necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

高田ひろ子 Trio コンサート

 

2024.2.3 桜の庄兵衛 米蔵

高田ひろ子 (pf) 小美濃悠太 (b) 岩瀬立飛 (ds)

 


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1曲目『秋音』の数音を聴いただけで高田ひろ子さんのライブに来たのだと実感する。

景色や味や香りなど、その微妙な変化を愉しみ、四季の移ろいを感じながら生活しているから日本人は細やかなのだと思う。

虫の音や鳥の声で秋の気配を感じるとはいかにも日本人らしく、その細やかな感情を表現する独特なタッチは高田さんのものでしかない。

良いライブを聴いていると景色が見えるものだが、このトリオの卓越した表現力は景色の向こうのストーリーまで想像できる。

ジャズを日本人がプレーしたり日本の楽器でプレーしたりすることを和ジャズと言うことがあるが、高田さんのジャズは日本人であることを実感させてくれるのだ。

 

 

米蔵を改築した会場は天井が高く音の響きがいいのに加え、音の景色にもマッチしていた。
桜の庄兵衛は8年くらい前に一度おじゃましていて、そのときは妹尾美穂さんと坂上領さんのDUOで『KAIIを奏でる』という日本画家の巨匠、東山魁夷氏の作品からインスパイアされた曲を演奏するライブだったので、どちらもいい時に聴きに来れた。

 

 

ライブのセッティングとライブアルバム『秋音』のレコーディングをされたタイムマシンレコードの五島昭彦さん。

ライブをありのままに録音して再現してしまう魔術師のようなエンジニア。

 

 

いつも笑顔で、様々な関西のライブで主催をされている安田雅彦さん。

安田さんが主催するライブに行っておけば間違いない。

 

 

他にも、私も何度もお世話になっている売れっ子イラストレーターのナカガワ暢さんに、多くのミュージシャンが絶大な信頼を寄せる調律師の鈴木優子さん、ライブ運営のスタッフもされた世界一の高田ひろ子リスナー馬渕清さんと、見慣れた顔もたくさんあり、地元凱旋ライブに高校時代の友人のみなさんも来られていた様子で、今や横浜人の印象が強い高田さんだが大阪の高校時代に戻ったようなノリだった。

 

 

このトリオをもっと大勢の方に知っていただきたいし聴いてもらいたい。

会場に集まった方々の思いは同じである。

 


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MCで「やり尽くした感じだけど、まだ聴いていない人もいると思うから」と、トリオのライブでは定番の『For A New Day』。

9.11アメリ同時多発テロのあとに作られた曲で、事件当日の高田さんは立飛さんと横浜でライブだったそうだ。

人間はやたらと宗教や人種などで境界線を引きたがるが、空はつながっていて、世界はひとつの球体である。

音に込めた思いを届けるため、音楽活動が終わるまでやり尽くし倒されるだろう。

 

 

帰りの車内で『秋音』を聴くと、カーステレオでも明らかに音の違いがわるほど抜群にいい音で鳴っている。

これは絶対にジャズ茶房靑猫のシステムで聴きたいと、『秋音』から『桜、散る』と『1003』をリクエストした。

 


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目を閉じるとまさにそこで演奏しているようなリアルさで、音にうるさいマスターも「いい音だね」と、メガネの奥のつぶらな瞳をまんまるくしていた。

曲ができた日にちをそのままタイトルにした『1003』。

動画での立飛さんは、ほぼスネアとシンバルだけだが、CDではタムを心地よく叩いていて違った雰囲気を味わえる。

是非そちらも聴いていただきたい。

シンプルの中に奥深さを感じ、ずっと聴いていられる。