necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

『リング・ワンダリング』公開記念!金子雅和監督特集上映

f:id:necojazz:20220410001334j:plain

 

2022.4.9   シアターカフェ

『リング・ワンダリング』公開記念!金子雅和監督特集上映

舞台挨拶 金子雅和監督 松岡龍平さん (『水の足跡』『アルビノの木』主演)

 

f:id:necojazz:20220410001713j:plain

 

センチュリーシネマにて『リング・ワンダリング』を観賞。

現在と過去がリンクしたり、現実と漫画の世界がリンクしたり、という話は数々あるが、そのどれもが絶滅したニホンオオカミを中心としてリンクしていき、ラストカットの映像が引いていくとメビウスの輪のように繋がる構成は見事。

 

www.youtube.com

 

金子監督作品は初鑑賞で、期待以上の作品にシアターカフェでの『金子雅和監督特集上映』がより楽しみになった。

 

f:id:necojazz:20220410001355j:plain

 

『金子雅和監督特集上映』では、短編作品 (『ショウタロウの涙』『水の足跡』『逢瀬』)と、監督初の長編作品『アルビノの木』が制作順で上映された。

22年前に撮られた『ショウタロウの涙』からすでに幻想的で生と死を往き来するような『リング・ワンダリング』の世界観の原型ができており、それ以後の4作品はそれに加えて動物が物語のカギを握っているという一貫性を持っている。

 

www.youtube.com

 

もう一つの金子作品の特徴は自然の幽玄さを描いているところ。

『リング・ワンダリング』を鑑賞したときにロケーション選びに相当な時間と労力を掛けていることを感じたが、それは他の作品にも共通していた。

以前、深田晃司監督が舞台挨拶でキャスティングができれば監督の仕事の80%終わったようなものみたいなことを話されていたが、金子監督の場合はロケハンが監督仕事の大きな部分を占めている。

『水の足跡』での川のシーンでは地元の人も知らない場所を見つけて、その後地元の人達が遊びに行く場所になったらしい。

映像になっていない場所をどれだけ歩かれているのだろう。

 

f:id:necojazz:20220410003423j:plain

 

構造物とは違って自然を相手にする場合はいくらロケハンをしても日々刻々と表情を変えてしまうので、そのあたりのご苦労をお聞きしたところ、ロケハン後3年を掛けていつ撮影するかを決めておられるとのことで、その拘りと妥協のなさには驚くしかない。

それでもすべて思い通りの映像が撮れるわけではなく、人間がコントロールできないからこその自然の思いも寄らない凄さもスクリーンに映し出され、金子作品は絶対に大きなスクリーンと迫力ある音で観ることをお勧めする。

 

theatercafe.blog.fc2.com

 

シアターカフェでの『金子雅和監督特集上映』は4/14(木)~4/17(日)までで、愛知県内では5/6(金)~刈谷日劇で『リング・ワンダリング』が上映され、5/8(日)には金子監督の舞台挨拶の予定があるそうだ。

私は『リング・ワンダリング』を鑑賞後に『金子雅和監督特集上映』という順番で監督のルーツを探る感覚だったが、過去作を観てからだと『リング・ワンダリング』はより腑に落ちてくると思う。

細かいデティールもしっかりと作り込まれた『リング・ワンダリング』はリピーターが多く、32回観られた方や、県またぎで12日連続で観られた方も居られたとのこと。

東京で5回以上ご覧になられた方に何かプレゼントがあるというリピーターキャンペーンをしたところ、該当者が30人以上となってプレゼントが4つしか用意されておらず焦られたそうで、観るたびに新たな発見を楽しめる作品でもある。

もちろん私も刈谷日劇へ足を運ぶ予定である。