necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

泣く子はいねぇが

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2020.11.23 MOVIX三好 『泣く子はいねぇが』

 

佐藤快磨監督、劇場デビュー作品にして、31歳の若さで、こんな凄いのを撮られるとは。

監督の力量もさることながら、そのお人柄から、おそらく俳優陣やスタッフからも監督を盛り上げようという気運もあったのだろう。

 

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 2014年に『ガンバレとかうるせぇ』で、ぴあフィルムフェスティバル映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)&観客賞をダブル受賞して注目され、主演の仲野太賀さんとは2016年の『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』でもタッグを組まれている。

この2作品の他、助監督をされた『できる子の証明』(原田裕司監督) などをシアターカフェで鑑賞させていただいたが、追っかけっている監督のご活躍はうれしい。

(『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』の感想はネタバレ注意。下に上映情報があります。)

 

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佐藤監督の出身地である秋田県を舞台にした、大人になり切れない、すべての大人たちに捧げる物語。

 

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『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』の撮影をしているときから、太賀さん主役でなまはげの映画を撮りたいという思いを持ち続け、その時から決めていたラストシーンは圧巻。

なまはげは鬼ではなく神様だそうだが、出演者それぞれが魅せた、なまはげを思わせる形相からは台詞で語るより雄弁に情感が伝わってきた。

エンドロールには『佐藤快磨監督を応援する会』のみなさんのお名前があり、ここからも佐藤監督のお人柄が伺える。

そして、名古屋でもシアターカフェにて佐藤快磨監督を応援する企画がある。

各回10名の定員なのでご予約はお早めに。

 

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彼女は夢で踊る

f:id:necojazz:20201121234934j:plain2020.11.21 シネマスコーレ 『彼女は夢で踊る』 時川英之監督

広島に実在する閉館が迫ったストリップ劇場『広島第一劇場』を舞台に、忘れていた過ぎ去りし日々の淡い恋がステージのライトに浮かび上がる。

 

おそらく多くのミニシアターがそうであるように何処のストリップ劇場も経営は厳しいであろう。

もちろんコロナ禍の影響もあるが、世の中の流れでコロナ禍の遥か以前に東海3県では岐阜柳ケ瀬にある『まさご座』だけになっていた。

そこに貼ってあったポスターでこの映画のことを知った。

 

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ストリップ劇場について間違った認識や偏見を持つ方は少なくないだろう。

音楽や映画や舞台などに芸術性を謳うようにストリップもその範疇にある。

振付はもちろん、選曲や演出、衣装に小道具など、踊り子さんひとりひとりが自分の世界を創り上げ、研鑽を積み重ねる。

そして実力主義の厳しい世界である。

 

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スクリーンの中で舞う岡村いずみさんは本当の踊り子さんと見間違え、矢沢ようこさんは本物の貫禄。

お二人の舞いの美しさに見惚れるだけでも観る価値十分。

 

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舞台挨拶での時川監督。

主演の加藤雅也さんの役づくりは、劇場の社長さんを外見のモノマネではなく本質を再現され、踊り子さんはその演技だけで号泣されたそうだ。

事情により監督が思い描いていたラストシーンが撮れなくなり、当日の朝になっても決まっていなかったそうだが、禍を転じて福と為す。

お話しで伺ったラストシーンよりこちらで良かったのではと思う。

松山千春さんの『恋』とレディオヘッドの『クリープ』、選曲も秀逸。

 

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スコーレに行く前に伏見ミリオン座で『ばるぼら』を鑑賞して、こちらも素晴らしかったので感想は別途書きたいと思うが、余裕で移動できるはずだったところリモートの舞台挨拶があり、せっかくだからと最後まで居たら少し上映時間に間に合わなかった。

居酒屋で木下とサラが出会うシーンだったので、まだ始まったばかりだろう。

真っ暗な中でも満席であることは分かったので、座席伝いに前に行くと最前列の席が空いていて、ストリップで言うところのかぶりつきに腰を下ろしたが、道理で空いているはずで、舞台挨拶のコロナ対策として最前列は座ってはいけなかった。

暗くて気付かなかったとは言え、すみません。

 

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チケット販売が自動販売機やオンラインが当たり前になった中、未だに手売りをしているのはミニシアターやストリップ劇場などわずかになった。

最初の数分遅れて入場したことには関係なく、また足を運びます。

 

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主人公はストリップ劇場という青春の場所をただひたすらに守り続けてきたが、閉館の危機にふと立ち止まり、歩んできた道のりを振り返る。

もちろん片道切符で後戻りすることなどできない。

ただその道のりを噛みしめるだけ。

涙の甘じょっぱい味がした。

 

牧山純子ニュープロジェクト『アレグリア』発売記念ライブ (ネタバレ注意)

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2020.11.13 今池ボトムライン

牧山純子 (vln,e-vln) 安部潤 (pf,key) 森光奏太 (b) 磯貝一樹 (gt) 川口千里 (ds)

 

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これほどまでにミュージシャンもリスナーも待ち望んだリリースライブはないだろう。

4月8日に発売されたキングレコード移籍第一弾アルバム『アレグリア』。

そのリリースライブが4月24日名古屋ブルーノートに決まったが、コロナ禍により5月27日に延期となり、さらに振り替え公演も延期となってしまい、再振り替え公演が決まりそうだとお聞きした矢先、8月15日に名古屋ブルーノートが廃業となった。

その時点で、もしリリースライブがあるとしたらボトムラインだろうと期待はしていたが、そのボトムラインクラウドファンディングで支援を募るなど、ご多分に漏れず経営が大変だという話は聞いていた。

 

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その状況下での席数を減らしての『アレグリア』リリース記念ライブ。

発売日から半年以上が経過したが、絶対に『アレグリア』をライブで届けたいという牧山さんの強い想い、開催できなかった名古屋ブルーノートの無念な想い、それを受け継いだボトムラインの熱い想い、様々な想いを感じて席に着いた。

 

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リリースライブで全曲CDの曲順に演奏するなんて話は聞いたことがない。

それほどまでに想い入れの強いアルバムだろうし、曲の並びもこれ以上はないという確信のプログラム。

疾走感溢れる『ラ・フェット・ドゥ・モール』から始まり、クラシック以外は音楽ではないという環境で育った中でもこの曲は知っていたというイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』に、エレクトリック・マイルスの『PORTIA』の香りが漂う超クールな『スコッチ・ミスト』など、どれもニュープロジェクトの名に相応しい。

 

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後半の一番の聴かせ所で真っ赤な指板のエレクトリック・バイオリンに持ち替えての、この楽器のために書いた『infinity』では、ステージの上に虹が架かったかのようにカラフルで艶やかな響き。

T.REX の『20thセンチュリー・ボーイ』のリフはまさにエレキギターディストーション

黒く塗りつぶされたスタイルで不良少年のように荒々しく掻き鳴らす。

 

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もうラストだとわかっている『ブリザ・デ・アレグリア』で、喜びの風を感じながらの大円団。

アンコールの『チャルダッシュ』はお馴染みの曲だがいつもと違うニュープロジェクトアレンジでエレキギターと超速弾きの競演も。

西山瞳さんとのイングヴェイも期待してしまう。

 

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今回のリリースライブは東京と名古屋のみだったが、年明けの1月7日にビルボードライブ大阪でのライブも決まったとのこと。

ボトムラインでは『ムーン・シャドウ』で豪快なドラムソロを叩きまっくていただいた牧山さんとはレーベルメイトである川口千里さんの「Dynamogenic」(12月23日発売) のリリースライブがある。

牧山さんから話を振られて、ライブの日程で「1月じゅう、う~ん」となってしまったが、何処からか「1月19日」と、船場吉兆の女将の囁きが聞こえた。

平手裕紀 Quartet

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2020.11.12 平手裕紀 (pf,key) 成瀬明 (gt) 坂崎拓也 (b) 杉山寛 (ds)

 

それぞれに気心の知れたメンバーだが、この4人でのライブは初めて。

自分の曲を演奏してもらうにあたって、音楽性だけでなく多少の無理は聞いてもらえるだろうということでお願いされたそうだ。

1曲目から譜面6枚の大作に苦笑いの成瀬さんと余裕の笑みの坂崎さん。

 

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平手さんには天音さんのピアノソロのレビューでは一部失礼なことを書いてしまったが、そのことについて謝ると、笑って「いいですよ」と、懐の深さにほっと一息。

そして人間性は音にも表れる。

音の懐も深い。

コロナ禍の間に作ったという曲たちは都会的な三拍子のナンバー『梅雨(ばいう)』など、ちょっと今までの平手さんにはないタイプだなと思っていたら、余裕ができた時間でニューヨークの最新音楽を聴くなど、インプットにも費やされたそうだ。

テクニックだけでなく感性を磨くことにも歩みを止めない。

 

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平手さんが音大生の時に制作された YUKI HIRATER TRIO の『FIRST STEP』を久しぶりに聴いた。

メンバーは平手さんの他に高校時代から一緒にやっている寺島諒さん(b)と、この夜も叩いていた杉山寛さん(ds)。

ゲストには活動の拠点をニューヨークに移された坂本菜々さん(tb)とバークリー音楽大学に留学中の壱岐薫平さん(cl)というスーパーな面々で、すてべが学生の手による作品だとは思えない完成度の高さが光る記念すべき第一歩。

そこから歩みを止めることはない。

 

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12月18日に豊橋で今晩のカルテットと同じメンバーでのライブがある。

豊橋のライブは延期になったそうです)

会場のPLATは YUKI HATATE TRIO で学生の頃から何度かお世話になっているそうだ。

おそらくPLATの関係者も歩みを止めない平手さんをずっと見続けているのだろう。

アンコールでのまだタイトルがついていないクリスマスソングはこのライブのために書いた曲なのかな。

 

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さほど月日は経っていないが、みなさん精悍になられた。

今晩のカルテットは定期的にお聴きできるだろう。

いつか、ステップアップした YUKI HIRATE TRIO +2 も聴いてみたい。

 

杉山寛トリオ 1st Album "From My Tiny Experience" 発売記念ツアー

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2020.11.7 THE WIZ 杉山寛 (ds) 渡辺翔太 (pf) 荒川悟志 (b)

 

リーダーの杉山寛さんのオリジナルしかやらない杉山寛トリオ。

なので、1st Album "From My Tiny Experience" も、言うまでもなく、すべて杉山さんのオリジナル。

 その拘りが詰まったファーストアルバムのリリースツアーで、しかも会場は地元名古屋、しかも SOLD OUT の大盛況。

これだけの条件が揃えば、薬物なしでもドーピング状態。

 

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7月にココでお聴きした時も「先日レコーディングした曲なのに全然違うことになっている」と、熱のこもったライブになったが、この夜はそれを超越してどの曲も30%~50%での増量で煮えたぎったライブだった。

 

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アルバムのタイトルにもなっているとびっきりのバラード『From My Tiny Experience』。

杉山さんのコンポーザーとしての力量の高さがうかがえる珠玉のナンバー。

CDではそっと寄り添う感じだが、ライブではぐっと抱きしめるような力強さもあって、杉山さんも「3年近く演奏してきて一番盛り上がった」と納得の表情。

 

 

 

アルバムのオープニングを飾る『Storyteller』。

 その語りは私には冒険活劇のように聴こえた。

CDを凌ぐスケールでの15分に及ぶスピーディーで歯切れの良い展開とロマンスに痺れっぱなし。

溢れ出るドーパミンが次々とイメージを膨らませるアドリブの凄まじさはライブだからこそ。

 

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CDには収録されなかったがライブの定番で人気の高い『Asymmetry』や、前日の東京からの帰り道での車の窓から見た風景をイメージしたという出来立てほやほやの『車窓』(仮)など、構成もグッド。

 Quartetto Respiro の時に、クラシックと比較してジャズはヤクザな音楽と書いたが、この夜はヤクザの中のヤクザ。

仁義なき戦い

どっちも、どっちも。

さいころの出目はピンゾロの丁!

牧瀬茜嬢 其の二

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2020.11.6 まさご座

 

前回、牧瀬茜嬢にお会いした時にやっちまいました。

 

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何か差し入れをと思って、午前中に知立に居たので藤田屋で大あんまきを購入したのだが、却ってご迷惑だったのでは。

 

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ステージの踊り子さん達はみなさん美しくしなやかで、それは不断の鍛錬と普段からの節制の賜物であろう。

それに見惚れながら、カロリー制限とかもされているのだろうなと思うと、そのまま持って帰ろうかとも思った。

「気が利かない差し入れですみません」とお渡しすると「大丈夫ですよ」と笑顔で受け取っていただいたが、差し入れよりも写真を購入する枚数を増やすのが気の利いた客だろうと思う。

ポーズを注文して1枚500円で撮ることができるのだ。

 

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ストリップ劇場も踊り子さんもコロナ禍で大変なのは間違いないが、ジャズのライブハウスや映画館と同様に安心して入場できる。

もともと踊り子さんや衣装に触れるのはご法度だし、静かに鑑賞するのもマナーで、キメのポーズでは掛け声ではなく拍手を送る。

劇場側は検温・消毒・ソーシャルディスタンスをきちんとされているので、客側としてもマスクは必ずして行こう。

 

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この日扉を開けると、天井から吊るされたポールに掴まってクルクルクルクルと回っているではないか。

するとそのポールに沿って足を広げて、ステージと垂直になるかたちで180度の開脚。

すんげー、永瀬ゆら孃。

茜孃は碧い海を泳ぐ魚のように優雅に身体をくねらせ、キメのポーズを珊瑚礁のようにきらびやかに魅せる。

彼女は踊り子の他にも、米軍基地の建設から辺野古・大浦湾一帯の海の環境を守る活動や執筆、イラスト、写真なども手掛けていて、その才能と生き方には感銘を受ける。

客席の後ろの方で何をしているのだろう?と思っていると、徐にステージの横に行って、たんまり巻いて準備した紙テープを次々にステージに向かって投げ入れ、また戻っては巻いていた。

他にもリズムに乗ってタンバリンを叩く客など、客席でも楽しませていただいた。

 

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まさご座を出て、柳ケ瀬から金山へ。

絶滅危惧エンターテインメントと言えるストリップ劇場には昭和の匂いが漂うが、この日のケニーズもジャズライブではなく昭和のBAR。

いつもお一人で厨房を切り盛りされている美穂さんは今日はお客様。

メニューはすべて菜央さんと真結さんが考案して料理も二人でされていた。

 

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クリームソーダ昭和の向こうでめくるめく昭和歌謡を熱唱する菜央さん。

 

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料理はどれも絶品でつい食べ過ぎてしまった。

誰か、パンシロン持ってきて。

 

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 昭和的乾杯で、おっさんのようにグラスを高々と上げる真結さん。

バックには長渕剛の『乾杯』が流れていた。

 

ここで菜央さんと真結さんからライブの告知。

12/17  Mr.Kenny's   Nao Shibata BAND  

11/28  新栄 APOLLO BASE   ペンギンラッシュ

詳細は、Mr.Kenny's、ペンギンラッシュ、の各HPで。

尚、12/13 名古屋 Electric Lady Land でのペンギンラッシュのライブは SOLD OUT になったとのこと。

 

こちらのBARでは何枚写真を撮ってもタダでした。

 

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癒しとやすらぎのコンサート

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2020.11.2 大安寺

万葉SOUL  竹中信子 (vo) 村尾浩史 (key)

瑠璃音 (るりね)  笠井詠子 (fl) 中山夕子 (key)

TOMOO&SAKI  野上朝夫 (key) 籠谷紗希 (vl)

 

生憎の雨でライブが開催されるのか?という一抹の不安を持ちつつ奈良の大安寺に到着すると、境内ではなく獅子吼殿と本堂の二ヵ所に会場を移して3組が交互にライブをするプログラムに変更されていた。

天気予報を見て、おとといくらいに雨天時のプログラムを作成されたそうだ。

 

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さすが三馬先生。

ドクターでありサックスプレーヤーでもあって、病院などでのライブの企画もされている。

コロナ禍では「こんな時だからこそ」と、病院の暗くて重い空気を生の音で吹き飛ばすべく、月曜日のお昼の時間に客席なしでのロビーライブを再開された。

三馬先生とは、古都の佇まいを残す高畑地区にあるカフェ ろくさろん で、先生が企画されたライブでお話をさせていただいてからのお付き合い。

 

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その ろくさろん へ何度か伺ううちに、お客さんとして来られいた村尾浩史さんや野上朝夫さんとも面識ができ、今回ご出演されるということで、ぜひお聴きしたいと楽しみにしていた。

 

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本堂の厳かな空気の中で古の想いを綴る万葉SOUL。

現代のメロディとシンセサイザーでのアレンジに乗せた大伴家持らの言魂に、しばし時空を超えて心は万葉の時代を彷徨う。

三馬先生のサックスも初めてお聴きすることができラッキーだった。

 

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瑠璃音は、おそらく正倉院の宝物からのネーミングだろう。

クラシックをベースに様々なジャンルからの調べは、情熱の名残のようにまどろみに埋もれたいくつもの思い出をよびおこしてくれる。

ドビュッシーの『月の光』は瑠璃色に輝いていた。

 

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ジブリのキャラクターのようなお二人、TOMOO&SAKI が奏でるジブリジャズとそれぞれのオリジナル。

演奏者がこれほどまでに楽しんでいるライブは他に記憶がない。

タイムオーバーの中でのまさかのアンコールに飛び跳ねて喜び、童謡『ふるさと』を会場全体で歌い終わると、何人もの方が涙をぬぐっていた。

 

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野上さんと最初にお会いしたときは、奈良での音楽活動がまだ暗中模索の頃だったと思う。

元々は横浜にお住まいで関東を中心に活動をされていたが、東日本大震災を機にご家族で奈良に越してこられた。

何の伝手もなかった奈良で今このようにご活躍されている要因は音楽性とお人柄。

三馬先生が一緒にやりたいと思われるのに時間は要らなかった。

音楽に対する志が近いのだと思う。

 

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紗希さんのオリジナル『ほんの少しの勇気』。

のびやかで透明感のある音色に高度なテクニックを感じるが、それよりも身体から溢れ出るお人柄と笑顔に聴き入ってしまう。

 

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野上さんが関東で活動されているときのピアノソロで、『はじまりの種子』は東日本大震災のチャリティーのために作られたそうだ。

奈良に越されてからは阪神淡路大震災も想って弾かれているのだろう。

 

2022年秋に自宅から自転車で30分のサイクリングコースである愛・地球博記念公園ジブリパークがオープンする。

自転車を漕いでそこで TOMOO&SAKI のジブリジャズを聴きに行けたなら最高である。

スタンリー・クラークの中で一番好きなアルバム『JOURNEY TO LOVE』の日本でのタイトルは『慈愛への旅路』となっていて、LOVEを愛ではなく慈愛と表現している。

TOMOO&SAKI をはじめ、三馬先生と繋がっている音楽は慈愛に満ちている。

だから「癒しとやすらぎ」がある。