necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

『もう一度 生まれる』 『還る』

 

2023.6.10 伏見ミリオン座

堀川湧気監督 『もう一度 生まれる』『還る』

 

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新型コロナウイルスの影響によって苦境に陥った飲食店やライブハウスなどの様子は報道で目にする機会は多かったが、銭湯の話題を見た記憶はない。

でも考えてみれば、銭湯はマスク対策や、間隔を空けて密にならないようにしたりとか、パーティションで仕切ったり、ましてやテイクアウトなどできないし、コロナ禍が落ち着くまでは休業するしかなく、最も影響を受けた業種なのではないだろうか。

映画の中でも休業期間が長引きやむを得ず閉店に追い込まれ、当たり前の日常を失った者たちがもう一度生まれる過程と、自分を生かしてくれた銭湯に感謝を込めて無心で清掃に没頭する眼差しに引き込まれた。

 

 

堀川監督曰く、配信ではなく映画館でぜひ音も聴いていただきたいとのこと。

お湯の流れる音、排水口に吸い込まれる音、ブラシでこする音等々、銭湯ならではのエコーのかかった音響は心地よく反響し、ボイラーが心臓なら動脈と静脈である配管でお湯は循環し、腎臓であるろ過機によってきれいになり、ボコボコと呼吸音も聞こえる。

生命力を感じる音と映像は、様々な角度から銭湯の細部や裏側まで捉え、これを観たらきっと銭湯に行きたくなる。

また、本作の元となった同時上映の『還る』は、銭湯の清掃員となった元プロレスラーを追ったドキュメンタリーで、大学の卒業制作として撮られたため、おそらく配信などでは観られないと思うので、貴重な機会であった。

 

 

この日の自転車での移動距離は53.5km、消費カロリーは1538kcal。

今年に入ってから自転車を漕ぐことを日常の中心としていて、日々汗と一緒にストレスも洗い流し、湯船にゆっくりと浸かって頭を空っぽにする時間のなんと有意義なことか。

空腹での食事が最高のご馳走であるように、疲労後の入浴は最高のご褒美である。

 

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こちらは廃業する銭湯をもう一度生まれさせる取り組みをされていて、何処もノスタルジックでそれぞれに特徴があり魅力的で、銭湯を目的地に旅をするのも面白い。

 

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その中で、監督とお話しさせていただいた時に名前が思い出せなかった『容輝湯』。

地下水を薪で沸かす、昭和の湯けむりが立ち昇る銭湯である。

ここで清掃を手伝っていた女性がお店を閉める話しを聞いて、愛着のあるこの場所を無くしたくないという思いから会社員を辞めて継業されたそうで、映画に通じる部分もある。

 

 

大御所監督の作品はメディアで紹介されるが、若手監督の作品は常にチェックしていなと見逃してしまう。

またひとり、堀川湧気監督というチェックすべき素晴らしい才能の若手監督を知ることができたが、こちらもチェックしている鶴岡慧子監督の新作『バカ塗りの娘』のポスターを見つけた。

 

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公開日はスマホの予定表に入力完了。