necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

『のさりの島』山本起也監督ドキュメンタリー作品特集上映

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2021.7.23 シアターカフェ

『のさりの島』山本起也監督ドキュメンタリー作品特集上映

『ジム』『ツヒノスミカ』

 

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『ジム』

シアターカフェのオーナー、江尻さんから「ジムはブルーが好きなら絶対に気に入ると思いますよ」と、オススメしていただいた。

どちらにしても伺がう予定だったが、ブルーは今年前半のマイナンバーワンを争う作品なので山本監督とは関係ないところでハードルは上がった。

 

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川崎市のとあるボクシングジムを舞台に、そこに集まる若者たちの姿を追ったドキュメンタリー。22歳でジムを立ち上げた北澤鈴春と、ジムに通う若者たちの不安と希望を映し出す。山本監督デビュー作。

(MOVIE WALKER PRESSより)

 

鑑賞後、江尻さんに「おっしゃる通りでした」と、上がったハードルを余裕でクリアしたどストライクの作品だった。

シャドーボクシングのくだりや、同じジムの仲間の勝利を喜べなかったり、ボクシングを続ける理由など、確かにブルーと重なる部分は多い。

ブルーの吉田監督は元ボクサーであり、山本監督は撮りたい被写体に接近するためボクシングジムに入門してプロテストにも合格している。

実際に拳を交えた経験のある者の目線は経験のない者とは違うのだろう。

 

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監督トークで印象に残ったのは「ドキュメンタリーは撮りながらシナリオを書いていきラストショットを探す仕事」という言葉。

足かけ6年間ずっと手探り状態で、途中の2年間はまったく撮影をしなかった期間もあり、今どこを歩いているのかもわからないというドキュメンタリーの怖さも知り、泣きながら撮ったというラストの試合のシーンはこれまで数々観てきたボクシング映画で比べるものがないくらい圧倒的だった。

いや、ボクシング映画に限らず、すべてのスポーツを題材にした映画の中で、と言い換えても過言ではない。

リングに立つボクサーだけでなく客席で見守るボクサー達も監督も、もがき苦しみ辿りついたラストシーンだからこそ。

2003年の作品だが、当時名古屋では公開されなかったそうなので、これを見逃がすのはもったいなさ過ぎる。

 

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『ツヒノスミカ』

 

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10数年前にじいちゃんを亡くし、ずっとひとりで住んでいたばあちゃんが、寂しいと言った・・・
その家に、ばあちゃんは、ひとリで住んでいた。毎朝、2枚のパンと納豆、それにリンゴを絞ったジュース。何十年も淡々と続けられた、変わらない暮らし。その家が取り壊される。家中に山積みになったガラクタ。それは、この家に流れていた時間の証。「それを捨てられちゃ困る。死んでも捨てられない」と、ばあちゃんは呟く。解体される家。ひとつ物を捨てる度に、ひとつの時間が消えてゆく。ささやかだけれど、慈しむように営まれたひとつの歴史の終わり。前作『ジム』では、多摩川沿いの小さなボクシングジムの若者たちの姿を見つめ続けた山本起也監督の新作は、ばあちゃんの家の終焉を愛おしむように見つめた、ひと夏の小さなレクイエムとなった。

(公式サイトより)

 

『ジム』が『ブルー』好きにオススメなら、『ツヒノスミカ』は現在公開中の山本監督最新作『のさりの島』がお気に入りの方にオススメである。


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「のさりの島の艶子さんは実の祖母のマツさんをイメージされたのですか?」と質問をさせていただくと、「ちょっと近いですね」「近くなっちゃった」と、山本監督。

わざと近づけたわけではないが、意図せず近くなったようだ。

商店街でお店をやっているという設定もそうである。

被写体との関係性が独特で、これぞドキュメンタリーだと思っている伊勢真一監督の『奈緒ちゃん』と同じ空気が流れている作品だと思ったらカメラマン(内藤雅行氏)が同じ方ということだった。

最初はカメラがあることに違和感をもっていたおばあちゃんが、徐々にカメラマンの内藤さんと仲良くなって、自分が何かをすれば内藤さんが助かるのか、というような意識に変わり、その関係性の変化を撮っていくのがドキュメンタリーであるという監督の考え。

確かに、ありのままを撮ればそれはドキュメンタリーではなく、記録映画になるのではないか。

観客としても勝手におばあちゃんとの関係性が出来てきて、今日はお客さんが来なかったというシーンには誰か行ってやれよと思い、90歳にして手すりを持たずにお店の階段を駆け上がっていくシーンにはスゲーと声を掛けたくなる。

ドキュメンタリーでなければそうはならない。

 

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上映後に監督が「刈谷に行く前に寄りましょうか」と提案され、その時点では確定ではなかったが、どうやら7月25日(日)の13時からの『ツヒノスミカ』の上映前の舞台挨拶が決まったみたいだ。

刈谷日劇での『のさりの島』はこれからの上映だが、シアターカフェは25日で終了する。

なので私のオススメは、25日はシアターカフェで監督の舞台挨拶後『ツヒノスミカ』を鑑賞して、監督のおばあちゃんのイメージを持って、後日に刈谷日劇で『のさりの島』を鑑賞する。

『のさりの島』がより楽しめるはずだ。

渡辺翔太&梅井美咲 Live North Bird

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2021.7.11 名古屋カワイコンサートサロン『ブーレ』

渡辺翔太(pf) 梅井美咲(pf) 

オープニングアクト伊藤天音(pf)

 

集合時間を5分遅刻して会場に到着すると『Smile』が聴こえてきた。

15時30分まで調律の予定で、調律が終わったらすぐにリハーサルができるようにと思って15時集合にしたのだが、15時前にお店も出演者も準備万端なのにひとりだけ遅刻して申し訳ない。😿

 

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 6月24日にミスターケニーズで溝口恵美子さんと翔太さんのDUOでお聴きして、改めてオリジナリティ溢れる翔太さんアレンジの素晴らしさに心抉られ、溝口さんの歌声に心奪われた。

あまりジャズには馴染みのないお客さんが来られることも考慮して、主催者の特権で1曲だけリクエストをお願いした曲である。

ロピアノでも音の厚みとバリエーションの豊かさを感じた翔太Smileは、2台で奏でることによりアレンジの魅力は倍増以上で、ソロの時には見られない飛びっきりの翔太スマイルも印象的だった。

 

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                         photo by yasunari akita

 

オープニングアクトと1stステージの動画は私の不手際で手前の映像が切れてしまい、美咲さんと天音さん、ゴメンナサイ😿

名古屋では初体験のあんかけスパを楽しみにされていた美咲さん。

リハ中に「お昼にあんかけスパ食べました?」とお聞きすると、緊張して朝からオロナミンCを飲んだだけだそうだ。

リハ後に控室でパンでもつまんでもらおうと地下に降りていつものヴィドフランスに行くと、あれ?チーズ料理のお店に変わっていた。

辺りを探すも軽いものをテイクアウトできるようなお店を見つけらず、リサーチ不足を反省😿

『ブーレ』でのコンサートの際には今まで毎回オタスケマンに手伝いをお願いしてきたが、コロナ禍ではご無理は言えず、ひとりで右往左往。

いろいろな不手際があり、ヤッターマンならぬヤッチマッタマンになってしまった😿

 

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                                                        photo by yasunari akita


お二人のオリジナルを中心とした構成だったが、『Smile』がしっかり作り込んだアレンジなのに対し、何も決めずにもう1曲スタンダードをやろうという話になり「明るめの曲がいいかな」という翔太さんの言葉に美咲さんがこの曲はどうですかと提案され、『On Green Dolphin Street』に決まった。

曲が決まったら「あとは本番のお楽しみ」と翔太さん。

本番では、白紙の五線譜に美咲さんが鍵盤で音符を書き込むと、そう来たかといった表情の翔太さんがそれに呼応し、演奏が終わると「怖い」と美咲さん。

それは翔太さんの反応が恐ろしいほど凄かったのか、自分の意図しない方向に行く感覚をそう表現されたのか。

「こんな On Green Dolphin Street になるなんて...」と、思わず美咲さんの口から漏れた

ジャズの神髄が奏でられていた。

 

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ピアニストだけでなく、エレクトーン奏者としても全国的に知られている天音さんと美咲さん。

その関係でSNSでは以前から繋がっていたが、念願の初対面。

言葉を交わすのは初めてでもお互いの音は昔から知っているので、十年来の友人のように和気あいあい。

 

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                                                    photo by yasunari akita

 

オープニングアクトでは、天音さんお得意の『Snarky Puppy』の曲を弾くものと思っていたところ、『There will never be another you』から『Waltz For Ronko』という美しくしっとりとしたメドレー。

主役を迎えるための選曲なのだろう。

会場は心地よい空気となった。

 

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どの曲をYouTubeにアップしようかとお二人に選曲をお願いし、どれもこれも甲乙つけがたい中、真っ先に決まったのが梅井さんのオリジナル『Teeny-weeny-socks』。

もともと2台ピアノ用に書いたのではないかと思うくらいピタリとはまっている。

リハで翔太さんから「ここはどうやって弾いてるの?」と聞かれた美咲さんがその部分を弾くと「なるほど」唸り、「僕はこうやって弾いていた」と、お互いに刺激と発見と教えがあって、リスペクトし合っている様子が演奏からも聴き取れる。

 

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                                                                  photo by yasunari akita

 

翔太さんのオリジナルでは『君を抱き寄せて眠る時』の変拍子バージョンで演奏前は「ぜんぜん君を抱き寄せて眠れないじゃないですか」と美咲さん。

でもキメキメの演奏のあとは「抱き寄せられました」とニッコリ。

 

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タイトルを『Live North Bird』としたのに、まさかのやらないパターン?まぁそれもいいか、と思っていたら、アンコールで弾いてくれました『North Bird』。

北に向かう鳥が群れをなし、連なって飛んでいく姿は力強くて美しい。

音楽の旅路も過酷であるが、またひとまわり大きくなってここに戻って来ていただけたらと思う。

 

セットリスト

伊藤天音(オープニングアクト

There will never be another you (Harry Warren)

Waltz For Ronko(小曽根真

渡辺翔太&梅井美咲

Goodbye and Hello(渡辺翔太)

Smile(Charlie Chaplin)

Teeny-weeny-socks(梅井美咲)

On Green Dolphin Street(Bronisław Kaper)

小さな空(武満徹

Wall(梅井美咲・新曲)

Color of Numbers(渡辺翔太)

君を抱きよせて眠る時(渡辺翔太)

Epilogue(梅井美咲)

North Bird(渡辺翔太)

SQUID TREE

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2021.7.17 STAR☆EYES  

渡辺翔太(pf) 佐藤龍一郎(b) 杉山寛(ds) Guest 窪みさと(tp)

Sit-in 平手裕紀(pf,flh) 坂井彰太郎(as)

 

7月8日に得三での『Sup』のライブ終了後、7月11日に主催した『Live North Bird』のチラシを配っていると、カウンター席で受け取っていただいた方から「このライブ行きたいと思っていました」と言っていただき、Facebookで繋がらさせていただいた。

あとで彼のページを確認すると、ベーシストだった。

佐藤龍一郎さん?存じ上げないなぁ?

そのページをつらつら見ていると、どうやら地元は福岡で、3年前から仕事の関係で愛知に来られたらしく、17日にはスターアイズでのライブもある。

しかも、地元に戻られるため、17日は愛知にいる間での最後のライブになるようだ。

でも、その日は鳥越啓介さんのベースソロの夜の部を予約していた。

 

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約束通り7月11日の『Live North Bird』に足を運んでいただき、軽くご挨拶をさせていただいたが、自分がベーシストであることやスターアイズでライブがあることには一切触れずに、ライブ中に時々彼の表情を見るとピアノの音色にどっぷりと浸っている様子がまざまざとわかり、楽しんでもらえている様子だった。

ライブ終了後も「良かったです」とお声を掛けていただいたが、自分の事は何も言わず、なんかカッコいい人だなぁという印象が残った。

どんなベースを弾かれるのか聴いてみたくなった。

 

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17日は鳥越さんのライブを昼の部に変更し、夜はスターアイズに足を運んだ。

お店の黒板には渡辺翔太トリオとなっていたが、トリオ名は佐藤さんがネーミングされた『SQUID TREE』。

メンバーは『Live North Bird』で梅井美咲さんと2台ピアノを奏でていただいた翔太さんと、そのライブに行きたいと言っていただいたが同じ時間にラブリーでライブあったため来れなかった杉山さんに、ゲストでタイミングよく名古屋に来ておられた佐藤さんの大学のジャズ研の後輩である窪さんといった面々。

 

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メンバーそれぞれのオリジナルを中心に、佐藤さんのプレーは、メローにジャジーにファンキーにウッドとエレベを使い分け「質実剛健」と言った印象で、MCからは「謙虚・感謝」の精神が受け取れた。

1stラストで演奏された翔太さんのオリジナル『Time-lapse』は佐藤さんの名古屋での3年間を駆け足で回想するような選曲。

「パチ、パチ」。

休憩時間に佐藤さんのところへご挨拶に行くと「来てもらえるとは思っていませんでした」と笑顔をいただいた。

2ndの1曲目スタンダードナンバーの『I Remember You』では平手裕紀さん(pf)と坂井彰太郎さん(as)がシットインし、翔太さんはキーボードという豪華な顔ぶれでの大騒ぎ。

ナイスシャッターチャンス、いただきました。

翔太さんに触発されて書いたという佐藤さんのオリジナルは、いい曲を書こうという雑念が払われ、気張った感じのない佐藤さんの素を感じる牧歌的な名曲。

『Grateful』とは人との繋がりによってこの場に立てることへの感謝の意。

 

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アンコールでは再び平手さんと坂井さんがシットインし、今度は平手さんがフリューゲルホルンを手にしてアゲアゲのサンバ。

最高にご機嫌な音と音楽によって繋がった友情に予定を変更して来てよかった。

今度は翔太さんと杉山さんが遠征して福岡で『SQUID TREE』のライブをされるそうだが、絶対に盛り上がること間違いなし。

佐藤さん、また名古屋でライブをする機会がありましたら今度は気兼ねなく連絡してくださいね。

鳥越啓介ベースソロライブ

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2021.7.17(昼の部) JAZZ茶房 靑猫 鳥越啓介 (b)

 

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靑猫の扉を開けると、普段はスペースの関係でCDラック側がステージになるのだが、この日はスピーカー側にステージが設けられていた。

CDラック側だとカウンター席の方向へ音が流れてしまうので、反響を考えると断然こちらの方が響きが良い。

 

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後ろの席でゆったり聴こうと開演時間5分前に滑り込むと最前列右手の席しか空いていない。

そこに座ると手を伸ばせば鳥越さんに届きそうな距離。

 

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コントラバスでソロツアーをやってしまうのは鳥越さんくらいだろう。

しかもおとといの京都、前日の追加公演の名古屋、そして今日の3日間とも昼夜2講演というハードなスケジュール。

 

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ライブ1曲目に披露していただいた『Wish for Peace of Mind』のショートバージョン。

昨年の12月31日、新型コロナウイルスの1日の感染者数が1000人を超える中で平和への祈りを込めて書かれたそうで、ラストに弾かれた『Everybody Loves Somebody Sometimes』まで、コントラバスの深い音色は愛に包まれていた。

ループマシンやエフェクターを駆使した中、アンコールはアンプラグドでの生音。

それに耳を澄ますと、窓の外で梅雨明けを告げるセミの鳴き声は心地よい音量でコーラスをしているように聴こえた。

おそらく他の会場でも生音で弾かれているであろうが、反響はもちろん、静寂さを演出した雰囲気も音となっていた。

 

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鳥越さん曰く「バズっている」小柳ゆきさんとの動画。

圧倒的な歌唱力を引き立てるピアノとベースが凄まじくカッコいい『廻廻奇譚』のジャズバージョン。

次回の名古屋は10月3日(日)に日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールへ、小柳ゆきさんの全国ツアーのメンバーとして来られるとのこと。

そうだと思いだして、録画していたNHKの『SONGS』の中で、椎名林檎さんと共演された(林正樹さん(p)・みどりんさん(ds))『TOKYO』を久しぶりに観返したが、こちらも恐ろしくカッコいい。

鳥越さんは超一流のボーカリストからも信頼が厚い。

と考えていたらFacebookから7年前の思い出のお知らせが来た。

 

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北欧の歌姫、シゼル・ストームとの共演はもう7年前なのか。

月日の経過の速さに焦りながら良い機能だと思った。

その日の鳥越さんはスタイリッシュでセクシーで、そして怪しげだった。

Sup

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2021.7.8 TOKUZO 『Sap』

清水行人(gt) 渡辺翔太(key) 熊代崇人(b) 橋本現輝(ds)

 

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新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置による時短営業で18:00スタートとなり、2ndステージから滑り込んだ。

DUOライブを何度かお聴きしている行人&翔太の名古屋組と、7月11日に『Live North Bird』で翔太さんとの2台ピアノコンサートでご出演していただく梅井美咲さんとトリオを組む関西出身組との味噌文化と粉もん文化が融合したカルテット。

昨年8月にここであった初ライブからほぼ1年、久しぶりに足を運んだが、ライブの度に新曲が増えているらしく、アルバムのリリースも期待してしまう。

 

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クールな行人さんにファニーな翔太さん、アヴァンギャルドな崇人さんとエキサイティングな現輝さん、それぞれのソロも満載で、ときにはジャジー、ときにはスモーキー、サイケなソウルに彩られた、若さと成熟さを兼ね備えた音ぢからはハンパなかった。

  

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本日のまかないスパゲッティを注文するとクリーミーな梅味だった。

うめ~!

5月8日に予定されいた、ミスターケリーズでの梅井美咲トリオライブで、梅ちゃんのことをご挨拶するつもりでいたがコロナ禍でライブが流れてしまい、コンサート前に直接ご挨拶もできて良かった。

その振替公演が8月13日(金)に決定して、なんとその翌日の8月14日(土)に名古屋での初ライブがスターアイズで決まったので、2台ピアノを聴いていただいたあとにトリオも是非!

 

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梅井美咲トリオのデビューアルバム『humoresqu』。

橋本現輝さんとDJペニーさんが立ち上げられたレーベル『Brilliant Works』の第一弾。

若手のミュージシャンを世に出すことを目的のひとつとして立ち上げられたそうだ。

ダイヤの原石を光り輝かせる仕事という意味なのか。

まず一目してジャケットが輝いていて、CDショップでこれを目にしたら購入せざるを得ない。

このジャケットで中身がつまらないなんて、考えられない。

 

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おそらく梅井さんが18歳のときのレコーディングと思われるが、10代でこれを弾くか?

ティグラン・ハマシアンが10代でリリースした『World Passion』に匹敵する衝撃を受けた。

10代の意気込みは傑作となって歴史に残る。

そのアルバムでドラムを叩いたアリ・ホーニグの変則スタイルと現輝さんのスタイルがちょっと似ているなと思って聞いてみたところ、アリのことはあまりフォローしていないそうで、ゴスペルドラマーの影響を受けているとのことだった。

ジャズとはスティックの持ち方からして違っていて、一見変則的に見えても実は理にかなった動きだそうだ。

熊代さんのセンスは動画でもわかる通りで、世界に羽ばたくべきトリオ。

 

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猫カードについてご質問を度々いただきますが、私の主催したライブに来ていただいたときにお渡ししているカードで、このブログをたまに見ていただけるならその場でもお渡ししているので、基本どなたでも猫カード価格でご入場できて、顔を覚えている方はカードがなくても大丈夫というゆるいカードです。

学生証を提示いただければダブルでキャッシュバックとなります。

まだお席に余裕がありますので、よろしければ。

Morphine Desert -towa kitagawa trio-

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2021.7.2 STAR☆EYES  Morphine Desert -towa kitagawa trio-

北川とわ (pf) 織原良次(fretlessbass) 岩瀬立飛 (ds)

 

北川とわさんによるニュープロジェクト名古屋初お目見え。

 

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4月に行われた鈴鹿どじはうすでのTrussonicラストツアーの最終日。

この日もこのトリオでなければ成し得ない完成度の高い圧巻の演奏を聴かさせていただいた。

中でも余裕の笑みを浮かべながら超絶技巧を繰り出していた治郎さんは、エレクトリックベース界におけるヒエラルキーの最上階層プレーヤーで、実績、テクニック、人間性など、レーダーチャートを見ても非の打ち所がない。

熱望して一緒に活動してきた大きな支柱をなくして展開していくニュープロジェクトは、自身の音楽をより掘り下げるために必要なステップなのかと思う。

  

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どじはうすの帰りにラーメン横綱によると、さっきまでライブ会場で一緒だった山田さんが先にズルズルとやっておられた。

久々の横綱で注文に迷ったので山田さんに何を食べているのかお聞きして同じものにしたが、大盛りはちょっときつかった。

 

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動画のドラムスは吉良創太さんだが、立飛さんとのコンビネーションもバッチリだった織原さん。

ジャコ・パストリアス張りの高速パッセージとフレットレスならではの叙情的な旋律はモルヒネに含まれた中毒成分。

 

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コロナ禍による20時までの時短営業により、19時スタートから 18時15分スタートの1ステージに変更となり、終演は19時45分。

通常ならばほぼライブを開始する時間である。

セットリストの変更も余儀ないところで、ライブ中盤にニューアルバム『Earth Prayer』から全5曲が続けて披露され、ドラスティックでありインクレディブルなプレーは中枢神経を直撃し、痺れた。

 

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そのTrussonicの5枚目にしてラストアルバムとなった『Earth Prayer』。

とかく変態的な変拍子や演奏力の高さが話題となるが、アルバムテーマといい、洗練された旋律といい、曲の構成力といい、どれも素晴らしく5曲でも物足りなさを感じない、超オススメの最高傑作。

7月7日より全国流通され、サブスクでも聴けるので是非御一聴あれ。

 

ultravybe.lnk.to

 

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とわさんの名古屋初ライブもスターアイズだった。

その時ひとりで道に迷って困っていたときにタイミング良く「初もの好きブラザーズ」の山田さんからFacebookのお友達申請が来て、承認ついでに道を聞いて無事たどり着いたそうだが、地下鉄覚王山駅の出口から1回左に曲がるだけでいいので、どうしたら迷うのか?道順を確認しなかったのか?と、首をかしげた。

おそらく考える前に行動してしまうタイプなのだろう。

治郎さんと一緒にやることになった経緯もそんな感じだった。

フレットレスベースの織原さんと、初めてのアコースティックトリオに挑むウッドベースの小美濃さんとは楽器にしてもプレースタイルにしても対照的な存在のように思うが、その道の先に何があるのか、一番楽しみにしているのはとわさんご本人であろう。

もし道に迷ったら、その時はまた山田さんに聞けばいい。

のさりの島

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2021.7.1 名演小劇場 山本起也監督 『のさりの島』

 

youtu.be

 

「もしもしばあちゃん、俺だけど…」

オレオレ詐欺の旅を続ける若い男が、熊本・天草の寂れた商店街に流れ着いた。老女の艶子は、若い男を孫の“将太”として招きいれる。若い男はいつの間にか、“将太”として艶子と奇妙な共同生活を送るようになり、やさしい“嘘”の時間に居場所を見つけていく。

地元FM局のパーソナリティを務める清ら(きよら)は、昔の天草の8ミリ映像や写真を集め、商店街の映画館で上映会を企画する。ひょんなことから“将太”も、上映会の企画チームに連れ込まれてしまう。賑わいのあった頃の天草・銀天街の記憶を取り戻そうと夢中になる清ら。かつての銀天街の痕跡を探す中で、艶子の持っていた古い家族アルバムに、“将太”は一枚の写真を見つける—

本渡の大火、焼け跡を片付ける町の人々、復興後の祭りの様子…。街に流れるブルースハープの音色と共に、スクリーンに映し出された天草のかつての記憶。

「将太さん、本当はどこのひとなの…」

(公式サイトより)

 

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“のさり”とは、いいこともそうでないことも、自分の今ある全ての境遇は、天からの授かりものとして否定せずに受け入れるという、天草の優しさの原点ともいえることば、だそうだ。

映画の中で“のさり”という言葉は一度も出て来ないが、映画の始まりからエンドロールが終わった後まで“のさり”の風が穏やかに流れていた。

先日ご紹介した『名も無い日』と同様に無口な作品であるが、その間にある無言の囁きこそに本質がある。

藤原季節さん演じるオレオレ詐欺をしながら渡り歩く若者は原千佐子さん演じる艶子の沸かした風呂につかり「あぁ〜っ」と気持ちよさそうに唸り、手料理には「うめぇ」と無心にぱくつく。

そして二人の奇妙な共同生活が始まり、ある日ある建物を訪れ、船の上からある物を無言で見つめる。

その表情は冒頭で電話をかけていた時のそれとはまったく違っていた。

 

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劇中に出演していたかかしが名演小劇場に出張されてロビーでお迎えしていただいた。

もちろん無言ではあるがその表情は雄弁であり、鑑賞後に「良い作品をありがとうございました」と心の中で呟くと、「そりゃ良かった、また来てね」と言われたので「はい」と答えた。

作品の公開を待たずご逝去された原千佐子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

また会いに来させていただきます。

 

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音楽は谷川賢作さん、藤本一馬さん、小倉綾乃さんが担当されており、小倉さんは重要な役柄でご出演もされている。

ジャズファンならこの名前を聞いただけでも観たくなるだろう。

天草に吹く風のようなメロディが、天草の人情のような素朴な音色が、心に沁みた。

そして、シャッター街にぽつんと灯りがつく艶子が営むお店を楽器店にした理由がラストシーンで明かされる。

 

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カウンターには『のさりの島』公開記念 山本起也監督ドキュメンタリー作品特集上映のパンフレットが置いてあった。

 

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7/17(土)~25(日) ※火・水定休 ※7/23(金祝)監督舞台挨拶予定。

シアターカフェにて上映されるので、『のさりの島』を鑑賞後にこちらも是非。