールのMCと『見上げてごらん夜の星を』でユキさんを泣かしてしまい、水分を取りすぎた私もこっそりともらい泣きしてしまった。
『Tea house Sima 』から『菓子処 かしの』に向かう途中、11月5日に樽木さんと宮川剛さんのデュオをお聴きした岐阜市の『Honky Tonk』に寄って、イエメン・モカマタリとニューヨークチーズケーキをいただいた。
チーズケーキの美味しさがアップしているように感じたので「レシピ変えました?」と、中本マスターお聞きすると奥さんの弥春さんが手を加えられたそうで、オリジナルはマスターによるレシピだったがどんどん改良されて原形をとどめないくらいに変わったらしい。
樽木さんのカヴァーみたいだなと思いながら、「ソロだとMCがデュオのときの2倍くらいになるのでMCの合間に曲を入れるといった感じですよね」と話すと「弥春さんが新栄のその灯ぐらしさんで初めて樽木さんのライブを聴いたとき、10人で満員の小さなお店で本当によくしゃべっていたと話していた」と、マスター。
「もしかして10人のほとんどが若い女性でおっさんがひとりだけいたライブですか?」と、私。
「そう言えばそんなこと言っていたかも」
「そのおっさん私です」
『Honky Tonk』に初めて行く1年以上前。
樽木栄一郎(vo.gt.talk) と書いていた。