『土を喰らう十二ヵ月』 『ケイコ 目を澄ませて』第7ラウンド
キネマ旬報の主演女優賞と主演男優賞、毎日映画コンクールの女優主演賞と男優主演賞を受賞されて、2022年の映画界の顔と言える岸井ゆきのさんと沢田研二さんの主演作を続けて鑑賞できるという嬉しい並び。
前回の投稿で「刈谷日劇はちょっと遠くても通いたくなる映画館である」と書いたが、自宅近くの『瀬戸万博記念公園 愛・パーク』(愛・地球博記念公園 モリコロパークではないです)から自転車でどのくらいの時間で行けるのか計ってみた。
走行距離は31.81km (自宅からだと+約5km) 、信号待ち以外ノンストップで1時間54分34秒で到着し、とりあえずお腹が空いた。
『土を喰らう十二ヵ月』は、水上勉さんのエッセイ『土を喰らう日々』の映画化で、60歳を過ぎてから子供の頃に禅寺修行で覚えた精進料理を作って過ごすツトムの山暮らしの12ヵ月が淡々と綴られている。
何年か前にマイベストテンで1位にした『パターソン』くらいに何も起きることなく、感動させようとか泣かせようという意図がない私の大好物である。
それは『ケイコ 目を澄ませて』も同じで、サクセスストーリーでなければドラマチックな展開も逆転劇もなく、どんな小さな人生でもそれぞれが主役であり、誰しもがケイコでありツトムである。
そして映像からでも土の匂いが伝わってくる自然の描写と料理たちに空腹のお腹は鳴り続けたが心は満腹となった。
感動させようと大量の調味料で味付けするジャンクフードのような作品も否定しないが、濃い味付けばかりだと味覚と同じように感性も鈍ってくると思うのは年を重ねたせいなのかも。
自然の移ろいに感動し、亡き人が漬けた梅干を食べて涙を流す細やかな感性は人生を豊かにする。
死を身近に感じる年齢になって死を意識して生きていると見えてくるものがあり、年を重ねることは悪いことばかりではない。
間の時間が20分のため外に食べに行く時間がなく、あらかじめ買っておいたベースブレッドで昼食を済ませた。
『ケイコ 目を澄ませて』の入場の際にメ~テレ (名古屋テレビ放送局) のキャラクター、ウルフィのスクイーズを頂いた。
『ケイコ 目を澄ませて』はメ~テレ60周年映画で、ロングラン上映と各映画賞の受賞を祝ってのおまけなのだろう。
そういえば、センチュリーシネマでの三宅唱監督のテーチインイベントの司会は元メ~テレアナウンサーの神取恭子さんだった。
メ~テレさん、ありがとうございます。
深田晃司監督作品をはじめ、岸井ゆきのさん主演の『愛がなんだ』等々、これまでの作品を並べるとメ~テレシネマは東京のキー局が作る映画とはひと味違う傑作を制作されていると感じる。
『あん』も良かったな~
『寺内貫太郎一家』で、沢田研二さんのポスターに向かって樹木希林さん (悠木千帆さん当時) が「ジュリー」と叫びながらを身をよじらせるシーンが思い出される。