necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

西山瞳 ピアノコンサート

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2022.2.23 西山瞳 ピアノコンサート  京都 NAM HALL

 

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年末の最終日曜日に開催されるの恒例の NAM HALL でのピアノコンサートだが、昨年末はスケジュールの都合で開催されておらず、これでようやく2022年を迎えられる気分になった。

京都の中でも平安神宮から近くにあり、訪れた当初は南無ホールだと思っていたが、NY ART MUSIC の頭文字をとっていて、宗教とは関係なく拝みながら聴く必要はない。

 

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昨年の9月にリリースされた『Calling』。

佐藤ハチ恭彦さん(bass)、池長一美さん(drums) によるトリオでの収録で、このトリオでのアルバムは2011年の『Music In You』、2013年の『Sympathy』の2枚がリリースされていて、8年ぶり3枚目となる。

ライブも2014年の大垣市日本昭和音楽村から7年ぶりにこのトリオでお聴きできるのを楽しみにしていたが、コロナ禍によりリリースツアーどころか2021年に予定されていた名古屋でのライブはすべて飛んでしまった。

Amazonで購入していたCDにようやく西山さんのサインをいただけたが、ハチさんと池長さんのがないのは寂しく思う。

 

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コンサートでも弾かれた『Folds of Paints』。

このトリオの特徴はその美しさに魅了される「耽美」さであり、常に美しさを探し求めている「探美」でもある。

照明を落とした仄暗い空間で、スタインウェイの煌びやかで伸びのある音色が反響し、繊細なタッチに意識を集中させていると、軽い瞑想状態に入ったのか、無になってただただひたすら聴き入る。

西山教の信者がありがたいご講和を拝聴しているような様子に見えるが、宗教とは無関係である。

 

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アルバムタイトル曲『Calling』は、西山さんのホームグラウンドであった神戸クレオールのマスター故秋田氏に捧げたナンバーで、マスターが敬愛されていたキース・ジャレットを意識して書かれたそうだ。

それを踏まえて聴くと仄かにキースの姿が見え隠れしていた。

西山さん曰く「キースはずっとアンタッチャブルだったので失敗してしましました」とのこと。

失敗と言っても曲が不出来と言うことではなく、結局自分の世界になってしまったという意味である。

マスターがキースなら同様に西山さんはエンリコ・ピエラヌンツィを敬愛されいて、もしマスターが聴かれたなら「自分の音を大切にすればよい」と笑顔で言われたかも。

 

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以前、期間限定で配信されていた『Calling』と同じトリオによる Studio Dede presents『Tokyo Basement Session』が、100枚限定でブルーレイディスク化されていて、残り少ない1枚を購入することができた。

 

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配信は拝見していて、演奏はもちろんのこと4Kの高画質での映像作品としても素晴らしく、経典のように手元に置いていつでも観られるのはありがたい濃密な102分。

そして、西山さんはすでに次のステップを踏み出されているようだ。

 

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エンリコが聴きたくなったので動画を検索してみると、『Castle of solitude』のソロピアノのありがたい動画を見つけた。

耽美なだけではなく躍動感が美しさを燃やし情熱的な演奏。

 

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アルバムではマーク・ジョンソンのベースが冴えまくって、気品さえ感じる。

ライブでキースを弾くピアニストは山ほどいるが、エンリコを弾く方は西山さんの他は思いつかない。

なので、これからもエンリコ教の信者の如くオタク道を貫いていただければと思う。