2021.1.16
高浜市やきものの里 かわら美術館『bloom』『光』
www.takahama-kawara-museum.com
俳優ではなくカメラマンとしてお忙しい合間を縫って高浜市にお越しくださり、永瀬正敏さんが感じた高浜の日常をそのまま切り取られた写真展。
鬼師や菊人形師といった伝統や技をを継承する職人に、真っ直ぐ前を見つめる少女。
新型コロナの影響だろう、誰もいない遊園地に人影が見当たらない駅のロータリー。
雨に咲いた赤い傘。
二度と戻ることのない刹那の瞬間を永瀬さんの目を通して、自分の心に刻む。
ぜひ会場に足を運んで永瀬さんが心惹かれた何かを心に留めていただきたい。
作品は一部を除いて撮影できるが、ここに載せるのははばかるので、僭越ながら私の撮った中から、っぽいのをいくつかお目汚しさせていただきます。
写真展の前に関連企画として上映された河瀨直美監督『光』を鑑賞した。
永瀬さんは視力を失っていくカメラマン役で、劇中の中森雅哉の写真を観ているようでもあった。
映画の中で、視覚障がい者向けの音声ガイドをする美佐子 (水崎綾女) が雅哉に向かって「想像力がない」と感情を抑えられなかったのに対し、上司の智子 (神野三鈴 )が「本当に想像力がないのはどちらかしら」と言うシーンがあった。
写真展では視覚に障がいがある方の作品鑑賞を手助けする「触図」(立体コピー) も展示されていて、目を閉じて触ってはみたもののまったくイメージが浮かばず、視覚に頼らない方の手の感覚、音や言葉に対する想像力の深さに納得した。
これは実際に足を運んで触れなければわからない。
写真展との連動企画で刈谷日劇にて『永瀬正敏作品特集』が上映されていて、あとで寄ったところの入場料金が割引される。
かわら美術館の高浜港駅から刈谷日劇の刈谷市駅まで名鉄三河線で11分。
車でも15分程度と行き来しやすい。
この素敵な企画に感謝しつつ、9作品すべて鑑賞させていただく予定で、この日鑑賞した『二人ノ世界』は昨年のマイベスト10に挙げさせていただいた。
ベスト10に順位をつけなかったのはその時の気分によって順位が変動するからであるが、実はベスト1に限っては『二人ノ世界』で揺るがない。
最初に鑑賞した時は愛知 (イオンシネマ名古屋茶屋) では最後の上映で、2回目が京都 (イオンシネマ京都桂川) での鑑賞だったため、オススメしても愛知の方には残念な気持であったが、今回は1月28日までなので騙されたと思って観ていただきたい。
本当に騙されたと思った方がいたら入場料金を私から返却させていただく。(くらいの気持ち)
2月13日~19日、シネマスコーレにて永瀬正敏さん主演の『いきもののきろく』と『実験映画』の短編作品の二本立て上映があるのでそちらも伺いたいが、スコーレさん『二人ノ世界』の上映もお願いします。
『光』と『二人ノ世界』、偶然とはいえこの上ない組み合わせだった。
『二人ノ世界』の華恵 (⼟居志央梨) も雅哉と同様に後天的に視力を失うが、失ったものはそれぞれにそれだけではない。
永瀬さんと土居さんの視線や視覚障がい者としての動きもそれぞれに研究をつくされていて、音の演出にも拘りを感じた。
雨や風、鳥のさえずりに川のせせらぎ、シーツのしわを伸ばす音、お守りの鈴の音。
永瀬正敏さん演じる雅哉と俊作。
完全に失明し智子の顔を手で確かめる雅哉と、華恵に触られ「(父親と) よう似とりますねぇ」と言われる俊作。
雅哉は「逃げることはないからそこで待ってて」と言い、俊作は「そちらに行きたくても行かれへんから来てほしい」と言う。
どちらのピアノの音も凛とした美しさの中に力強さも感じる。
以前、俊作と華恵の行く先にある「現実」とやらは「奈落」なのかも知れないと書いたが、今日は「光」を感じた。
お昼に店主とラーメンの濃さが全国的に知られている『豚骨 大岩亭』に伺った。
ネギラーメン特鳥を注文して、誰もがやるようにレンゲを立ててみた。
店主とラーメンどちらも「濃いだろ、濃いっ。」。
それを言うなら恋ではなく「愛だろ、愛っ。」。
お忙しい中、わざわざ厨房から出てきて「あぁぁぁぁぁいっ」をやっていただいた大岩さん、めちゃくちゃいい人です。