2019.10.1 THE WIZ 海野雅威(p) 吉田豊(b) 海野俊輔(ds)
Reunion(再会)と言う名のライブ。
15年前に Pee Ka Boo!でデビューしたトリオ。
11年前に海野さんがニューヨークへ渡られてから、久々にその3人が集まってのライブ。
ニューヨークは才能溢れるミュージシャンが自己実現を目指して世界中から集う。
海野さんも天下を取る意気込みで海を渡ったのだと思っていた。
事実、ロイ・ハーグローヴ Quintet のオリジナルメンバーに抜擢されるなど、新世代ミュージシャンの最高峰と評される存在となったが、それは目的ではなく結果である。
「ジャズミュージシャンである前にジャズファン」。
今行かないとハンク・ジョーンズなどのレジェンド達に会えなくなる。
憧れの人たちと音で会話したい。
その夢を叶えたいという一心だったそうだ。
野心とか売れるとか売れないとか関係ないところで澄み切った音は鳴っている。
そして、ハンク・ジョーンズの愛弟子となった彼はレジェンドの最期を看取った。
ロイ・ハーグローヴが心不全でご逝去されてもうすぐ1年が経つ。
ロイ・ハーグローヴ Quintet で来日したときに行かなかったのは悔やまれるが、海野さんがロイから受け継いだスピリットは死ぬことはない。
渡米されて11年の間に会えなくなった人が増えていく中で、再会してこの3人で出来るのが本当に幸せなことだと噛みしめながらのライブ。
息の合った演奏はソロを聴いているかのように緩急自在、変幻自在で、このパートは何回繰り返す?そろそろ盛り上げようか?目配せやちょっとした表情でタクトを振る。
いやもっと深い内面で繋がっていて俊輔さんは表情は見えなくとも、ひとつひとつのタッチで意思を汲み取る。
その俊輔さんのご紹介で実現したWIZでのライブ。
もっと大きな会場でやるのが当然なのだろうが、ぜひここでという思いはスタインウエイの響きもあるだろうが、それに加えて良子さんの存在も大きいだろう。
シカゴでのライブを終えてから日本に向かい、時差ボケがあるなか深夜の2時までふたりでジャズ談議をされたそうだ。
音楽は信頼関係が大事だが、それはメンバーに限ったことではなく、お店との関係もそうであることは言うまでもない。
俊輔さんがふたりのことを良く知っているからこそのWIZだろう。
ライブ終了後の絶叫する良子さんの声には涙が混じっているようだった。
記念になるチケットやスペシャルプレートなど、お心遣いもありがたい。
3年前に岡崎ジャズストリートでお聴きしたときは写真はNGだったが、今夜はアンコールのみ撮影OKと言うことで、こちらもうれしいご配慮。
こんな至近距離で海野さんの演奏する表情を撮れることは滅多にないだろう。
そして至近距離からの生音は宝石の美しさなどと比べるまでもない。
Waltz for Debby から My Foolish Heart への流れに、暫し心はヴィレッジ・ヴァンガードに誘われ、これ以上の贅沢は思いつかない。
毎週火曜日はミュージックチャージ無料だが、この夜の火曜日はプライスレス。
店内ではミュージシャンの顔もたくさん見られ、その中に来週の火曜日10/8にソロピアノをされる杉山寛さんの姿もあった。
本職はドラムスだが、ピアニストとしても相当な腕前で、個性溢れるプレーと卓越したオリジナルが売りの期待の若手だ。
テーブルチャージ500円でお聴きできるので、初めての方も気楽な感じでお越しください。
私も2ndくらいの時間に伺うつもり。
ジャズ茶房青猫で『Journeyer』を聴きながら書いている。
ネット販売はしていないのでライブのときにしか入手できないそうだ。
ライブでも披露された『Some Other Suite』。
何年後になるのかわからないが、すでに THE WIZ での次回のライブは予約した。