necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

君がいる、いた、そんな時。4回目。

 

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2020.11.01 刈谷日劇

 

タッタカ、タッタカ、タッタカ、タッタカ、4回目の鑑賞。

愛知県では6月からセンチュリーシネマにて上映され、二度目の県内での上映で、しかも当初1週間だった上映期間の延長が決まり、12日 (木) までとなった。

センチュリーシネマでの舞台挨拶は都合が合わず、迫田監督とは5年以上ぶり。

刈谷日劇さん、ありがとうございます。

 

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おそらく、三河地方で単館系ミニシアターはココだけになってしまった。

 

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名鉄三河線刈谷市駅からすぐのビルの5階にあり、名古屋駅からでも電車で30分ほど。

駐車場も完備されている。

 

 

kariyanichigeki.com

 

3のつく日はサンクスデーとして1000円で鑑賞できるなどのサービスもあり、なんと上映初日から30日、31日、1日 (映画の日) と、3日連続で1000円で鑑賞できるという日並びだった。

スタンプカードも捺印5コで1回入場無料になる太っ腹ぶり。

駅前のレトロな雰囲気の街並みをぶらりするのも楽しいし、名古屋からでも来る価値十分。

 

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オススメしておきながら実は私も久しぶりの来館で、支配人さんのお姿が見えないと思っていたら息子さんが跡を継がれたとのこと。

その支配人さんと迫田監督との舞台挨拶。

刈谷市でもいろいろな出会いがあり大切な居場所のひとつとなったように、この作品がコロナ禍で大変な思いをしている方や孤独を感じている方などの居場所になればと迫田監督。

監督が自らの体験を交えながら噛みしめるように話された言葉には、強い説得力と心の居場所みたいな温かさを感じた。

 

この日の深夜に別府にある単館系ミニシアター『別府ブルーバード劇場』のドキュメント番組の放送があった。

『君がいる、いた、そんな時。』もこの劇場で上映され、ここに寄るだけでも別府まで行く価値があると迫田監督。

11月8日に再放送があるので是非ご覧いただきたい。

 

www.ntv.co.jp

 

以前ブログで紹介した『二人ノ世界』もここで上映され、主演の永瀬正敏さんがいきなり訪れた様子を先日Twitterで拝見した。

シネコンにはない居場所のような空気は何処のミニシアターにも流れているだろう。

『二人ノ世界』も刈谷日劇さんで二度目の県内上映をしていただけると大変うれしい。

 

中垣あかね (うた) 藤川幸恵 (ピアノ) DUO 空に住む

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 2020.10.25 聰音 -SATONE- 中垣あかね (vo) 藤川幸恵 (pf)

 

燈門から聰音に店名を変えて移転されてから初訪問。

 

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扉を開けると、なんということでしょう。

そこは、マスターおひとりで切り盛りされるには理想的と言っていい空間。

燈門では窮屈にしていたピアノはゆったりと置かれ、ピアノの上もすっきりと。

その両側にはスピーカーが新調され音響もバッチリ。

ステージのカーテンの奥が控えスペースになっていて出演者への配慮も怠りない。

客席はバーカウンターの他にステージと向かい合った壁にもカウンター席があり、フロアには小さなテーブルがいくつか置けるジャストサイズ。

 

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岸田マスターもリニューアルされて精悍さが増した感じ。

 

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カレーは相変わらずの安定の美味しさ。

 

日が過ぎていく毎に愛が深まっていくと歌うスタンダードナンバー『Day by Day』の曲紹介で、「動物に対する愛は毎日毎日深くなっていくとしか言いようがないので、いつも飼っている猫のことが思い浮かびます。さっちゃんは犬派ですよね。犬を思い浮かべながら聴いていただきたいと思います」と、あかねさん。

一瞬、はっ?となったが、言葉のやり取りが介在しないからこそ、嘘のない真実の愛がそこにはあるのだろう。

猫のような甘く胸をくすぐる歌声に、犬が元気に庭を駆けまわるようなピアノソロ。

オリジナル曲では、「もし猫ちゃんがいなくなったらどうしようという気持ちで書きました」と言うだけあって、感情移入がすんごい。

 苦手な曲に果敢に挑戦した『How High The Moon』。

アカペラからピアノソロへ、そして心の動きのように歌とピアノが絡み合う『Fly to the Moon』。

本能のままに音とじゃれ合うステージ上のふたりはもう犬と猫にしか見えない。

ここにある音はこのふたりでしかあり得ない。

 

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最高のライブのあとの一杯はうみゃーにゃー。

 

そんな、猫好きなあなたにオススメの映画。

青山真治監督『空に住む』。

主演は多部未華子さんと黒猫。

 

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「愛を喪失し、それでも未来へ歩き出す女性たちへ、エールを送る物語」

おっさんが行っても大丈夫?と思わせるコピーだが、『ロストベイベーロスト』の舞台挨拶に立たれた松尾渉平さんのピンクの髪を探しにMOVIX三好へ足を運んだ。

 

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「多部さんにお会いになられたのかな」とは、失礼なことを書いてしまった。

多部さん演じる直実が勤める出版社の同僚役ではないですか。

花と同化してわかりにくいが、0:23にピンクの髪だけ一瞬映っている。

 

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「ハルに出会ってから私は大丈夫になったんだよ」

人間よりも猫の方が大切なものを与えてくれる。

ドイツ出身の神学者・哲学者にして医師であり音楽家のアルベルト・シュヴァイツァーの言葉。

「人生の惨めさから抜け出す慰めは2つある 音楽と猫だ」

頭の中では J Soul  Brothers と共に、あかねさんの『Day by Day』が鳴っていた。

 

quartetto Respiro Dialogue The 4th cafe Live in Aichi

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2020.10.23 ジャズ茶房靑猫 

Quartetto Respiro

大澤愛衣子(violin) 大光嘉理人(violin) 福田紗瑛(viola) 三谷野絵(cello)


メンバー全員が、東京藝術大学の卒業生と修士で学ぶ学生で、みなさん愛知県のご出身。

このカルテットのコンサートに足を運ぶきっかけになったのは、チェロを弾かれている三谷野絵さんのお父さんとのご縁。

その三谷さんとは、私が2015年に企画した『エビデュオ名古屋ライブ@THE WIZ』にご参加いただき、そこから仲良くさせていただいている。

 

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小田朋美さんの大ファンとのことで、「よくぞ呼んで下さった」と、打ち上げにもお付き合いくださり、ハチャメチャに楽しかった。

その時に野絵さんの話はされていなかったが、東京藝大の作曲科を卒業された小田さんは大学の先輩にあたる。

ちなみに King Gun の常田氏はチェロを専攻されていたので、同じ専攻の先輩にあたる。

 

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以前ブログで紹介させていただいた、靑猫の上にあるフランスパンのお店ダコテのイートインコーナーで、メンバーのみなさんとちょうど入れ違いになった。

 

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 開場時間を待ちながら、美味しいパンでしばしまったり。

 

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今回で4回目となる地元愛知でのカフェライブ。

靑猫に決まった経緯をお聞きしたところ、三谷さんの奥さんに一任されているそうだ。

名古屋・尾張三河とバランスを考えて、ライブに関係なくお寄りしてみたいと思えるお店ばかり。

名古屋 : JAZZ 茶房 靑猫  江南  : TEA HOUSE KONAN     岡崎  : 一隆堂喫茶店・読書室     東海  : Space Cafe Gallery 藍         安城  : cobaco ne cobaco          

 

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ホールコンサートでの包み込まれるような感覚とは違い、至近距離からのダイレクトな反響音でダイナミックな聴き応え。

細かな指使いやテクニカルな弓の動きもバッチリ見て取れる。

そして、カルテットの名前になっている「呼吸」がひとつになっている様も。

第1バイオリンと第2バイオリンを曲によってフレキシブルに変えているのもこのカルテットならでは。

こういう寸分の隙のない演奏を聴くと、ジャズはヤクザな音楽だとつくづく思う。

もちろん悪い意味ではなく、ヤクザな音楽は好みだし、方向性の違いである。

ジャズのライブを聴いて好みでない方がいても否定はしない。

でも、このカルテットは好みを超えて誰しもを魅了する力があるように感じた。

それは、研鑽を積み重ねてきた重みと、出身地と学び舎が同じだからこその類稀なるチームワークを音から感じることができるからであろう。

 

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モーツァルト

   弦楽四重奏14番K.387より第4楽章

シベリウス

   アンダンテ・フェスティヴォ

ラヴェル

   弦楽四重奏より第2楽章

ピアソラ 幸松肇編曲

   オブリヴィオン (忘却)

ヴィヴァルディ

   四季より冬

コスマ 武満徹編曲

   枯葉

サティ

   ジムノペディより

 

定番の曲に何処かで聴いた曲、時にはたたみかけ時にはやすらぎ、ピチカート奏法と斬新なアレンジ。

門外漢でも楽しめるよう、よく練られたプログラム。

4挺の楽器から生み出される音の宇宙は星が煌めき希望は無限に広がっていた。

 

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マスターも大絶賛。

5回目、6回目と、ずっと続けて行っていただきたい。

 

soundcloud.com

 

コンサート終了後、三谷さんと「エビデュオをまた名古屋でお聴きしたいですね」とお話しした。

CRCK/LCKS も DCPRG も FINAL SPANK HAPPY も、その他のユニットにソロもいいが、エビデュオ復活してほしいなぁ。

小田先輩、よろしくお願い致します。

本気のしるし其の二 ・ 椿田薫5

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2020.10.18 センチュリーシネマ 本気のしるし 深田晃司監督舞台挨拶

 

1回目の観賞後、センチュリーシネマのロビーで深田監督の舞台挨拶があることを知り、これは行かねばと、この日の予定を変更して足を運んだ。

劇場には映画ファン、深田晃司ファン、星里もちるファン、が集まり、コミックを抱えたかなりのマニアらしき人も。

星里もちる先生の同名コミックが原作であることは広く知られるところだが、星里先生の作品がセリフの中に散りばめられている遊びがあるなど、裏ばなし満載のトーク

「オムライス」もそうだったんだ。

メ~テレ制作のテレビドラマの放送エリアは、愛知、岐阜、三重の東海3県とテレビ神奈川だけだったので、映画化はまったく予想をしていなかったとのこと。

名古屋のローカル局から全国に発信できたことは、この地方にとっては特別な作品となった。

 

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質疑応答での丁寧で真摯な受け答えと熱い語り口に、深田監督にとっても特別な作品であることがうかがえた。

ファムファタールものにならないようにセリフを書くときは男性女性を意識しないようにしたこと。

立体感や引きの映像など、撮り方がドラマっぽくないという評判にしめしめと思ったこと。

愛の解釈について、そのわからなさを4時間かけてやっぱりわからないよね、ということを知る時間になってもらえたらということ。

コミックを映像化する難しさや、晴れたシーンが少なかった理由について、などなど。

ざっくりとしか書けないが、興味深いお答えにあっという間の30分間。

進行役の方からのハッピーエンドかそうではないかの会場への質問に、挙手がほぼ半々になったのを見て、してやったりの表情を浮かべられていた。

みんながみんな同じように感動して涙を流す映画は疑わなくてはならないと、深田監督。

深田作品の答えはスクリーンの中ではなく、観た者の中にある。

自分が洗い出される濃密な4時間。

ぜひ足をお運びください。

 

舞台挨拶終了後、本来の予定であった金山Mr.Kenny's に自転車で向かう途中、東別院にあるメ~テレの前を通った。

 

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ちなみに、ビルに番組名がある朝の情報番組『ドデスカ!』は、どうですか?と、朝のご機嫌を伺っているのではなく、黒澤明監督の映画『どですかでん』からのネーミング。

主人公が電車ごっこをするとき、電車が進む音を表現した言葉である。

 

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Mr.Kenny's  椿田薫 5

椿田薫(as)  中垣あかね(vo)  渡辺翔太(pf)  清水行人(gt)  山下佳孝(dr,per)

お店に着いてドアを開けようとしたタイミングで 2ndステージが始まった。

 

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席についてまずは裏ばなしならぬ裏メニューのオムライスを注文。

あの二人はあれから一緒にオムライスを食べたのだろうか?と、思いを巡らせながら口にすると、とろとろ卵の甘みとスパイシーなチキンライスの塩梅が抜群の大人の味。

メニューにはないが、卵と余裕があれば作っていただけるので気軽にご注文を。

 

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ライブもジェントルな大人の味付け。

椿田さんほど優しく抒情的なサックスを吹かれる方を他に知らない。

おそらく内面的な優しさが音になっているのだろう、音に濁りがない。

「明日からまたお仕事だと思いますが、聴きにきてくださってありがとうございます」

MCにも実直なお人柄がうかがえる。

名古屋を中心にご活躍されているローカルミュージシャンだが全国でも通用する実力。

あかねさんの心洗われる透き通るようなボーカルとのマッチングはこの地方に限らず多くの方に聴いていただきたい。

全員の目線が揃った写真がなかったので、メインのおふたりから目線をいただいた写真をチョイス。

コミックを映像にするのが難しいように、音楽を文字で表すのも至難の業である。

なので、YouTube でお聴きください。

 

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たまたま付けていたNHKのニュースで『鬼滅の刃』のヒットの話題に触れており、何回泣いただの、家族愛についてどうだの、みんなが同じ話しをしている様子が放送されていた。

鬼滅の刃』は観たことがないし、さほど興味もないが、主題歌を歌っている LiSA さんが名古屋のローカル局CBCの野球中継でのテーマ曲も歌っていて、中日ファンにとってはビシエド級の存在感。

 

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HAKUEI KIM  Piano Solo

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2010.10.16 THE WIZ  ハクエイ・キム (pf) 

 

ニューアルバム『TRACES』のリリースライブであるが、全曲完全即興演奏のライブ録音であるため、アルバムの再現演奏.......なんて、もちろんやりません。

 

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オリジナルを中心に、ボサノバの名曲『Gentle Rain』や、2018年にリリースされた『RESONANCE』に収録されているジョン・マクラフリンの『A Lotus On Irish Streams』など、秋の夜にスパークリングワインようなキラキラした音の泡が哀愁を誘う。

その中にどっぷりと肩まで浸かってうっとり酔いしれるコクボッチ。

 

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完全即興 (インプロヴィゼーション) ライブでこの1枚と言えば、てっぱん中のてっぱん、キース・ジャレットの『The Köln Concert』を誰しも挙げるだろう。

そのアンコールで弾いた『Part Ⅱ c』を、アンコールで弾かれたのには殺られた。

美しさの極みのインプロだが、この曲だけ『Memories Of Tomorrow』というタイルが後になって付けられているのはちょっとあざといかな。

『TRACES』のタイトルは、ハクエイさんがインスピレーションで決められた。

 

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ジャズはアドリブの音楽であるが、コード進行やテーマに基づいて自由に演奏するアドリブと、一切何も決めていない真っ白な状態からコード進行やテーマやキーの転調などを決めながら演奏するインプロヴィゼーション (即興) は別物である。

アドリブができなければジャズミュージシャンとは言えないが、ジャズミュージシャンならインプロヴィゼーションができるとは限らない。

ここで言う「できる」とは、お金をいただいたお客様を満足させる演奏ができるという意味である。

ましてや完全即興ソロライブとなれば、企画するミュージシャンはまずいない。

 

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ピアノ線の上で綱渡りをするように絶妙なバランスをとりながら音符が繋がっていき、その場の集中力や緊張感も聴こえてくるようだ。

全9曲、1曲ごとにそれぞれのアプローチで、構成力、芸術性、テクニック、匠による調律と録音、聴けば聴くほど完成度の高さを感じる究極の1枚。

 

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Sold Out となったこの夜。

「12月にまたソロで名古屋に来ますので、よかったら」とハクエイさん。

12月6日 (日) の Mr.Kenny's も Sold Out 必至なので、ご予約はお早めに。

本気のしるし・ロストベイベーロスト

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2020.10.11 

シアターカフェ 『ロストベイベーロスト』

センチュリーシネマ 『本気のしるし』

 

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ロストベイベーロストの上映後、主演の松尾渉平さんが舞台挨拶に立たれた。

この日の次の上映後には松尾さんに加え、撮影・編集の米倉伸さん、整音の斎藤愛子さん、出演の福本純里さんが来られ、豪華な舞台挨拶になったそうだ。

でも、この中に名古屋出身の柘植勇人監督の名前はない。

本作撮影後に他界されたため、劇場デビュー作が最期の作品となった。

 

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京都造形芸術大学 (現・京都芸術大学) の映画学科を卒業して間もない若者たちによる作品。

京都造形芸術大学と言えば少し前に『二人ノ世界』を紹介させていただいたが、撮影時期的に繋がりがあるだろうと思われる。

 

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何でも屋として怠惰な生活を送る陽平(松尾渉平)がある日家へ帰ると、暗がりの中で恋人の凛子(村上由規乃)が見ず知らずの“赤ん坊”を抱いていた。「赤ちゃん、持ってきちゃったみたい」。ポツリとそう答える凛子に驚き呆れる陽平。未来のない生活の中、誘拐という形で強引に母になろうとする凜子。やがて陽平はその“赤ん坊”と向き合い始めるが…。

 

柘植監督がフィルムに焼き付けた熱量を、どれだけ温度を落とさずに編集できるのか。

ヒリヒリするような映像の中に残したメッセージを探す。

スクリーンに映し出された虚無感を抱えて行き場のない、何処かに居そうな人々は、きっと何処かの街の何処かに居て、きっと懸命に生きている。

 

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ヒモで納豆トーストにタバコをくわえる陽平とは違って、爽やかな好青年の松尾さん。

10月23日公開の青山真治監督『空に住む』にご出演されているとのこと。

髪がピンク色ですぐにわかるそうなので探しに行きます。

主演の多部未華子さんにはお会いになられたのかなぁ。

 

theatercafe.blog.fc2.com

 

シアターカフェでの上映は10月18日 (日) までなので、是非。

 

 

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シアターカフェを出て、名古屋PARCOへ。

上映時間が約4時間あるので、うどん屋の前で入ろうかと迷ったが、さほど空腹ではなかったのでやめといた。

センチュリーシネマにて、深田晃司監督 『本気のしるし』《劇場版》を鑑賞。

名古屋のテレビ局、メ~テレが制作し大好評だった深夜枠のドラマを再編集した作品で、カンヌ国際映画祭の「オフィシャルセレクション2020」に選出されるという快挙を果たしている。

 

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深田監督を知ったのもシアターカフェ。

『ほとりの朔子』『椅子』など、長編に短編といろいろ鑑賞させていただいたが、中でも『東京人間喜劇』には衝撃を受け、ご無理をお願いして上映会を企画させていただいた。

なので、テレビドラマは全10話、鑑賞済み。

今まで原作モノは撮られていなかったので、まずそこに驚いたが、映画学校の時代にコミックを読まれて、ずっと映像化を考えておられたとのこと。

しかも、当初から映画ではなく連続ドラマで撮りたかったそうだ。

なるほど、一話ごとに森崎ウィンさん演じる辻と一緒にどんどん深みにはまっていく。

映画として2時間の作品を撮っていたら、これほどの作品にはならなかっただろうし、編集して4時間の作品にしようと決めたのは映画に対する『本気のしるし』である。

北村有起哉さん演じる脇田が辻に向かって「辻さんは心の奥で地獄を求めている、葉山さんはそれに好都合なんです」と言うシーンに、長年あたためてきたこの作品は深田監督の洞察力の原点なのかもと思った。

心に纏っているものを脱がされていく。

 

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その葉山浮世という難しい役を見事に演じた土村芳 (かほ) さんは素晴らしかったが、彼女もなんと京都造形芸術大学のご出身。

『二人ノ世界』の土居志央梨さんとは年齢が近いので多分お知り合いだろう。

それぞれ、土村さんと土居さんでなければまったく違う作品になっていたと思うと、改めてキャスティングの重要性を感じるしかない。

途中から髪をピンクに染めて豹変したみっちゃんを演じた福永朱梨さんにもやられた。

 

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17時25分から上映開始で、232分の上映時間に予告編・休憩時間もあり、劇場を出る頃には21時40分を回っていた。

おそらく空腹のせいだろう、残り1時間くらいからお腹が鳴り続けた。

後ろの席の方、聞こえていたらすみません。

咳はこらえることができても、お腹が鳴るのはどうしようもない。

でも、臓器が空腹を訴えていても、脳ではまったく空腹を感じなかった。

もちろん、ケツの痛みも。

スクリーンに引き込まれて、あっという間のエンドロールだった。

最高の映画のしるし。

 

10月18日 (日) 15:50の回上映後に深田監督の舞台挨拶があるので、是非。

 

キメナイト ランチライブ

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2020.10.11 Mr.Kenny's 宮坂俊行 (vo,gt) 成瀬明 (gt,cho)

 

ジャズが苦手という方にもオススメしたいDUO。

ライブのオープニングはこの曲とキメている『Ordinary World』。

ファーストアルバム『Colors of Covers』もこの曲から始まる。

意外な選曲にも思えたが、デュラン・デュランのナンバーを見事に自分たちのモノにしている。

 

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続くビリー・ジョエルの『Just The Way You Are』(素顔のままで) では軽快にスウィングしてジャジーにキメる。

他にカーペンターズの『Super Star』や 10ccの『I'm Not In Love』など、洋楽好きのアラフォーからアラフィフ世代なら誰しも心惹かれる曲が並び、ハッピーなオリジナルナンバーも加え、お昼のライブを意識した爽やかなセットリスト。

ジャズボーカルは圧倒的に女性優位の世界で、男性ボーカルはちょっとやそっと上手いくらいではなかなか聴いてもらえないのが現状であるが、その中で名古屋に留まらず活動の場を広げられている宮坂さんは間違いなくこれからのシーンをリードしていく存在である。

イケメンで上手いというだけでなく、インテリジェンスと色気も感じる歌声。

 

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思わずジャケ買いをしてしまう男性ジャズボーカリストはそうそういない。

その宮坂さんと組むのは名古屋を中心にご活躍されているギタリストの成瀬さん。

ギタープレーには定評はあるが、歌うのはおそらくDUOを結成してからであろう。

本職ではないが、汗をかき熱唱する宮坂さんにクールに絡む絶妙な塩梅。

 

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結成してもうすぐ3年、セカンドアルバムの制作も進められているそうだ。

その中に入るのか、この日初めて演奏されたビリー・ジョエルの『The Stranger』。

口笛をかっこよくキメ、間奏のギターもスリリングにキメた。

6月のホールコンサートがコロナ禍で流れてしまったが、リベンジをすべく1月に会場を抑えられたそうだ。

ぜひ正式発表をキメてもらいたい。

 

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コロナ禍でまだまだ集客が大変な中、お昼のランチライブも続けていきたいという美穂さん。

夜のメニューにはないオムライスを注文したところ、とろとろ卵で専門店をも凌ぐ美味しさ。

美穂さんおひとりで厨房に立たれているので、ケニーズ名物ローストビーフ丼や、ピザ、パスタなどに比べて手間が掛るオムライスは混雑時にお客様を待たせないように夜はメニューから外されているそうだ。

 

オムライスの向こう側でふたりで素足に革靴をキメている。

好評につき、12/13(日) のケニーズのランチライブもキメた。