necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

NakamuraEmi「Momi Release Tour 2021」 Acoustic公演

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2021.10.23 club-G  NakamuraEmi (vo)  カワムラヒロシ (gt)

 

9月25日の北海道から始まった「Momi Release Tour 2021」 Acoustic公演。

日本のへそ (人口重心) である岐阜は全21粒中11粒目とツアーのへそ (折り返し) でもあった。

後半は関西、中国、四国、北陸、九州、とまわり、11月14日の鹿児島がAcoustic公演の最終日となる。

まだこれからライブに足を運ばれる方はネタバレありですのでご注意を

 

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本来は2020年3月29日にココで「 NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2 Release Tour」を行うはずだったが、コロナ禍で中止となった。

オープニングから4曲、『大人の言うこと聞け』など、そのライブで予定していたナンバーを立て続けに披露され、一粒で2度おいしいライブ構成。

そして、ニューアルバム『Momi』からのコーヒーをモチーフに人生の不安・後悔・苦さ、そして美味しさを歌った『drop by drop』へと。

 

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私も中止となったライブのチケットを手にしていて、club-G の近くにあるカフェ『Honky-Tonk』でオーナーである中本ご夫妻のウエディングパーティーに出席したあとに行く予定にしていた。

このカフェに寄るようになったのは Emi さんからのご縁で、自宅から岐阜市までは車で片道50kmあってずっと行く機会はなかったが、2017年5月2日の岐阜柳ケ瀬 ants での Emi さんのライブの際に初めて寄ってお気に入りのお店となった。

店内にはレコードやCDがたくさん置いてあり、ブルースやジャズを中心にセンスの良い音が心地よい音量で流れていて、オーナーご夫婦は Emi さんのファンでもある。

ライブ直前にお店に寄ると奥さんおひとりで、マスターは1歳3か月のお子さんを保育園に迎えに行っているとのことだった。

少しすると美男美女のいいとこどりの息子さんと帰って来られて、3人にお見送りをしていただきライブ会場へ向かった。

 

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club-G は通常スタンディングのライブハウスだが、コロナ禍で着席ライブとなった。

整理番号33番とまあまあ早い番号だったので最初は前の方の席をとったが、床に段差があり後ろの方の席でも小柄な Emi さんをバッチリ見ることができるので、ミキシングブースの前の席に移動した。

 

www.naomi0619.com

 

私のほぼ読まれていないブログの駄文に唯一毎回☆をくださる naomi1010 さんのブログ。

若い頃、真剣にピアノに取り組まれておられ、音楽繋がりで読んでくださったようで、私も彼女のブログを毎回楽しみにしている。

毎回と言ったが正確には毎日で、一日も欠かさずアップされていて、しかも内容が充実していてスゴイとしか言いようがない。

もちろん読者数も☆の数も私のブログの比ではない。

そのブログのライブ当日の記事で「お祭りとか、コンサートとか、人が集まる場所は、そこに集まる人達を元気づける、勇気づける力がありますね」などと書かれていて、後方の席からその様子を見たいと思った。

Emi さんとカワムラさんの歌声や演奏に観客は元気と勇気をもらい、声援は出せないが客席からの拍手やバイブスによってステージ上のお二人はさらにパワーアップする。

その様子を感じながらライブは会場全体を見渡せる席が特等席だなと思った。

そして、「大人は、見られてますよー(〃⌒ー⌒〃)ゞ」とも書かれていて、表現は違えども『大人の言うこと聞け』の歌詞とも重なるような内容だった。

ぜひご一読を。

 

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『Momi』に収録されているコロナ禍での人々と願いを歌った『投げキッス』。

「こんな大変な時期に...」と、仰っていた Emi さん。

コロナは収まってきているとは言え、またいつ広がるかわからない状況の中、満員御礼となった。

この会場に居る人はそれだけで恵まれている。

「切迫した毎日と戦う人にこの曲を聴く暇はきっとない」

と、歌詞にあるように、ライブがあってライブに行けるのが普通の生活だと思っていたが、そうではない。

感染してしまった人、医療従事者、失業者、リモートで学ぶ学生、お店を畳まれた方、時短営業の飲食店、子育て中の家庭、などなど。

考えてみれば中本御夫妻のお子さんは生まれてからずっとコロナ禍の中で生きている。

伸びやかで迫力ある歌声を聴きながら、涙をこらえてマスクの中の唇をギュッとかみしめた。

 

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ライブ会場で配られた Emi さんからのとどめのメッセージ。

会場ごとに書かれているためこれを読めるのは club-G に来られた人のみなので、内容はアップできませぬ。

ぜひライブ会場に足を運んで読んでくだされ。

アルバムタイトルの『Momi』は稲の籾のこと。

NIPPONNO ONNA シリーズで蒔いた種が苗となって稲が育って籾が実った自信作にして傑作。

だから手間を掛けて育てたライブは粒で数えている。

次回この地方のライブは11月30日のバンド編成での NAGOYA ReNY limited。

24粒目。

 

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ライブ終了後、21時30分までの営業となった、はなび岐阜店で台湾まぜそばをいただいた。

ライブは岐阜ネタ満載で、とくに岐阜出身のカワムラさんのご実家での「知らんけど」で笑いに包まれた。

たまたまひとつ前の記事で私も「知らんけど」を使っていたので、よろしければお読みください。

ウイルスのない世界となってマスクが不要になってもニンニクたっぷりの台湾まぜそばを食べたあとのマスクはマストである。

Silent Jazz Case 4 リリース記念ライブ

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2021.10.17 Mr.kenny's

島裕介(tp,flh,fl) 河野祐亮(pf) 杉浦陸(ba) 大津惇(dr)

sit in山本健人(tb)
 

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『Silent Jazz Case 4』のレコーディングメンバーによるリリース記念ライブ。
この日までは愛知県の時短要請期間により営業時間は21時までだが、曲数を減らすとか、MC少なめとか、アンコールなし、などといった制約なしで聴いてもらいたいというメンバーの意向と、日曜日ということもあり、時間を早めて OPEN17:00 START18:00 となった。

なので、1曲ずつエピソードも含めて説明をしていただき、アンコールまでゆったりと楽しむことができた。

 

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『R40』とは、40歳未満は聴かないようにといった年齢制限ではなく、ジャズは40歳を超えてからというような意味。

それなりの音楽を感じ取れるようになるには、聴き手としてもそれなりの研鑽を積まなければならない。

確かに巷で流行っているJ-POPなどは洗練されていて、一聴していい曲だなと思う耳障りの良いものはたくさんあるけど、大抵の曲は直ぐに聴き飽きてしまう。

サブスクにはコストパフォーマンスに優れ気軽に新しい音楽に出会えるという功の部分もあるだろうが、罪の部分としては音楽は大量消費するものとなり聞き流す (聴くではなく聞く) ものになってしまったように思う。

R50としてはサブスクは何もやっていないので知らんけど。

耳障りの良いものを聴くだけではなく、ちょっと難解だなと思うものをじっくりと聴き込んで、理屈でわからなくても感覚的に良いと感じる個人的な好みを見つけるのは面白いと思うのだが。

音楽は極めて個人的な楽しみである。

R20の方は『アビー・ロード』や『狂気』のようなコンセプトアルバムは聴かれないのだろうな。

 

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『R40』と『Philly's Dance』は前作『Silent Jazz Case 3』に収められている曲で、ライブでは吉岡大輔さんのドラムでお聴きしていたが、今夜お初の大津惇さんのドラムによって曲の雰囲気はガラリと変わっていた。

これもライブの面白味。

大津さんは座っているだけでも存在感抜群だが、叩いたときの存在感もハンパない。

曲のコントラストが高くなった印象でクイントリックスなプレー。by 坊屋三郎

わっかるかな~、R50でないとわかんねーだろーなー、イエイ。by 松鶴家ちとせ

 

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『Silent Jazz Case 4』からの『Japan Beauty』。

コロナ禍でツアーに行けなくなった時に、これまでに撮った旅先での写真を見返して日本の良さを再認識されたそうだ。

写真を見て思い浮かべるのは風景の美しさだけではなく、食べ物や人情などの美しさもあるのだろう。

この曲に限らずこれまでも Silent Jazz Case は日本の美を奏でていて、今作では『出雲聖水』という清らかなナンバーもあり、島さんのライブでは定番の名曲『Blue in Kyoto』は『Silent Jazz Case 3』に収録されている。

エレクトリックマイルスを彷彿とさせるマイルス・デイヴィスに捧げた『Never Die Miles』。

マイルスが亡くなったときに高校の屋上にスプレーでこのタイトルネームを書かれたそうだ。

その時に友人から文法が間違っていると指摘されたそうだが、『18'till I die』(知多半島一周の投稿を参照してくだされ) のカッコよさ。

ふと 007の『トゥモロー・ネバー・ダイ』を思い浮かべたが、007を「ダブルオーセブン」ではなく「ゼロゼロセブン」と言ってしまうのはR50の哀愁。

 

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サブスクではサインをもらえないし、価値のある物にはそれなりの対価を支払うべきだろう。

支払った分だけしっかり聴こうとすれば同じ音でも感じるものが違うのでは?

R50としては、やはりアルバム単位で楽しみたい。

HATSUNE HIRAKURA TRIO AT WIZ

f:id:necojazz:20211016074804j:plain2021.10.15 THE WIZ

平倉初音 (pf) 若井俊也 (b) 中村海斗 (ds)

 

両脇を屈強なボディーガード兼リズム隊に守られ、リーダーライブは名古屋お初ね、の初音さん。

THE WIZ へは6年前の高校生の時にお客さんとして一度来店されていたそうで、ベーシスト齋藤太陽さんの渡米前ライブを聴かれたとのこと。

その齋藤さんはバークリー音楽大学に学費免除の全額奨学生として入学され、現在はアメリカを拠点としてワールドワイドな活動をされている。

そして初音さんも齋藤さんと同じく学費免除の全額奨学生としてバークリー音楽大学に進学された。

 

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今回のブッキングはベースの俊也さんによるもので、名古屋ご出身で名古屋のライブハウスを知り尽くしている俊也さんが WIZ に決めたのはスタインウェイのピアノがあることと、お店との相性を考えてのことだろう。

オーナーの良子さんがピアノの響きがイマイチだと感じたときは下に敷いてある絨毯を取っ払うのだが、アメリカで揉まれた腕前は絨毯を敷いたままでもしっかりとスタインウェイを煌びやかに響かせていた。

響かせているといっても力任せに鍵盤を叩いている感じではなく、脱力したまま鍵盤を底まで押しきっている印象で、デリケートな強弱の表現力に指先の力強さを感じ、その指先でギュッとハートをわしづかみされ痺れた。

ライブ前におやつ感覚で味噌煮込みうどんをつゆまでしっかり味わったそうで、どうりで力強いはずだが、また名古屋に来られた際には親子煮込みの卵を残しておいて〆につゆで卵かけご飯にしていただくのがオススメである。

 

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プログラムはジュリ・アレンの1曲を除いてはすべてオリジナルといった構成。

チャールズ・ミンガスに捧げる美しいバラードやビル・エヴァンスの『Show-Type Tune』をオマージュした『Show-Type Tune No.2』はリスペクト感が溢れ、粒立ちした流麗さと強さを兼ね備えたスタイルはエヴァンスを思わせる。

アンコール前のアグレッシブなナンバーでは屈強な男たちの縦横無尽に暴れるバトルとの熱演に火花が散り、ハートは火傷した。

 

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前回「知多半島一周サイクリング」の投稿で書いた佐々木美穂さんのサイン入りアルバムが数日前に届いた。

ニューヨークで研鑽を積まれた確かな自信がみなぎるエネルギッシュな演奏。

初音さんも美穂さんも新型コロナウイルスの影響でアメリカから帰国せざるを得なかった。

実力があれば国籍や人種に関係なく評価して忖度や空気を読むといった言葉のないニューヨークの水が合っている美穂さんは年内にニューヨークに戻られるそうで、バークリーで学ばれている初音さんはアメリカに戻らないのかお聞きしたところ、リモートでの授業を受けて既に卒業されているそうだ。

現在は東京に住まわれ、これからも日本で活動されるとのこと。

想いはそれぞれ。

美穂さんと混同して初音さんにずっとニューヨーク、ニューヨークと繰り返して失礼しました。

バークリーはボストンでした。

 

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そしてニューヨークといえばこの方、海野雅威さん。

世界で認められている日本人ピアニスト。

昨年9月にコロナ禍でのアジア系住民に対するヘイトクライムが相次いでいたニューヨークで、ご自宅に帰る地下鉄の駅を出たところで8人の暴漢に襲われた。

鎖骨を骨折するなどのピアニスト生命にかかわる大怪我に遭われたが、そこから奇跡の復活を果たされた。

その来日公演が10月25日・26日の2日間、4公演が THE WIZ で開催される。

WIZ でのチケットは既に SOLD OUT しているが、日本各地でライブが予定されているので、ぜひ足を運んでいただけたらと思う。

そのチケットが出来上がったということで入手した。

犯人たちはまだ捕まっていないが、おそらく海野さんのニューヨークへの想いは変わっていないだろう。

 

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やはりボディーガードがいるのは心強い。

 

知多半島1周サイクリング

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2021.10.2  知多半島1周サイクリング

 

6月の浜名湖1周のあと、自転車に開眼したドラゴン服部シェフがクロスバイクを購入され、自転車部2回目のサイクリング。

当初は8月に予定していたが、雨、雨、雨で、3度延期になり、4度目にしてようやく天候に恵まれた。

ドラゴンから、ジャコデス・サントリー知多蒸留所・杉本美術館に寄りたいとのリクエストを受け、大府市あいち健康の森公園から出発するコースを設定した。

 

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途中でストップを押してしまったため2分割になってしまったが、走行距離102.49km、所要時間10時間54分55秒(休憩時間なども含む)、となった。

 

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日本時間の10月7日、ノーベル文学賞の発表があるが、今年も村上春樹氏は有力候補らしい。

私が着ているTシャツに『TEAM HARUKI』という文字と『羊男』のイラストが書かれているが、レーシングチームではなく、村上春樹氏の本だけを語り合う読書会『ハルキ会』のTシャツである。

メッシュ地で発汗性が良く運動するのには最適なのだが、読書会のTシャツがなぜこの生地でなぜチームハルキなのだろう。

小説家であるのと同時にランナーとしても偉大である彼は70歳を越えた今でもフルマラソンを走り続けている。

村上RADIOの年越しスペシャルで、2020年一番良かったこととして「フルマラソンの連続記録がちゃんと継続できたこと」と、語られていた。

そしてトライアスロン用のチタン製のスポーツバイクの車体には『18'till I die』(死ぬまで18歳) と書かれているらしい。

おそらく「彼と一緒に走り続けろ」という、管理人のけんとさんからのメッセージなのだろう。

 

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走り続けて1時間のところでCAFE&RESTパピヨンにて朝食タイム。

 

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私はトースト・目玉焼き・サラダが付いてくるドリンク代だけのモーニングセット。

ドラゴンがクラブサンドを注文すると店員さんがメニューをひっくり返して「モーニングセットの方がお得ですよ」と教えてくれた。

ソーセージが付いたりピザが付いたり、プラスいくらかでかなりボリュームのあるセットが10種類くらい並んでいたがクラブサンドはその中にはなかった。

ドラゴン曰く、クラブサンドの置いてある店では必ずクラブサンドを食べることにしているそうで、それは味を楽しむよりも勉強のためらしい。

それにしても、かなり食べ応えがありそうだ。

 

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パピヨンを出て少し行くと、趣のある煉瓦の建物が目にはいったので、写真を撮るために寄ることにしたが、好奇心旺盛のドラゴンは建物の中に入っていった。

 

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そのあいだ時間をもて余して相棒の写真を撮って待ってるとドラゴンが出てきて「カブトビールの工場だった建物」という情報を教えてくれた。

なるほどと満足して出発しようとしたところ、「ちょっとでいいから」と中に入るよう促された。

確かに中に入ると面白いかも知れないが「時間に余裕があるようでそんなに余裕はないから」と振り切って出発した。

 

www.handa-kankou.com

 

今度は距離短めのコースにして赤レンガマルシェの日に寄ってみたい。

 

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今回のコースで唯一私がリクエストした『海のドラゴン』。

ドラゴンはクラブサンドで満腹状態なので、私だけ生クリームどらやきをいただいた。

軽い食感のクリームでまったくくどくなく程よい甘さで美味しかった。

 

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クラブサンドと同様にブルーオーシャンにも拘りがあるようで、迷わずブルーオーシャンを注文したドラゴンだが、私が注文した白桃ファジーブルーの方がパッと見た目ではブルーオーシャンぽく、ちょっと悲しげな表情。

 

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店員さんから「かき混ぜてから飲んでください」と言われてかき混ぜると、鮮やかな青い海の色に変わり、同時にドラゴンの表情も爽やかな笑顔に変わった。

 

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知多半島の先端辺り、師崎にあるちりめん工房『ジャコデス』。

ちなみにハルキ会では本名ではなくmixiネームで呼び合っていて、私は『じゃこ』と名乗らさせいただいていた。

おそらくハルキ会のメンバーはこっちのじゃこだと思っていたはずだ。

 

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じゃこソフトはじゃこの塩気が濃厚なソフトクリームの甘さをより引き立たせ、ナイスコンビネーション。

このお店に限らず、海水浴客を当てにしているお店は今年の夏も新型コロナウイルスの影響で大変だっただろうなと思うと、しょっぱさが増した。

 

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店内にはジャズが流れていて、さすがにジャコ・パストリアスではなかった。

お店から見える波の輝きのようなキラキラした音色と季節外れの海のような哀愁を感じる『Lush Life』に耳を澄ませた。

「OKグーグル、誰の曲?」と尋ねると、Miho Sasaki Trio と答えが返ってきた。

検索してみると、佐々木美穂さんは秋田県のご出身でニューヨーク州立大学のジャズプログラムを卒業された新進気鋭のジャズピアニスト。

2020年3月にパンデミックのため帰国し、現在は東京を中心に活動されているが、年内にはまたニューヨークへ戻られるとのこと。

自信をもって増し増しで自分で自分の素晴らしさをアピールするアメリカの文化が肌に合っているそうだ。

人間的タイプとしては早間美紀さんかな。

『From My Heart』は帰国後にリリースされたリーダーアルバムで、さっそく彼女のホームページから注文させていただいた。

渡米される前に生で聴く機会があればと思う。

 

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サイクリングの直前にドラゴンから杉本美術館をコースに入れて欲しいと追加リクエストがっあった。

なぜ美術館?と思ったが、つい最近仏教に目覚めて杉本健吉氏が描かれた曼荼羅が目的とのこと。

11月には空海によって開かれた日本仏教の聖地、高野山へも行く予定にしているそうで、行きの車の中でも空海について、曼荼羅についてなど、ありがたいご高話を拝聴した。

美術館はコロナ禍で入館者が減って運営が厳しくなったことで10月末での閉館が決まっており、絵画に筆や陶芸など、杉本氏の素晴らしい作品を目にして、ロケーションも良く、もったいないことだと思った。

3度の延期がなければまだドラゴンが仏教に興味を持つ前で、閉館する前のこのタイミングでなければ行くことはできなかった。

弘法大師のお導きか。

 

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館内をひと通り鑑賞した後、杉本健吉氏の活動を収めたDVDを観て、また曼荼羅の展示に足を運び熱心に見つめるドラゴン。

また仏教について教えてくだされ。

 

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お昼にまるは食堂のジャンボエビフライを食べる予定にしていたが、二人とも胃が受け付ける状態ではなかったため昼飯はパス。

日が暮れてきてようやく食欲が湧いてきて「海鮮のパスタが食べたい」とドラゴン。

しばらく走っているとそれらしい建物があった。

 

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ボンゴレビアンコの生パスタを注文。

どこにでもあるチェーン店が並ぶ中、おそらくこのお店は地元の食材を使っている感じ。

せっかくここまで漕いできたので、ここだからのものを食べるのが自転車部の決まり。

 

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村上春樹氏が走り出したのは小説家になって直後の時から。

最初は20分か30分走っただけで息が上がったそうだ。

エッセイ『走ることについて語るときに僕の語ること』で、もし僕の墓標銘なんてあるとしたらこう刻んでもらいたいと書いている。

村上春樹

 作家(そしてランナー)

 1949-20‥

 少なくとも最後まで歩かなかった」

 

Jun Hayakawa bandoneon Solo Tour Caja Magica (魔法の箱) 由宇子の天秤

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2021.9.23  ロジウラのマタハリ

早川純  バンドネオンソロツアー

 

マスクまでコーディネートされた細身のスタイルに細身のフレームが似合うおしゃれ番長はライブの前に床屋で顔剃りをされているのか。

顔剃りはともかく、ライブ前のPCR検査は欠かさないそうだ。

 

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映画『イージー・ライダー』の挿入曲でおなじみの『Born to be wild』で、蛇腹がうねりながら疾走する。

まさかの選曲だが、ドイツで発明されてパイプオルガンの代用楽器としても使われていたバンドネオンが、アルゼンチンタンゴに欠かせない楽器になったのも発明者のバンドさんからすればまさかであろう。

音楽は自由で何でもありなので、ワイルドで行こう。

オリジナル曲の『鉄馬』はバイクのことで、サブタイトルの 『SR500 』は純さんの愛車の型式。

「ズドドドドド」と、単気筒独特の歯切れの良いエンジン音がバンドネオンで表現され、楽器がマニアックなら演奏もマニアック。

 

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会場もマニアックな感じがするところばかりで、どうやって探されているのか。

仕事も趣味もやりたい事を見つけて、しかも趣味が仕事に活かされて、さらにどちらもエンジョイしているという、最高のショット。

 

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マニアックを強調すると取っ付きにくいライブと思われるかもしれないが、もちろんバイクに関係のないアルゼンチンタンゴの珠玉名曲がメインの構成になっていて、楽器の構造や弾き方、歴史など、巧みなトークに初めてバンドネオンの演奏を聴かれる方でも十分に楽しめる内容になっている。

 

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そのためにもバイクは絶好のアイテム。

マタハリのある名古屋駅周辺は駐車場代がそこそこするが、お店の前に停めておけば無料だし、移動中に風を感じながら様々なイマジネーションが広がっていくのだろう。

 

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10月の中国・四国地方をまわるツアー。

絶滅危惧種と言われるバンドネオンの魅力を全国津々浦々に広めるライフワークの旅は続く。

会場近くにお住まいの方がおられたら、ふらりと寄ってみては。

 

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後日、この日の会場だったロジウラのマタハリで20周年&あと2日で営業終了という日にランチをした。

ビルの老朽化のため立ち退かれるのだが、名古屋駅から徒歩圏内でミニシアターの殿堂シネマスコーレの前という最高の立地なだけに勿体ない。

閉店を惜しむお客さんで満席だったため、外で少し待ってから入店した。

いつもならりりこさんと、これから何を観に行くとか何を観てきたという映画の話をするのだが、忙しくてそれどころではない様子だったので、ここで書きます。

 

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伏見ミリオン座にて春元雄二郎監督『由宇子の天秤』を鑑賞。

 

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マタハリでは毎回、今日のごはんと今週のタイカレーの2択で天秤に掛けているが、この日は両方とも完売のためパッタイを注文するしかなかった。

 

youtu.be

 

映画はそんな軽い分銅ではなく、思っていたよりもずしりと重みがあった。

3年前に起きた女子高生いじめ自殺事件を追うドキュメンタリーディレクターの由宇子は、自殺した生徒、生徒との関係を疑われた先生の遺族、学校側の言い分、それぞれが違うことに何が真実で何が嘘かを突き止める中で、自分の家族の問題を知ることによって心の中の天秤がぶれていく。

 

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報道批判を含めドキュメンタリーを制作しようとする由宇子とその部分のカットを指示する上司。

企画・撮影で自分を貫いても編集によって自分の意図と違った作品になることへの葛藤。

守られるべき自殺者家族や親族が被害者となってしまう社会の矛盾。

立場によってそれぞれの天秤があって、それぞれの関係性によっても天秤があり、ぐさりと突き刺さる必見の一本。

自分の天秤で量りながら観ていただきたい。

 

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今まで天秤に乗っていなかったパッタイはライスとの相性が良く美味しかったです。

まずはごゆっくりされて、お店の再開は気長に待ってます。

その際にはパッタイもしっかりと天秤に乗ること間違いなし。

コロナ禍において、音楽関係者が音楽は不要不急ではなく音楽には力があると声高に主張されているのには一般論としては違和感がある。

純さんがライブの中で「みなさんの不要不急が僕たちの日常です」と言われたのが印象に残り、この人のバランス感覚と音楽は信用できると思った。

左手の低音と右手の高音を蛇腹の押し引きにより絶妙なバランスで奏でるバンドネオンはちょっと天秤っぽいかもと思う。

マタハリ再開の際には純さんのライブもお願いします。

 

ネズラ 1964

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 2021.9.19  シアターカフェ  『ネズラ 1964』

突然変異で巨大化したネズミの大群が東京を襲い始める...といった映画ではなく、1964年に公開予定だったが様々な困難によって公開を断念せざるを得なくなった幻の映画『大群獣ネズラ』の舞台裏をモチーフにした作品である。

 

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東宝が『ゴジラ』の公開をしたのが1954年。

それに対抗して大映が1963年に製作発表し、1964年の公開を目指したのだが、ゴリラとクジラを合わせてゴジラになったのはわかるが、ネズミの突然変異でネズラとは、もう少しネーミングは何とかならなかったものか。

劇中で牛くらいの大きさのネズミと言っていたのでネズミとウシでネッシーとか。

 

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大群獣というネーミングからわかるように、群れをなして襲ってくる設定で、ポスターでも群れている。

大群を映像にするのは今ならCGでなんとでもなるが、それがない時代にミニチュアのセットで本物のネズミを使うというイカレタ発想は大好きである。

確かにCGは何でもできて驚きの映像を見せてくれるのだが、その反面つまらなく感じてしまう部分もあるし、CGでなくてもCGなんだろうなとも思ってしまう。

中学生のときに観た黒澤明監督の『影武者』のクライマックスでの合戦のシーンで大軍の馬がバタバタと倒れていく映像は圧巻だった。

黒澤監督が馬に演技指導をしたわけではなく麻酔を使ったらしいが、もしあれをCGで撮ったならシラケ鳥が群れで飛んでいく。

そういえば冒頭の城へ向かう石段を駆け上がって行くシーンで、となりに座っていたオッサンが「上手い!」と唸っていたなぁ。

しょーもないことはよく覚えている。

 

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公開中止が決まって特撮監督が悔しさのあまりにミニチュアのセットを壊すシーンのメイキング映像。

ミニチュアはリアリティさではCGに劣っていても血が通っているという意味のリアルさでは優っている。

お客さんの中にこの作品で特撮を担当している特殊映画研究室のファンという中学生がいて、自分でもミニチュア製作をされているということだった。

作品の写真を見せてもらったところ、なかなかどころかかなりの腕前に驚いた。

将来は映画製作の仕事に就きたいそうで期待してます。

 

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大映が『大群獣ネズラ』で苦汁をなめた翌年の1965年に公開されたのが『大怪獣ガメラ』。

そして、その翌年には『大魔神』が製作・公開されている。

この2作品をはじめ、特撮ファンならずとも垂涎のラインナップが組まれている『妖怪特撮映画祭』が名演小劇場にて絶賛上映中。

名演小劇場からハシゴをされる方も結構おられるみたいだが、公開日が重なったのはたまたまだそうだ。

シアターカフェでの『ネズラ 1964』の後半の上映は9/23(木祝)〜9/26(日)まで、15:00〜と18:00〜の2回上映。

 

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オーナーの江尻さんが特撮つながりで買って来られた雑誌。

私の世代にドンピシャで、スペクトルマンミラーマンの主題歌は空で歌えた。

どっちでもいいこともよく覚えている。

雑誌は小人料金の設定がないお詫びとして将来有望なチュウ学生にお渡ししたので、モーお店には置いてありません。

中村佳穂 うたのげんざいち 2021

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2021.9.14   ZEPP NAGOYA 中村佳穂

中村佳穂(vo,key) 林田順平(cello,) 西田修大(gt,) 越智俊介(b,) 伊吹文裕(ds,)

guest 杉浦ゆら(dance)

 

9/9の東京から10/3の福岡まで、6都市をまわる佳穂さん初の全国ツアー。

ライブのネタバレになるので最終日の福岡の終了を待って記事をアップしようと思ったが、Googleの佳穂さん関連のオススメ記事をクリックすると、すでにナタリーが東京公演のネタバレ記事を載せていた。

なので、ナタリーと比べれば誰も読んでいないに等しいブログでネタバレ書いても問題ないっしょ。

ただし、これからライブに行かれる方はご注意を。

とりあえず、ライブ前に地雷を踏まなくてよかった。

 

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検温と消毒を済ませ自分でもぎりをしてロビーに入ると物販は終演後にはしない旨のアナウンスがされていた。

そのコーナーをのぞいて見るとCDは『竜とそばかすの姫』関連と、佳穂さんの『AINOU』が置いてあり、女性の2人組が『AINOU』を購入していった。

映画をご覧になって佳穂さんを知ったのかも知れない。

いずれにしても、細田監督による2時間をかけた壮大なプロモーション映画は佳穂さんの知名度を富士山の裾野くらいに広めた。

何よりも、お子さん連れのご家族を何組も見掛けたのにそれを感じた。

その代償と言うのか、Twitterをフォローしている方が何人かチケットを入手できなかったことをつぶやいていた。

その中で、あきぼうさんの「中村佳穂さん、ツアーの成功を願ってます! (チケット取れなんだ号泣)」とのつぶやきに、以前の記事で「チケットが入手しにくくなるので困るなぁ」と書いていた自分の心の狭さが恥ずかしい。

 

necojazz.hatenablog.com

 

いちファンとしては、富士山大噴火のとてつもないエネルギーの才能が大爆発するのを素直に喜ばなくてはならない。

 

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コロナ禍に応じで静かに聴くためのエコなステージなのかな。

ZEPP のステージというより佳穂さんちのリビングに呼ばれたといった感じ。

ドラムはスネアとバスドラにシンバル1つといったシンプルなセッティング。

しかも変わったバスドラだなぁと思っていたのはベルトを巻いたスネアのケースで、ほっこりするいい音がしていた。

名古屋のこと、コロナ禍のこと、音楽のこと、佳穂さん手書きのメッセージの文字とイラストがカーテンの上を走ったあと、佳穂さんがひとりリビングに現れた。

 

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静かに降る秋の雨のようなアドリブから『口うつしロマンス』の弾き語り。

ロマンスという言葉に秋を感じるのはマロンと耳障り似ているから?

四千頭身ならぬ四千里の先まで届くような伸びやかなボイス。

その歌声を聞きつけたかのように佳穂さんのリビングに次々と来客が遊びにやってくる。

林田さんそれパジャマ?というラフな感じで、歌っているようなチェロの音色はデュエットしているよう。

キレッキレのドラムとのデュオでは伊吹さんの「アイアム主人公!」のコーラス、めっちゃキュート。

リビングに座った佳穂さんがブルージーなギターとベースに乗って宇多田ヒカルさんの『オートマティック』のフレーズからの『get back』へ。

おっさんとしては『二人でお酒を』のスタイルだなぁ。

写真ではわからないが、キーボードがステージ真ん中にあって、他の楽器は向かって右手に寄っているのはなぜ?と思っていたら、名古屋だけのスペシャルゲストが登場した。

 

 

アドリブを真骨頂とする佳穂さんと瞬間にすべてを注ぐゆらさんのコンテンポラリーダンスは互いに呼応し、感覚やまわりの情景に訴えることを創造の源としていた。

ゆらさんのしなやかさは生命観を余すことなく滲ませゆらめく。

10代ということには驚いたが、それに加え顔ちっちゃ。

その表情からは知性が滲みでている。

 

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佳穂さんを残してメンバーが袖に消え、弾き語りを何曲かして盛り上がりのところで、バン!と、ど迫力のバンドサンドに変わり、つい立とカーテンが取り除かれた。

西田さんと越智さんはシンセも演奏し感性を呼び覚ますような幻想的なアレンジ。

寿限無を思わせる畳みかける早口はラッパーも驚く佳穂ワールド。

80年代のアイドルが憑依したかのような謎ダンスも佳穂ワールド。

映画主演ネタも満載ですずワールド。

新曲も盛りだくさんでニューアルバムへの期待も高まる。

アンコールで演奏した何かからパクったという曲のゲームは一ノ瀬大吾デュオゲームだな。

この夜はずっと残しておきたい甘いガム。

喋らないか、語らないか、書かないか。

会場は歓声なしでのシッティングオベーションの嵐に包まれた。

スタンディングが辛いお年頃にとってはゆったりと座って聴ける方がありがたいので、コロナが終息してもシッティングがいいな。

親子連れも来ていることだし。

 

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左隣の席が空席だったが、身近にコロナの感染者が出たこともあり、私もライブに足を運ぶか迷った。

ワクチン注射にも消極的だったが、自分のためというよりまわりに迷惑を掛けないようにようやく2回目の接種も終えた。

それがライブの前日。

副反応で高熱がでないか心配したが、逆に心配になるくらい何も反応はなかった。

抗体は出来ているのか?

それよりも、佳穂さんやメンバーから接種していただいた免疫力の方が実感がある。

 

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ライブの帰り道に瀬戸銀座商店街に寄った。

ライブ前日に藤井二冠が「叡王」のタイトルを獲得し、史上最年少となる19歳1か月での三冠となり、藤井先生の活躍も免疫力を高めてくれる。

そしてここから歩いて1分ほどのところにある「うなぎ田代」。

そこのうなぎも免疫力を高めてくれる。

 

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西田さん、伊吹さん、都合が合いましたらまたいつでも予約しておきますので、気軽に連絡してくださいませ。