2020.12.13 Electric Lady Land
Penguinrush 望世(vo,gt) 真結(key) 浩太郎(ba,syn) Nariken(dr)
support 成瀬明(gt)
Electric Lady Land に足を踏み入れるのは、メジャーデビューしたばかりの THE BLANKY JET CITY (バンド名は当時) のライブ以来で、実に30年ぶり。
MCなし、アンコールなし、純粋な爆音が鳴り響き、きりもみ状態のまま落下していくような危うさだった。
フロアの強面達も腕組みをしたまま微動だにしない張り詰めた空気の中、テクニックを超えるロックの初期衝動の奇跡を目の当たりにした。
日本武道館やラストライブのフジロック (解散ライブの横浜アリーナは人気が出すぎてチケットを入手出来ず) などにも足を運んだが、あのライブだけは何とも比べられない。
あれから30年......外見は経年劣化と脂肪蓄積により着実にオッサン化が進んだが、内面は恐ろしいほど成長していない、冴えない私......
Electric Lady Land は2007年に移転しているので、このハコでのライブは初めて。
音響もライティングも素晴らしかった。
脳みそや内臓まで振動させる音響は絶対に配信では体験できないし、曲ごとに演奏とリンクしたライティングも配信とでは光の迫力と美しさがまったく違う。
会場全体が音と光で一体になるのだ。
『高鳴り』でのライティングは脈拍の動きのように感じた。
コロナ対策もしっかりとされていて、検温や消毒はもちろん、チケットは客側でもぎり、ドリンクコーナーは飛沫防止のカーテンとビニールの手袋、あらかじめメールで氏名・メールアドレス・電話番号・チケットナンバーなどの個人情報を送信しなければならない。
物販も全員一度外に出てから密にならないように配慮して行われていた。
さすが名古屋のロック系の老舗ライブハウスである。
本来ならば2月に開催されるはずだった "in motion"。
コロナ禍の影響で開催できない状況が続き、その間にリリースされたメジャーデビューアルバム『皆空色』のインストアイベントもことごとぐふっ飛び、リモートとなった。
当然、鬱積した感情もあっただろうが、それよりも音楽ができることへの感謝と喜びを受け取った。
何度も「幸せ」という言葉を口にされた望世さんの笑顔はこれまでのライブの中で一番印象的だった。
何が大切で何を信じていくべきか。
コロナ禍だからこそ見えてくものがる。
メジャーデビューの時にこれだけの事が起きれば、これ以上に怖いものはないだろうと望世さん。
何という前向き。
30年前の夜が初期衝動なら、この夜は逆境衝動。
逆境だからこそ起きたROCKのマジック。
自宅リモートでは決してマジックは起きない。
音楽好きでよかったと思えた冴えた夜だす。(会場に居た方しかわからないギャグだす)