necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

秋田慎治 Jazz piano Concert in 薬師寺 食堂 (じきどう)

 

2023.6.11 秋田慎治 Jazz piano Concert in 薬師寺 食堂 (じきどう)

 

 

左から東塔 (国宝) 、金塔、西塔。

薬師寺は、東塔と対称的な位置に建てられた西塔の建築により、2 つの塔を備えた日本初の寺院で、創建時に建てられた西塔は1528年に火事で破壊されたが、1981年に白鳳時代(645〜710)の様式で再建され、鮮やかな赤と緑のこの塔は風化した東塔とは対照的で塔が当時どのように見えたか想起させる。

創建当時より残る唯一の建物である東塔の12年の歳月をかけた大修理が完了し、東塔・西塔特別公開の期間ということで、コンサートの前に拝観させていただいた。

塔内にはブッダの生活の様子を描いた 8 つの像があり、東塔の像は初期のシーンを描き、西塔は 35 歳の時に悟りを開くところから 80 歳で亡くなるところまでを描いていており、それを見ているとあらゆる執着心から解き放たれたように思えた。

 

 

奈良ご出身の秋田さん。

恒例のならまちセンターが使えないということで、代わりの会場となったのが薬師寺食堂 (じきどう)。

僧侶が食事をした建物であり、仏教儀礼なども行われたそうだ。

「みなさんから凄いと言われるけど、僕が凄いのではなくて、この場をつくっていただいた方々が凄いだけです」と秋田さん。

もちろん、秋田さんだからこその企画でもあり、両者の想いが重なった。

 

 

広い食堂で満員御礼の大盛況に実行委員長の三馬さんも充実の笑み。

食堂に決まった経緯をお聞きすると「いろいろありまして.....」と、かなり大変だったこともお察しでき、安堵の笑みも混じっている。

 

 

三馬さんと一緒に企画された原田さんが「遠くからありがとうございます」と、受付で笑顔で迎えていただいた。

 

 

セールスに執着することなく、50歳の節目に今を残しておきたいと制作された『Sinserely Grateful』。

ブッダの一生までとはいかないが、MCではピアノを弾きを始めた奈良から大阪に住み、ニューヨークでの修行、一番長く住んでいる東京での現在まで語られ、因みに前日はビルボードライブ横浜で相田翔子さんとのリハだったそうで、羨ましいという煩悩が頭を巡った。

曲目を決めずに始まったコンサートは、ニューアルバムからのナンバーを散りばめながら、『Georgia on My Mind』に始まり、中盤に『白鳳伽藍の歌』を挟んで、アンコールの『What A Wonderful World』まで、アルバムタイトル通りいつも温かく迎えてくれる故郷の人々とこの地への感謝の気持ちが込められているような選曲に思えた。

その音は天を貫く吉野杉の如く凛として、泥水の上に咲く蓮の花の如く清らかだった。

 

 

また、雨上がりの雨粒が蓮の葉の上できらきらと輝きながら転がる水滴の如く美しくもあった。

 

 

そして、酒粕で絶えず乳酸発酵している奈良漬けの如く熟成した大人のコンサートであった。

帰りに薬師寺の前にある『本家寿吉屋』でオススメされた薬師味噌を購入。

 

【本家寿吉屋】薬師味噌narawashi.jp

 

お店の撮影許可をいただくと、買い物中のお客さんと店員さんが映えるように購入中のポーズを取ってくださり、ご協力ありがとうございました。

最強のごはんのお供、おいしゅうございました。