2021.3.3 原宿JAZZ UNION 高田ひろ子トリオ
高田ひろ子(pf) 安ヵ川大樹(b) 橋本学(ds)
2月28日に愛知県の緊急事態宣言が解除されて3月1日より県独自の厳重警戒措置となったが、その中には県をまたぐ不要不急の移動は控えること、特に緊急事態宣言が継続している首都圏1都3県への不要不急の移動は自粛するお願いがあった。
でも、レコーディングトリオなのに滅多にやらないこの3人でのライブをお聴きするのに10年以上待った私にとっては不要不急ではないと自分に言い聞かせて原宿まで足を運んだ。
竹下通りは緊急事態宣言中とは思えない光景だったが、人様のことは言えない。
明治通りを渡って少し行くと個性的な建物はすぐに目についた。
その外観は瀬戸市民の私には愛・地球博のキャラクター、モリゾーのようにも見えた。
1Fがメンタルクリニックで、螺旋階段を上がった2Fの『JAZZ UNION』では精神科医である桑崎医院長による厳選されたライブが月に1回ほどのペースで開催されている。
リハーサルはほとんどなしで音と楽器の確認だけ。
『Inner Voices』が始まると「おっ、これこれ」と、桑崎先生のお気に入りの1曲みたいだ。
リクエストは主催者の特権である。
8年前にFacebookを始めたときの一番最初の投稿。
この時はジャズと詩のコラボ企画ということで3曲リクエストさせていただき、桜、紫陽花、新しい日、というキーワードで詩の募集も行った。
集まらなかったことを想定して自らも3編書いたが、みなさんから素敵な詩を寄せていただき、私が書いたものは無事ボツとなった。
この日も演奏された 9.11アメリカ同時多発テロ事件のあとに書かれた『For A New Day』では、谷川俊太郎さんの『朝のリレー』を割り振って、マスターも含めた会場にいた全員でリレー朗読したのだが、その時の情景を思い浮かべながら、しみじみと聴き入った。
人間はやたらと境界線を引きたがるが、空はつながっていて、世界はひとつの球体であると奏でていた。
昼間の喧騒が嘘のような静かに研ぎ澄まされた美意識。
美しさに定義などなく自分の物差しが存在するだけ。
千年以上前からある能舞台からインスパイアされた安ヵ川さんのオリジナル『The Deep Valley』に日本人としての美を見いだせるかはその人次第。
それを感じたときには喜びをじんわりと噛みしめるのみ。
「弘法筆を選ばず」と言って、もちろんこの3人もその域に達しているが、逆に達人だからこその筆への拘りもある。
さすがにピアノを担いで来る訳にはいかないが、大抵のピアニストにはお気に入りの調律師がいて、ピアニストの拘りに応える調律師も同じ域にいる。
電車でイタリア製のベースを担いで来られた安ヵ川さんの1925年のフランス製と2020年のイタリア製 (共にメーカー名は失念) の弓を使い分ける拘りは、残念ながら私の耳では聴き分けることは出来なかったが、達人と凡人の耳の違いだけは分かった。
ドラムもお店にあるものを使うことが多いが、シンバルだけ持参されるドラマーはよくお見掛けする。
学さんが持って来られたのは安ヵ川さんのフランス製の弓と同じくらいの年代物と新宿で15000円で購入されたという中古品だそうで、話だけ伺うとアンバランスのように思える拘りのセンスは凡人では追いつけない。
シンバルを"シャーン"と響かせる「シズル」を付けないのも学さんの拘り。
中古で買ったときに付いていたものを外して穴だけが空いている。
そして『JAZZ UNION』も拘りの塊であった。
コンテンポラリージャズを中心にズラリと揃えられたレコードとCD。
真空管アンプで増幅された音はぬくもりのある柔らかさを感じた。
藤田ニコルさんも写真を撮りたくなるようなポップなデザインに、お洒落なカップでいただく手間を惜しまずじっくりと抽出された至高のネルドリップ。
そのコーヒーを淹れていただくのは若手のミュージシャン達で、採用基準は心に響く音楽をされていること。
ジャンルは問わない。
「彼女の歌には無茶苦茶痺れたので、即採用した」とご紹介いただいた加藤伎乃さん。
なんと、瀬戸市のご出身で、藤井聡太二冠と同じ效範小学校の卒業生。
瀬戸市民としては無条件で応援します!と思って曲をお聴きしたら、先生の仰った通り痺れまくった。
『東京スーサイドシティ』とか、攻めてるねー
サブスクでも聴けますので是非!
写真を撮り忘れたのでブログに貼れるいい写真はないかと山手線でFacebookを見ていると小久保さんじゃないですか。
しかも私、いいね👍付けてるし😓
こくぼっち、次回の名古屋ライブ、ご一緒しましょう!