
高松市で『HOLD UP MORNING』を鑑賞して『本を綴る』と『ジュンについて』の聖地巡礼をしたあと、徳島に移動して『道草キッチン』の聖地巡礼。
中江有里さん演じる桂木立は、都会で母親から継いだ小さな喫茶店を営む50歳の独身女性。
街の再開発による立ち退きに健康不安が重なって将来を見失ってしまったある日、徳島県吉野川市から届いた相続の通知を切っ掛けに移住した先で、自分の過去や喪失感と向き合い、さまざまな事情を抱えながら暮らす地元の人々や、日本で懸命に生きるベトナム人たちと出会い、自然の恵みを生かしたベトナム料理を囲む温かな時間の中で、新たな一歩を踏み出す姿を描いている。
人口減少や人手不足が進んでいる徳島ではベトナム人をはじめとする外国人住人は地域社会を支える大切な存在になっていて、それは日本のどこにでもある社会問題の縮図であり、同じ土地で暮らす人同士が食卓を囲み、お互いを理解していく様子も丁寧に撮られていた。

希望と不安を抱きながら立が降りた鴨島駅。

立が泊まった HOSTEL OE。
駅から歩いて直ぐで駐車場も完備されている。
映画と同様に奥さんがベトナム人の若いご夫婦が経営されていた。

立が泊まった部屋に泊まりたい思い、和室でふとん2組の部屋をネット予約して、受付の際に映画の撮影で使われた部屋について尋ねるとビンゴ!だった。
ラッキー!



HOSTEL OE では、お洒落なラウンジに屋上からの眺めなど、スクリーンで観たいくつものシーンがそこにあり、白羽監督と中江さんのサインなど、映画が残していったものがいくつもあって、道草の世界にどっぷりと浸った。

HOSTEL OE の前の通りでは、圧倒的なスケールと熱気の徳島市内の阿波踊りとは違う、地域に根差した温かい雰囲気が魅力で観客との距離も近い鴨島阿波踊りのシーンが撮られた。

今年の徳島市の阿波踊りは8月12日~15日、鴨島阿波踊りは毎年8月16日とのこと。
16日は日曜日なので大いに盛り上がりそうだが、暑さ対策のため例年の17時スタートが18時からと1時間短縮されたそうだ。
HOSTEL OE のご主人からいろいろと阿波踊りのお話しを伺って、生きているうちに一度は体験したいと思ったが、16日はバンテリンドームへ中日×巨人を観戦に行くので、来年また来たいと思う。


商店街にある赤い鳥居をくぐって路地に入ると、昭和のノスタルジックな香りが漂う稲荷通りがあり、暫しのタイムスリップを楽しんだ。
左側の並びの一番奥にある焼きそば屋さんが、立が始めたベトナム料理店として撮影された。

聖地巡礼とは別に行きたいと思っていたところがあり、そこは『moku moku note Bakery&Cafe』という山の中にあるお店。
2008年に徳島の美郷に移住されたオーナー夫妻が約13年かけてセルフビルドで理想のお店を造られ、国産小麦やライ麦、有機栽培の素材、全粒粉などにこだわって自家製酵母を使い薪窯で焼いていて、凸凹六人家族と音楽に文学という、心をそそるキーワードが満載だし、移住というキーワードは道草キッチンと通じる。

熱中症の危険を感じる猛暑だったので車で行くことも考えたが12kmちょっとなので大丈夫だろうと、折りたたみ自転車を車から降ろして漕ぎはじめてからしばらく、登り坂にさしかかると早々に後悔した。
思っていた以上に続く登りと猛烈な日差しがみるみるうちに体力を奪い、何度も足を止めてはコンビニで買っておいたお茶の冷凍ペットボトルで、手のひら、首筋、脇の下、足の付け根などを冷やし、繰り返し深呼吸をしてしっかりと酸素を取り込んだ。
でも、立っているだけでクラクラする。

豊根村にある本場ドイツパンの大人気店 ベッケライ ミンデン への道のりに匹敵する苦行。
この苦行を乗り越えた先に美味しいパンが待っていることを心の支えに漕ぎ進んだ。

ふらふらになりながらやっとの思いで駐車場に到着。
駐車場の前の小屋の中にあるのはパンを焼く薪だろう。
期待が高まる。

ん? CLOSED?どういうこと?

体力と一緒に思考力もなくなり、扉の前にへたり込んで30分間ほどぼんやりと絶景を見ていた。
ようやく脳に酸素がまわってきて、スマホでお店のインスタを見ると勝浦町のマルシェに出店されていることがわかり、リベンジを誓って「よっこらしょ」と立ち上がった。
帰り道は行きよりもっと苦行だったが、まだ聖地巡礼は途中である。

立がお遍路さんと出会う川島潜水橋。
映画では車が橋を渡るシーンはなかったので思っていたよりも細く、ちょうど車が1台通れるくらいの橋幅。
向こう岸から車が来ていたら橋の手前で待って交互に渡っている様子を見ていると、何かほのぼのとした気持ちになった。
立のように自転車で渡りたかったが、車と自転車のすれ違いも無理なので用もないのに渡るのは迷惑かと思いやめておいた。

ロケ地マップの表紙にもなっていて映画の肝となる長楽荘。
スクリーンでは立の良き理解者である今陽子さん演じる高橋カズの自宅として登場していた。
犬山市の明治村や神戸市の異人館のように観光地にある建物かと思ったら、線路わきの普通の住宅地の中でぽつんと異彩を放っていた。
立とカズが乾杯するシーンは和館の縁側で撮られており、手前が洋館、奥が和館となっている。
クライマックスのシーンはここで撮ったからこそ映えていたと思うので、白羽監督はよく見つけられたなぁ。


鴨島駅の駐車場に車を停めていたので、鴨島に戻ると HOSTEL OE の前にちょうどご主人が出て来られた。
ご挨拶をすると、何処に行ったのかを聞かれたので「山の上の薪窯のパン屋まで行ってきました」と言うと「えっ、美郷のパン屋?この自転車で?これ電動?」「人力です」と答えるとビックリしてみえた。
OE の1階は『青』という焼肉屋さんで、昨日はここで夕食をいただいて最高に美味しかった。
ご主人のお父さんのお店なのかな?
宿泊客のみ定食メニューを注文できるので、お得に食べることもできる。

その焼肉屋の入り口で奥さんが作られたドーナツが販売されていてどれも美味しそう。
現在カフェを建設中で秋ごろにオープン予定とのこと。

名古屋のお土産のお礼にと、ドーナッツを5つも袋に入れていただいた。
カフェがオープンしたらまた来たいし、パン屋のリベンジもあるし、ということで12月に2泊予約をお願いした。
もちろんあの部屋で。
「人生はいろんな人と出会って、また会いたいという気持ちがつながっていくものなんだ」
予告編にもある立の言葉。
映画のテーマのような聖地巡礼となった。



















































