Manna&mana レコ発ライブ Studio R
福井真菜 (pf) 橋本学 (ds)
自宅を出る前に天気予報を見ると名古屋は32℃ の真夏日になるとのことだったが、長野県の原村にある会場に着くと涼やかな風が吹いていて、開け放たれた窓からは鳥のさえずりが聞こえ、緑に囲まれての森林浴ライブ。
「ジャンルの垣根を越えすぎた、人類史上初の大冒険!」と言うだけあって、エキセントリックなライブは、振り切ってこそ面白いという人生を楽しむ醍醐味を奏でているかのようだった。
やりたいことをやるのに年齢や性別や環境などが関係ないようにジャンルも関係ない。
五線譜にジャンルを示す記号などないし、クラシックのピアニストが五線譜なしで即興演奏するのも、エリック・サティの憂いを帯びた旋律に打楽器が絡むのも、何でもあり。
人生やったもん勝ち。
驚きと気付きが詰まったライブは初めて名前を聞く作曲家の作品も多く、その中で特に鮮烈だったのがカプースチンのナンバー。
クラシックでありながらジャズの要素も強いのだが、すべての音符が譜面に書かれていてアドリブの要素は一切ないところがジャズとの決定的な違いで、その譜面は音符で真っ黒になっている超難曲であった。
「真菜さんしかお願いできる人がいなかった」と言う学さんのリクエストに応える高度なテクニックと、別の曲ではクラシックではやらない即興演奏でもセンスに溢れ、トレビアーン。
チェンバロやリュートなどバロック時代の楽器の鳴りを想定して設計された空間のためジャズだと響き過ぎるそうだが、今日のDUOにはちょうどいい響きであった。
アルバムのリリースライブを名古屋でもお願いしたいところだが、老舗のジャズのハコは難しいかもという話になり、何処がいいかな?
フランスを拠点にヨーロッパ各地で20年近くご活躍され、お人柄も魅力的な真菜さん。
音楽的には接点のないふたりが一緒にやることになった経緯を学さんにお聞きしたところ、同じ八ヶ岳在住で真菜さんのお子さんに学さんがドラムを教えたことが切っ掛けだったそうだ。
Studio R は原村ペンションビレッジの中にあって、メルヘンの世界。
真菜さんや学さんの他にも長野に移住されてるミュージシャンは何人かいるそうで、創作活動には持って来いの環境と言えるだろう。
録音も長野県茅野市民館で、おふたりの感性と長野の地がマッチしたアルバムが届くのが楽しみである。