2024.6.13 岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール
原田知世『恋愛小説4~音楽飛行』リリースツアー2024
原田知世(Vo) 伊藤ゴロー(Arr, Gt) 佐藤浩一(Pf, Key) 鳥越啓介(Bs) 能村亮平(Ds) 角銅真実(Cho, Per) 伊藤彩(Vn) 結城貴弘(Vc) 坂本楽(Fl)
名古屋公演はツアー初日ということで、ネタバレにならないように20日最終日の東京公演の終了を待ってのアップ。
昨年リリースされた『恋愛小説4~音楽飛行』。
1st ステージは全曲この最新アルバムからで、「音楽は旅に連れて行ってくれるので、今日は自由に旅をして下さい。」と知世さん。
ビートルズやカーペンターズなど、中学に入って洋楽を聴き始めた頃の名曲がズラリと並び、その中でソニーのテレビCMで衝撃を受けたビリージョエルの『ストレンジャー』。
直ぐさま最新アルバム『ニューヨーク52番街』を購入したがその中には収録されておらず、LPを買うお金が残ってなかったので『ストレンジャー』と『シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン』のシングル盤を購入した。
大人の香りがする美しいメロディに何度も繰り返して聴いた想いでのナンバー。
そよ風のような知世さんのボーガルが心を揺らす。
2nd は『邂逅の迷路で』『くちなしの丘』などオリジナルの名曲が続いた。
30代前半の春頃だったと思うが、窓を開けて心地よい風を感じながら車を走らせているとFMラジオから『ロマンス』が流れてきて、ひと聴き惚れ。
その日にCDを購入した。
知世さんの主演映画はいくつも拝見していたがレコードやCDを購入したのはこの曲が入っている『I could be free』が初めてで、映画女優という認識からシンガーとしての魅力も感じた想いでの曲。
あの時聴いた歌声と変わらないキュートさを維持されているのは奇跡。
知世さんの若さにあやかるべく、ツアーTシャツを着て、1時間の筋トレ&ドレッドミルで30分間早歩き。
知世さんより3つ年上、老化に抗い中。
ジムのあと、鉄骨入りの知世さんファンの女性オーナーが営むジョゼ珈琲へ。
扉を開けるとマイルス・デイヴィスが流れていて、カウンターには昨年ご逝去されたアストラッド・ジルベルトのレコード。
そよ風のような歌声の代表格的シンガーである。
以前に1列目で聴かれたという話を聞いていたので「今回もいい席でした?」と尋ねると「知世さんは近くでよく見えたけど端から2つ目だったので角銅さんはほとんど見えなかった」とのこと。
舞台の上に円形のステージが作られ、1階席の端の方だと死角になる部分があったみたいだが、2階の私の席からは全体が見渡せた。
ピアノの佐藤浩一さんとベースの鳥越啓介さんが正面に見える席で、伊藤ゴローさんにより選りすぐられた素晴らしいメンバーが揃う中で、そのお二人は特に馴染み深い。
浩一さんはハクエイ・キムさんとの2台ピアノライブを企画・主催させていただいて、4月の纐纈歩美さんのライブの際にも「原田知世さんのライブ楽しみにしてます」とお話しさせていただいたところ。
鳥越さんはソロライブなどに何度も伺っていて、またぼちぼちソロツアーをされる頃かな。
どちらもマイ・フェイバリット・ミュージシャンである。
ダブルアンコールではゴローさんとのDUOで『時をかける少女』。
ドレスは淡いラベンダー色に見えた。
その清しく可憐な姿と歌声はまさに時をかける少女。
映画公開の頃、大学の重量分析の実験で坩堝を焼きながら知世さんが演じた和子のように気を失ってしまった。
と思ったら単なる居眠りだった。
月・火で実験をして週末までにレポートを提出しなけてばならないが、その合間にバイトもしていたという寝不足の日々を思い出した。
「薬師丸ひろ子君に代表される、秋吉久美子、桃井かおり、そして山口百恵という強力な個性を持った俳優さんたちが”時代の申し子”として生まれてきたとすれば、原田知世君は”銀幕の伝説の申し子”ではないかという感じがしてね」
(キネマ旬報 2020年6上旬号「私たちが愛した大林宣彦監督 追悼特集」)より。
音楽も映画も時をかけるのだ。