2022.10.15 Hisaya-odori Park ケヤキヒロバ
『日本の祭典2022 in Nagoya – 胡蝶の夢-』
京都在住で京都での数々のイベントや京都新聞のカレンダーのイラストを手掛けられるなど、京都の顔のひとりと言えるナカガワ暢さんが名古屋にやって来られた。
イベントを企画制作された株式会社JFFは名古屋の会社で、名古屋の伝統芸能文化を発信するイベントなので、普通ならば名古屋のイラストレーターにお願いするところだろうが、暢さんのこれまでの作品が目に留まったのだろう。
ニューヨーク、ミュンヘン、ミラノ、マドリード、プラハ、ハノイ、で開催してきた『日本の祭典』。
名古屋での公演は、貴重な名古屋の歴史資料の使って、江戸時代の伝統文芸を「伝統芸能パフォーマンスと映像融合」で表現しようという初の試みで、その重要な役割を担われた。
『胡蝶の夢』とあるのは、明治維新後、職を失った武士が細く割った竹と和紙で蝶々を作り色付けして八事地区で作成・販売された郷土玩具『八事の蝶々』がモチーフとなっていて、拍手をするような場面でスマホをタップするとLED画面に鮮やかな青い蝶が舞い、伝統芸能と現代のデジタル技術が融合する。
暢さんが描く江戸時代の街並みを背景に、伊勢大神楽の流れを汲む雌雄一対の熱田系の獅子がお囃子に合わせて華麗に舞い、タイムスリップして見惚れるばかり。
和妻(日本伝統奇術)、英語落語、日本舞踊等々、演目によって背景が変わり、もちろん名古屋の文化や伝統芸能について調べられたであろう、それぞれの演目に寄り添いながらも際立たせ、観客を目を引き付ける。
守るのではなく攻めの姿勢で、新たな試みによって日本の伝統芸能を未来へ継承すべきイベントの第1回目として大盛況となり、重責を担われた暢さん、お疲れさまでした。
相当なプレッシャーだったからこそ、本番当日は観客として一番楽しまれていた様子だった。
観客の皆さんに配られた『八事の蝶々』。
赤、黄、橙、緑、紫、で色づけられ、竹ひごに貼った羽根は動かないが、垂れ下がった白い部分が揺れることによって飛んでいるような動きを見せる。
プログラムはその5色に黒を加えた色使いになっていた。
さすが暢さん、お見事でござる。
終演後は芝生に寝転んで江戸時代と同じ青空を眺めて過ごした。