necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

君たちはまだ長いトンネルの中

 

2022.9.24 刈谷日劇 なるせゆうせい監督 『君たちはまだ長いトンネルの中』

 

これまでは舞台を中心に活動して来られたそうで、新聞社の上司役で出演されていた芦原健介さんとは舞台仲間なのだろう。

芦原監督作品もいくつか鑑賞していて、それぞれに独特な視点を持っているお二人の作品は今後も追って行きたい。

 

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タイトルを見ると青春の挫折や葛藤を描いている作品のように思えるがそうではない。

トンネルの中と表現しているのはバブル崩壊後にデフレスパイラルに陥って長期停滞している日本経済のことで、トンネルの先も暗く出口は見えない。

この原因をつっくたひとり、安倍晋三元総理大臣の国葬が多くの国民が反対する中で9月27日に行われる。

それに合わせるように24日から、在位が2,887日と歴代首相最長を更新した安倍政権を検証する映画「2887」の再上映が横浜シネマリンで始まり、安倍元首相を殺害したとして送検された山上徹也容疑者をモデルにした映画「REVOLUTION+1」が、26~29日に全国13カ所で緊急上映される。

今回の緊急上映では各館1回限りの上映で、この地方ではシネマスコーレにて27日20時30分より予定されている。

本作品に関して言えば、先の参議院選挙に間に合うように6月17日から公開されていて、選挙前にご覧になられた方は自分の1票の重みを改めて感じ、そして投票場へ足を運ばれたことだろう。

刈谷日劇国葬に合わせて上映したのではないと思うが、冒頭の授業のシーンでは主人公の女子高生(アサミ)がアベノミクスの3本の矢をパキンと折って、政策の失敗を指摘する。

 

 

原作は『マンガでわかるこんなに危ない!?消費増税』という書籍で、原作で解説をされている京都大学教授の藤井聡氏が映画の経済監修も担当している。

原作のターゲットである若者向けに撮られているためにとくに難しいことは言っておらず、政治に興味がないという方にこそ観ていただき作品である。

小学生でも高学年なら大丈夫だろうし、選挙権を持つ前から政治や投票について考える意味は大きい。

日本円で国債を発行している限り最後には日銀が買い手になるので日本国債が返済不可能になることはあり得なく、従って政府の債務残高がいくらになろうとも国家が破綻することはない。

「国の借金は国民の資産」と、アサミが言う通り。

但し、映画で伝えたいことは何が正しくて何が間違っているかの答えではなく、自分で調べて自分で考えることの大切さを描いていて、そうすれば自ずと答えは見えてくる。

 

 

朝まで生テレビっぽい討論番組のシーンで、司会者のネームプレートが田原総一朗ならぬ田原町総子になっていて、監督は愛知県のご出身なのかなと思っていたらお隣岐阜県のご出身で、なんど犬山城主成瀬家の分家の家系だそうだ。

だったらパネリスト役はたんぽぽの川村さんも良かったがそれより田原市出身の大久保佳代子さんだろうと思ったが、政治色が強い作品だけに事務所NGだったのかも。

かとうかず子さんやモト冬樹さんなど出演者にはもちろん内容について確認をされていて、ディスカッションを重ねて本番に臨まれたそうだ。

 

 

公開後4ヵ月を経過してのロングラン上映となっていて、今後も映画館での上映を中心に、学校や自主での上映会でも観てもらえればとのこと。

ソフト化や地上波で観てもらうためには超えなければならないハードルもあると思うが、それを越える意義は大きい。

安倍政権が若い世代からの支持率が高ったのは、トンネルの中しか知らない世代だからだったかも。

次回作の構想もあるそうで、社会派青春シリーズの視点は実に面白い。