
2025.9.13 伏見ミリオン座
『ふつうの子ども』公開記念舞台挨拶&サイン会
舞台挨拶 呉美保監督
司会 松岡ひとみさん
舞台挨拶で5歳と10歳の男の子を絶賛子育て中とお聞きして、上の子が映画の設定と同年代ということで、この年頃の子どもの生態系は熟知されているのだろう。
飾らない素直な唯士、意識高い系の大人びた心愛に感情の起伏が激しい陽斗、昆虫にやたらと詳しい颯真と天然系のメイなどなど、クラスのみんなが自然体でキラキラと輝いていて、魔法のような脚本と演出と編集。
前作『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が9年振りの監督作品ということは、出産後はずっと育児に専念されていて、その間に小学生の子どもとその親が一緒に観られる映画を撮ろうという発想が生まれたのではないかと思う。
子どもをターゲットにして大人の鑑賞にも耐えられるというよくあるタイプの作品ではなく、親と子がそれぞれの目線で楽しめて、鑑賞後はそれぞれの立場で話し合えるような作品に仕上がっている。

それはジブリ作品にも通じるコンセプトであって、鈴木敏夫プロデューサーからもオススメのサインがあった。
親子連れにカップルに老若男女、幅広い客層で埋まった客席を見て、「理想的」と、笑顔の呉監督。
質問コーナーでは女の子が手を挙げて劇中の心愛のようにしっかりとした口調で的を射た質問をされたが、聞きたいことはあっても手を挙げる勇気のないおっさんは実際に拍手をする勇気もないので心の中で拍手を送っていた。
彼女にとって一生心に残る大切な作品になったであろう。

伏見ミリオン座としてはふつうのポップだが、愛知県ではココを含めて2館のみでしか上映されていないのはふつうではないし、近畿地方では大阪、京都、兵庫でそれぞれ1館ずつってあり得ない。
まさに大人の事情ってやつでしょう。
今年のベスト級の傑作。

子どもの世界を描いているだけでなく、この親にしてこの子ありという関係性に、子どもと大人のガチンコでは子どもが光輝いていて、大人になるということは空気を読み知識や経験などいろいろと得ることであり、一番大切なものを失うことでもある。

パンフレットには4年1組全員への監督からの愛情が溢れていて、みんなクラスでなくてはならない存在。
役名や台詞がなくてもしっかりと演技をしている子どもたちにも注目して観ていただきたい。
その中でもメイちゃんの存在感はふつうではなかった。
唯士のことが気になっていて、唯士が心愛に好意をもっていることは気付いているのだろう。
キャベツ太郎のシーンは可笑しく可愛いが、そこはかとなく哀愁も感じ、「タカショウカフェ」は誘惑の目をしている。
長峰くみさんはこれから追っていきたい女優さんである。