necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

朽ちないサクラ

 

2024.7.7 刈谷日劇 

原廣利監督 『朽ちないサクラ』

 

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先日鑑賞した大ヒット上映中の『帰ってきたあぶない刑事』。

こちらは原監督の初映画作品で、『朽ちないサクラ』はそれに続く2作品目。

同時期にオファーを受けて『帰ってきたあぶない刑事』の撮影がストップしている間に『朽ちないサクラ』を撮られたそうだが、同じ警察ものでもエンタメ系とシリアス系というレンジの広さで、マルチ的才能と期待値の高さが伺える。

 


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桶川ストーカー殺人事件とオウム真理教による地下鉄サリン事件がモチーフになっていると思われ、警察が真摯に対応していれば殺されることはなかったのではないか?大惨事は防げたのではないか?そして警察の隠蔽体質と公安の闇。

予告編で「素人がうろちょろするんじゃねえ」とあるのは杉咲花さん演じる森口泉は捜査権を持たない広報課の事務職員だから。

その上司である元公安の広報課課長富樫を演じる安田顕さん、富樫の同期で捜査の指揮をとる捜査一課係長梶山を演じる豊原功補さん。

このトライアングルの均衡が、これまでの警察ものとは違う異質の緊張感を生み、上質な社会派サスペンスに仕上がっている。

 

 

鑑賞前に柚月裕子さんの原作小説を読了。

「サクラ」とは公安の隠語のことで、小説には桜の花が印象的な場面はなく、東北地方の架空の県の話になっていたが、映画では愛知県が舞台になっていて三河地方の桜が蕾から満開へと物語の流れと見事にマッチして、原作の「サクラ」が闇をあばいたとしても組織として揺るぎない公安のことを言っているのなら、映画の「サクラ」は巨大な闇に立ち向かうひとりの女性の凛とした美しさを表しているように思えた。

続編の『月下のサクラ』の映画化も期待してしまう。

 

 

毒ガスによるテロが起きた現場のロケ地は新豊橋駅前で、泉が事件の真相に気付くシーンは岡崎市八柱神社など、WOWWOWドラマ『ウツボラ』に続いて、原監督の希望によりこの地方での撮影となったので、三河地方の方はもちろん、愛知県民は劇場に足を運んで盛り上げて行こう。

シリアスでありながらエンタメ性もしっかりとあるので『あぶ刑事』ファンもぜひ観比べながら楽しんでいただきたい。