2021.12.26 Hase 岩川光 (quena)
四半世紀程前になるが、生涯心に残るバロックの演奏を聴いた。
名古屋市民会館 (現日本特殊陶業市民会館) 大ホール (現フォレストホール) で拝聴したヨーヨー・マのソロチェロリサイタル。
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲、ワイルド/サラエヴォのチェリストに、心の深い深いところが静かに揺さぶられた。
この日は他にも予定があったため、到着したときには既に2ndが始まっていた。
扉をゆっくりと音を立てずに開閉して会場に入ると、J.S.バッハ/無伴奏バイオリンパルティータが厳かに響いていた。
私の椅子も用意されいたが、腰掛けるときの僅かな音も憚るような雰囲気だったので、立ったままで後方から拝聴することにした。
ケーナでバッハを吹いてみました的な再現音楽ではない。
バッハの意図や精神を理解しつつも、その時代に縛られることなく、今この空間でバッハの音符に新たな命を吹き込む。
その魂の籠った響き、抑揚、流れは、まさに神技。
Haseのしじまに響く音色は、四半世紀前と同じように神懸かっていた。
2022年1月18日には、東京オペラシティリサイタルホールで岩川さんのコンサートがある。
ケーナ奏者、ケーナファン、ケーナのこれからにとって、画期的な日となるだろう。
田中健さんは聴きに来られるのだろうか。