九州のジャズシーンは盛り上がっているらしいが、その情報はなかなか名古屋に伝わって来ないし、名古屋のジャズ好きで九州のミュージシャンを知っている方も少ないと思う。
私もう～んと考えても３人くらいしか名前が浮かばない。
そのうちのひとり、上野香織さんが 20th AnniversaryTour で名古屋に来られることになった。
3月24日 (金) 18時開場 19時開演、予約5000円 当日5500円、会場は THE WIZ。
上野さんは、地元の北九州ではかなりの人気ピアニストだが、名古屋でご存知の方は少なめだと思う。
今回のツアーも名古屋は馴染みのないアーティストの集客がむずかしいことをご承知されていて、「伺いたいのですが、まだ決めかねています」ということで、「場所的なアドバイスがありましたら」と、ご相談をいただいた。
ぜひ名古屋にも来ていただきたかったので、スタンダードナンバーもガッツリ入っている1stアルバムが THE WIZ の良子さんの好みだと思い、候補としてお伝えした。
しばらくして、「WIZ での演奏が決まりました」とのご連絡があった。
「なんと私の先輩ミュージシャンの大ファンだったそうで福岡まで聞きに来られてたそうです」とのことだった。
そのことを良子さんにお聞きすると、ベースの井島正雄さんとドラムスのヤス岡山さんが大好きで、福岡の天神にあるブラウニーまで聴きに行かれたそうで、最初は青木弘武さんのピアノトリオで知って、素晴らしかったので WIZ にも呼ばれたとのこと。
でも、お二人とも既にお亡くなりになられているそうで、もうライブで聴くことができないことを残念がられていて、上野さんのことはあまりご存じでないにも関わらず、お二人が参加しているからということで、上野さんの1stアルバム『LUCKY STRIKE』まで持っておられた。
上野さんは単身海を渡ってニューヨークでも数年活動されていて、2ndアルバムはニューヨークのミュージシャンとのニューヨーク録音で、その時のレコーディングメンバーにアルトサックスのパトリック・バートリー Jr.が加わってのカルテットでのツアーとなる。
良子さんはそのパトリックのこともご存知で、コロナ禍になってライブ活動ができない中、ピアニストのエメット・コーエンが毎週月曜日の夜にハーレムの自宅リヴィング・ルームからライブを配信して、多くのミュージシャンがそのリヴィングに訪れるようになり、同世代のトップのサックス・プレイヤーのパトリックと、メンター世代のショーン・ジョーンズ（トランペット）が参加したときにバズって、その動画を教えてもらって知ったそうだ。
上野さんに加えパトリックも来られるということで「すごい楽しみ」「上野さんを喜ばせんとあかん」と、張り切っておられたので、ぜひ WIZ にお越しください。
『LUCKY STRIKE』の内ジャケットにあった井島さんとヤスさんの笑顔はとても優しそうで、気さくなお人柄も伺える。
地元ではお二人ともレジェンド的存在で、追悼ライブなどもあったようである。
アルバムのラストの井島さんのオリジナル『C’ La Vie』はメランコリックで美しく、ツアーは出来上がったばかりの3rdアルバムの曲が中心になるが、上野さんのソロで井島さんの曲を弾かれたら、また良子さんは号泣だろうな。
もう一つ、THE WIZ であるオススメライブをご紹介したい。
平倉初音『WHEEL OF TIME』アルバムリリース記念ライブ。
3月27日 (月) 18時開場 19時開演、予約4000円 当日4500円.。
初音さんは一度 WIZ でお聴きしたことがあるが、その時は若手メンバーとのオリジナルナンバー中心の構成で、これからもコンテンポラリージャズをやって行かれるのだろうと思っていたが、初のスタジオ録音である『WHEEL OF TIME』は予想外のスタンダード集。
とは言っても、「二人のマエストロを迎え、独自の解釈でスタンダードの挑む！」となっていたので、一筋縄ではいかないジャズだろうな。
二人のマエストロとは、池田篤さん(as)と井上陽介さん(b)で、親子ほどの年齢差は上野さんと井島さんヤスさんと同じくらい。
平倉さんの想いも上野さんが1stアルバムにしたためた言葉と同じなのだろう。
CDはライブ会場で購入する派なので、予習なしで、どんなスタンダードをお聴きできるのか？楽しみにして伺いたいと思う。
