2019.12.29 京都 NAM HALL 西山瞳(pf) gust 橋爪亮督(ts)
2019年のライブ納め。
西山瞳さん、毎年の恒例、1年の最終週の日曜日は京都 NAM HALL 1F/SALON でのピアノコンサート。
2010年代の締めくくりということもあり、前半はこの10年を振り返っての演奏。
この10年の間にリリースされたアルバムは15枚。
驚くのは枚数の多さではなく、これだけ出し続けていながら1枚1枚のクオリティの高さ。
その中でも2011年リリースされた「Music in You」はいろいろな意味で西山さんにとって思い入れのある1枚だろう。
美術館で音の展示を聴いているようなアーティスティックなアルバム。
東日本大震災の直前にレコーディングされたそうで、震災後はしばらく何も手に付かなかったとのこと。
タイトル曲に耳を傾けた。
「音楽は聴き手の中にある」という意味なのだろうか。
ある音楽は、ある人には無力であり、ある人には無限の力をも内包している。
2ndの2曲目から「まったく告知していませんでしたが」と、橋爪亮督さんとのDUO。
名古屋ではこの共演はまずお聴きできない貴重な機会。
橋爪さんの新作「Play Standers vol.1」を中心にスタンダードが並ぶ。
お二人ともオリジナルに拘りがあるイメージが強いので意外であったが、オリジナルは常に作ったときのイメージが付きまとうのに対してスタンダードは精練すればするほど道筋がいくつも見えてきて面白いと橋爪さん。
「Blackberry Winter」では、橋爪さんが「僕はもっとフォーキーなイメージだったけど意外とブルージーだったね」と言うと、「最初にやった鬼怒無月さんの影響で」と西山さんが笑顔で答える。
その後もいろいろな受け答えがあって、演奏の中で凡人ではわからない膨大な情報のやり取りをしていることを感じた。
「音楽は聴き手の中にある」のだ。
ラストで西山さんが「あれやる?」と聞くと、橋爪さんが「あれって?」との夫婦っぽい会話にほっこり。
あれとは「Smail」のことだった。
アンコールは橋爪さんのオリジナル「Duet」。
ご夫婦でのこれをお聴きできるとは、2019年最高の締めくくり。
西山さんが「帰って来られる場所があるのはうれしい」と話す NAM HALL。
お客さんもオーナーさんのお心遣いもあたたかいアットホームなホール。
ここで聴く音もあたたかい。
コーヒー、紅茶など、ドリンクはセルフでおかわり自由。
ルマンド、バームロール、ホワイトロリータなど、お菓子も取り放題。
2020年の最終週の日曜日は27日。
そのときまたこの扉を開けさせていただきます。