necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

Remboato 『星を漕ぐもの』リリース ツアー 2022

 
2022.6.22 Mr.Kenny′s
Remboato 『星を漕ぐもの』リリース ツアー 2022
 藤本一馬(g) 栗林すみれ(p) 西嶋徹(b) 福盛進也(ds)
 

 
福盛さんが2020年に設立されたレーベル nagalu から2021年12月にリリースされた『星を漕ぐもの』。
東京では昨年コットンクラブにてリリースライブが開催されていたが、漸く名古屋にも来ていただいた。
 

necojazz.hatenablog.com

 

リリースライブの場合、CDはライブ会場で購入することにしているので、ライブでお聴きした曲をCDで聴き直すというパターンになるが、今回はリリースされてから半年の間があったため、3月の西嶋さんとすみれさんのDUOライブの際に購入。

じっくりと聴き込んでから足を運んだ。

1stステージの4曲目までMCなしで、どっぷりと Remboato の世界に浸ってほしいといった構成。

4曲目が終わったところですみれさんがマイクを手にしてメンバー紹介をしたあとに「リーダーはいません」と一言。

2枚組のアルバム全10曲中、一馬さんと西嶋さんが3曲ずつ、すみれさんと福盛さんが2曲ずつ作曲をされていて、全員で持ち寄った場合、大抵はバラエティーに富むアルバムになるところだが、どの曲も同じ方向を向いて漕いでいる。

すみれさんの『Keep A Beautiful Tree In Your Mind』はギターとベースのDUOで、すみれさんは弾いていないが、この曲に限らず、自分が演奏したいというより、このメンバーで音にしたい、他のメンバーに奏でてもらいたいという共通の想いがまず先にあるからだろう。

リーダーがいないという言葉に深く納得した。

 

www.youtube.com

 

西嶋さん作曲の『千鳥の空』。

CDで聴き込んでいたもののライブでの臨場感と奥行きは別物で、そのボートは別空間に誘ってくれる。

空と言っても晴れやかな印象ではない。

甘やかな美しい憂鬱を呈した薄曇りの空で千鳥は力強く羽を広げていた。

Remboato は束の間の休息であり、時の芸術でもあり、生きていることの尊さをも確かめさせてくれる。

 

www.facebook.com

 

アルバムからの曲が並ぶ中、すみれさんの新曲も2曲披露され、そのうち昨年末にこの世を去られたピアニスト Walter Lang 氏に捧げる曲を 2nd のラストに演奏された。

すみれさんと福盛さんとの出会いは Walter  氏が橋渡しとなっていたそうで、それがなければ Remboato もこの日のライブも無かったかもしれない。

私は福盛さんのトリオで1度だけお会いしたことがあり、彼の奏でる音や穏やかな笑顔から伝わってきた優しさが思い出され、すみれさんの想いは美しいメロディとなって Walter に届いただろう。

 

necojazz.hatenablog.com

 

5月に一馬さんと伊藤志宏さんのDUOに足を運んだ際に一馬さんのサインをいただき、あとは福盛さんからいただくだけと書いたが、無事に福盛さんからもサインをいただいた。

 

 

それぞれに日付を書いていただいたおかげで「ちょっといいな」と、ひとり悦に入りながら自宅でアルバムを聴き返した。

アルバムの内容はもちろん、ジャケットやインデックスなども拘り抜いていて、福盛さんの辞書には「妥協」という文字はないのだろう。

作品に対する愛情は計り知れない。

7月8日 (金) にライブの予約を入れている『Ein.』は福盛さんが立ち上げたもうひとつレーベル S/N Allianc karatsm からリリースされていて、こちらも聴き込んでから行こうと思ってカウンターに並んでいるCDを眺めると残念なことに置いてなかった。

もしかして手元にお持ちかと福盛さんにお聞きしたところ「今日はそのCD持ってきていないんだよね」と言ったあとにおもむろにスマホで誰かに連絡を取り始めた。

 

 

しばらくすると『Ein.』のリーダーでギタリストの森下周央彌さんがCDを持ってお店にやって来られた。

「ウーバーミュージックかよ」と驚いている私に対し、してやったりの笑みを浮かべる福盛さん。

関西の方なのに何故?と思ったら、靑猫で7月8日のライブの打ち合わせをされていたそうだ。

千鳥足とまではいかないが、イイ感じに出来上がっているご様子で、何処かで飲んでおられたのを中断して来ていただいたのかな。

配達ありがとうございました。

 

www.suomi-morishita.com

 

こちらは Remboato より更に道程は長く、レコーディングから約2年を経過しての待ちに待ったリリースツアーである。

緻密に構成されたジャンルを超越する唯一無二のサウンドに時の経過を忘れて深夜まで聴き入った。

先ほど周央彌さんのことをギタリストと書いたが、コンポーザーやアレンジャーとしてもとんでもない才能の持ち主で、ジャケットのデザインまでされているスーパーリーダー。音の響きに拘ってスタジオではなく百年前の紡績工場の跡地で録音されたそうで、それを確かめる目的もあって靑猫に行かれたのだろうか。

ライブ前に繰り返しじっくりと聴き込んでから伺いたい。

どんなライブを聴かせていただけるのか、楽しみでならない。