necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

異人たち

 

2024.4.23 イオンシネマ長久手 

『異人たち』

 


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大林宣彦監督『異人たちとの夏』は好きな作品で、山田太一さんの原作小説は未読。

子供の頃に死別した両親とお盆の間だけ再会するというノスタルジックな作品のイギリス版リメイク。

 


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シナリオライターの主人公は12歳の頃に交通事故で両親を亡くし、ひとりで住むマンションには他の住人はひとりだけで、その人物とお互いの孤独を埋め合い、亡くなった両親に何度も会いに行きやがて別れが来るという大まかな設定は大林作品と同じだが、同じマンションの人物が異性から同性に変わりテーマは全く別物になっていた。

原題は『All of Us Strangers』で、直訳すると『私たちは皆見知らぬ人』となり、テーマとしては今年観た中で暫定No1の『夜明けのすべて』に近いものがある。

『夜明けのすべて』はパニック障害PMS(月経前症候群)によって生きづらさを感じているふたりが主人公だが、本作ではLGBTQによる生きづらさが濃密に描かれている。

今でこそLGBTQという言葉は浸透し理解も進んできているが、主人公が両親を亡くした当時の時代背景としてはAIDSが大きな社会問題になっていて、とてもゲイであることを告白できるような時代ではなかった。

 


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お盆と似た風習もあるクリスマスの時季が物語の背景になっていて、家族でクリスマスツリーの飾り付けをしていると、テレビから Pet Shop Boys の『Always On My Mind』聴こえてきて口ずさむ。

80's はもろ世代で、Pet Shop Boys のふたりがゲイであることはよく知られているところである。

 


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エンディングに流れる Frankie Goes To Hollywood の『The Power Of Love』。

こちらもメンバーがゲイであることを公言していて、デビュー曲『Relax』ではゲイセックスのことを歌っている。

このMVは映画館へ足を運ぶ前に観られることをオススメする。

異人たちとの夏』の両親はあの世からこの世に来て姿をあらわしたが、『異人たち』での両親は主人公の頭の中で作り上げられた存在なのかも知れない。

そう思いながら大林監督と山田太一さんが客席でニコニコしながら観ている姿を想像した。