necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

小池匠監督特集

 

2022.7.17 シアターカフェ 小池匠監督特集

『決まった?』

『青森さんちの祝日』

『消しかすの花』

『夢が眠る場所 -完全版-』

 

 

5月に足を運んだ『若手監督応援上映会』ではそれぞれの監督の個性と特色を十分に楽しまさせていただいたが、この日は小池匠監督おひとりで4人の監督の作品を観たような感じになり、作品を描く筆遣いがどれも違っていてそのどれもが圧倒的な筆力であることに驚いた。

 

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テーマ、質感、温度感、その違いは4作品を予告編でざっくり観ていただいただけで感触として伝わってくるだろう。

『決まった?』でパラレルワールドに引き込まれてシュールなタイプの監督かと思っていたら、『青森さんの祝日』ではほんわかさせられアットホームで安心して観られたし、『消しかすの花』ではいじめ絡みの難しいテーマを扱いながら美しい恋愛だし、『夢が眠る場所』に至っては胸キュンの恋愛映画だと観ていたらダークワールドに転換して安部元総理が殺害された事件と重ねながら鑑賞した。

 

 

3日間で6回の上映会のうちこの回だけゲストなしのひとり舞台挨拶。

『決まった?』での年号が平成から令和に変わってからの演出や『青森さんちの祝日』の撮影の経緯などをお聞きして、やはり只者ではない。

次の回では『消しかすの花』に出演された子役さん達のリモートでの参加があるらしく、みなさんの大人顔負けの演技が素晴らしかっただけに拝見したかったなぁ。

最終日の明日 (7/18) は『夢が眠る場所 -完全版-』に主演された玲衣さんのリアルゲストがあるそうだ。

とても魅力的な女優さんなのでお時間のある方は是非。

暗転してからのシャッター音に撃たれ、カッコイイエンディング曲。

その曲を歌われていたので小池監督にミュージシャンですか?とお聞きすると、面白そうだったので歌ってもらったとのことでミュージシャンではなかったが、歌声も魅力的だった。

 

 

そしてもう一つ違っていたのが小池監督の印象。

チラシの写真からでまじめな堅い印象だったが、金髪にインパクトのあるTシャツに短パンで明るい笑顔はまったくの別人。

八王子映画祭で準グランプリを獲られた『消しかすの花』だが、応募要項を満たしているのかな?と、そのことをお聞きすると「大抵は結婚式場 (特別協賛の式場) や八王子に因んだ映像を撮るけど出会いと愛をテーマにしてとりあえず八王子で撮っているからいいんじゃない」と笑い飛ばしていた。

絶対にチェックしておくべき監督なので今後も追わせていただきます。

ツイッターをフォローしたらプロフィール写真がまた別人だった。

Suomi Morishita 『Ein.』 Release Live Tour

 

Suomi Morishita 『Ein.』 Release Live Tour   2022.7.8 ジャズ茶房 靑猫

森下周央彌 (G,エレクトロ) 秦進一 (Vn, Vla) 鈴木知聖(Vc) 鈴木孝紀 (Cl,Bcl) 池田安友子 (Per) 松岡莉子 (Celtic Harp)

 

 

演奏をお聴きする前からセッティングを見ただけでその優美さにすでに感動。

ライブ中は天井からの照明は譜面が読める程度の最小限に落とし、持ち込まれた足元の照明が幻想的な空間に誘う。

このバンドにとって演奏と一体となる会場選びは最重要項目のひとつである。

 

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先日、レーベルの主宰であり、アルバムのプロデューサーでもある福盛進也さんのライブ会場で、周央彌さんから靑猫で打ち合わせをしてきたというお話をお聞きした。

後日、靑猫でマスターにそのことを尋ねると、「打ち合わせはしていないけど、お客さんとして来られましたよ」とのことだった。

帰り際にマスターが「遠くから来られたんですか?」とお聞きしたら「実は、、、」という話だったらしい。

周央彌さんの控えめなお人柄が伺える。

おそらくその時に音の反響の具合とステージング環境を確認されていたのではないかと思う。

そうでないと突然ガバチョであのセッティングは無理であろう。

美術館の学芸員が展示会の縮尺模型をつくるように、予め綿密に計画されていたような配置。

楽器を動かさなければ椅子に座れないというF1マシンのコックピット並の密接した空間だが、楽器を演奏するには支障がない絶妙で美しい配置。

改めて楽器の形状美にも目が行った。

 

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ケニーズでアルバムを購入してから、この実体が掴めない幻想的な世界に毎日のように浸った。

中学生1年生のときに初めてビートルズを聴いて驚いたように、久しぶりに驚きという感情が湧いたアルバムである。

編成からして斬新で、おそらくこの編成で活動しているバンドは他にはないだろう。

大抵のアーティストのベクトルは、売れる曲、美しい曲、かっこいい曲、etc といったところだと思うが、周央彌さんのそれは「誰も聴いたことのない曲」のように思える。

国籍も、ジャンルも、先人もない曲。

その欲望をかたちにした超傑作をどうライブで表現してくれるのか、楽しみに足を運んだ。

 

 

アルバムはトータルで53分ほどだが、それをMCがほとんどなしの2時間近いステージに仕上げていて、その世界観をさらに深化させていた。

ハッとする場面が何度かあり、それはアンサンブルを変えたのか、生の演奏だからそう感じたのかわからないが、聴き手としても神経が研ぎ澄まされ、没入感は私史上最高だった。

アルバムでは使用されていないサイレントチェロは何処で使うのだろうと思っていると、原曲では周央彌さんのギターだけの『Ein』で、リバーブを効かせ効果音的に使ってギターの浮遊感を引き立たせ、後半の盛り上がりでは絡み合いため息ものの美しさ。

おそらくチェロでもこれに近い演奏は出来ただろうが、この1曲のために何という拘り。

クラリネットバスクラにソプラノが2本あり、理由をお聞きすると、半音だけキーが違うらしい。

オーケストラでの演奏を除いて普段は2本使うことはないそうだが、このバンドの拘りは普通ではない。

その証拠にパーカッションで使っていた楽器の数をお聞きすると「60個くらいかなぁ、明日数えておきます」とのことだった。

やはり普通ではない。

ライブでバイオリンとビオラを持ち替えて弾く方も初めてだし、とことん普通ではない。

 

 

音色の素晴らしさも特筆すべきものだった。

そのなかでもケルティックハープとウィンドベルは普段聴き慣れていないせいもあるのだろうか、こんないい音がするんだと目が丸くなった。

ウィンドベルはたまに聴く機会があるが、楽器がいいのか、テクニックなのか、靑猫の構造なのか、まったく別物の極上の音色で、吹いていないはずのそよ風さえ感じた。。

ライブ終了後にマスターが自慢のシステムでアート・ランディの『Rubisa Patrol』を掛けてウィンドベルの音色を聴き比べたところ「負けた」とつぶやいていた。

 

 

セッティングが大変なら当然に片付けも大変だが、まごころパンダもびっくりの手際の良さでスムーズにまとめられた。

これの他に楽器類など他にもいくつか荷物があり、これらをワンボックスカー2台に積み込むわけだが、隙間を作らないようにうまく積まないと全部積めなさそう。

その荷物の多さに「森下大サーカスだね」と、マスター。

荷物を少なくすることもできただろうが、最大限積めるだけ積んで、最大限に楽しんでもらいたいという心意気が伝わってきた。

 

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配信視聴券2500円で、7/12(火) 23:59 まで視聴できますので是非。

もちろん、私も購入しました。

ひまわり、似合ってます。

 

 

Silent Jazz Case featuring SOA

 

2022.7.3 Mr.Kenny’s 

Silent Jazz Case featuring SOA
島裕介(tp,fl,flh) 河野祐亮(pf) 杉浦睦(b) 大津惇(dr) SOA(vo)

 

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本来なら2020年6月14日に島さんとSOAさんのツーショットを拝見できるはずだったが、コロナ禍の影響によってお預けとなっていた。

あれから2年以上が経ったわけだが、とてもそれほど前のようには思えない。

年を取るほど1年が短く感じるという法則の所為もあるのだろうが、そんなことよりも強烈なファーストインパクトの印象がありありと残っていたからであろう。

ちょっとハスキーな低音からの伸びのある高音域まで、パワフルでありスムーズ。

そして爽やかな笑顔。

 

 

今回は 『Voice of Buoy』のレコーディングメンバーである Silent Jazz Case とのライブ。

島さんが、山下達郎さんとユーミンを例に挙げて、弾き語りに合う曲と合わない曲があることを話されていたが、『Voice of Buoy』のナンバーにこのメンバーのグルーヴ感はこの上ないマッチング。

記号で表せない音のメリハリであったり、あうんの呼吸による絶妙な間であったり、全員が一体となって強靭なうねりを生み、ボーカリストの枠を超えて表現者としてのスケールが増したSOAさんは水を得た魚で、そのうねる波を華麗に泳ぐ。

何度かのメンバーチェンジを経ているが、当分はこのメンバーで行ってもらいたいと思わせる充実ぶり。

この日はケニーズからほど近いブラジルコーヒーで、以前のレコーディングメンバーである魚返明未さん(pf)と井上銘さん(gt)もDUOライブをされていて、彼らも島さんが当時乗っていた「俺のボルボ」でケニーズに連れて来られていたそうだ。

歴代のメンバーやレーベルのアーティストを見ても有能な若手をどんどん見出して、上からの目線ではなく世代に関係なくリスペクトをされている点はチック・コリアと重なる。

音楽配信に積極的なのもそういったフレキシブルな心持ちがあるからなのだろう。

 

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ソウルフルでファンキーなSOAさんのボーカルに先日久しぶりに聴いたフローラ・プリムのバイブスを感じた。

島さんがチックならSOAさんはフローラ。

5月にリリースされたフローラ・プリムの17年ぶりの新譜『IF YOU WILL』から懐かしの『500 Miles High』。

1974年にリリースされたチック・コリアとのアルバム『Light as a Feather』の同曲と聴き比べると当然に音域は低くなっているが、深みと味わいが増していて、とても80歳とは思えない若々しさもある。

 

 

Silent Jazz Case のこれまでのアルバムからのセレクトしてレコード化された『Silent Jazz Case For The Vinyl』。

CDが売れなくなってきた時代だが、レコード盤の売り上げは伸びていて、日本でもCDの売り上げを上回る勢いだそうだ。

どうやら若い世代を中心に浸透してきているらしく、配信で興味をもったその世代の人たちに聴いてもらいたいという思いも伺える。

レコードが復権するとは夢にも思わずプレイヤーを手放してしまった身としては、お気に入りのレコードはCDで買い直しているので、またレコードに戻るのには足踏みをしてしまう。

『Light as a Feather』もその一枚。

聴かなくなったレコードは島さんもライブをされている Tea house Sima の真優子さんがプレーヤーを購入された際にオススメとして何枚かセレクトした内の1枚として差し上げていて手元にはない。

 

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島さんの足元にも及ばないが、才能ある若手バンドをこの地方の方に聴いてもらいたくライブを企画させていただいた。

当日は『Silent Jazz Case For The Vinyl』のジャケ写を撮られた Yasunari Akita 氏にライブ写真を撮っていただくことも決まり、有難い限り。

こういう時の常套句としては、騙されたと思って、、、と言うのだろうが、決して騙したりはしません。

おーたけ@じぇーむず は、弾き語りでもバンドでも、本気と言う名の才能が爆裂してます。

Morphine Desert -trio acoustic- Tour

2022.7.1  STAR☆EYES  Morphine Desert -trio acoustic- Tour

北川とわ (piano) 小美濃悠太 (Contrabass) 岩瀬立飛 (drum)

 

立飛さんが着ているのはこれまでのMorphine Desert Tシャツで、とわさんが着ているのは trio acoustic バージョン。

「まさかコントラバスで私の曲を弾くことができる人が居ようとは夢にも思っていなかった」と、とわさん。

これまでの歴代のエレキベーシストは6弦ベースの箭島裕治さん、5弦ベースの岡田治郎さん、4弦フレットレスベースの織原良次さんと、徐々に弦の本数が減り、フレットレスになりと、コントラバスに近づいてきたとは言え、同じベースと呼ばれる楽器であってもエレキベースコントラバスはまったく別物。

そして、その歴代のエレキベーシストの共通点は超テクニカルであること。

そうでないと、とわさんの曲は弾きこなせないが、そのエレベの達人たちからも難しいという苦情は幾度となく聞いてきた。

それをコントラバスで弾き倒してしまうとは、、、

 

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1年前に小美濃さんとアコースティックトリオを組まれるお話をお聞きして、以前から小美濃さんのお名前は高田ひろ子さんとのトリオなどで承知していて、ずっとお聴きしたいベーシストでもあったが、昨年は名古屋でのライブは一度もなかったそうだ。

 

 

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指板の上を縦横無尽に超高速で駆け巡りながらも正確なピッチに目をまん丸くして聴いていたが、「感覚で弾いている」そうで、長嶋茂雄終身名誉監督の領域。

さらに表現力豊かなアルコ弾きは抒情的な美しさだけでなく、効果音的な使い方には現代音楽の要素もあり、トリオとしても有機的なつながりがより強まったように感じた。

エレキベースコントラバスのどちらが上とか下とかはなく、どちらがフィットしていると感じるのか、それは聴き手の感性に依る。

そして、両方聴き比べられるのは面白い。

1stアルバムからの曲を聴きながら、とわさんのボケを見事に引き出す箭島さんのぼやきベースを思い出したが、あれは紛れもない超絶技巧であった。

 

 

 

因みに、コントラバスウッドベースは同じ楽器で、クラシックではコントラバス、ジャズではウッドベースと呼ぶのが一般的であるが、今回のツアーのチラシにはコントラバスとあったので、それに準じて書いている。

クラシックではバイオリンやチェロのように弓で弾くのが主だが、ジャズでは指で弾くピチカート奏法が主で、ジャズライブでコントラバスと書いてあるとアルコ弾きに拘りがあるのだろうと理解している。

スウェーデンの世界的奏者、アンダーシュ・ヤーミンが弾いているとウッドベースではなくコントラバスと言ってしまう。

 

 

2ndステージで披露された砂漠をモチーフにした組曲は、命をも燃やし尽くすほどの灼熱のリズム。

視界を遮るものや光源が一切ない満天の星空は神秘的で言葉を失うほどの美しさ。

砂漠に咲く花は死を前にして幻想を見ているような危うさ。

人が生きていることを一番実感できる場所は砂漠ではないのだろうか。

美しさと儚さ、生と死がせめぎ合うような壮絶なバトルはその実感を沸き立たせてくれた。

Remboato 『星を漕ぐもの』リリース ツアー 2022

 
2022.6.22 Mr.Kenny′s
Remboato 『星を漕ぐもの』リリース ツアー 2022
 藤本一馬(g) 栗林すみれ(p) 西嶋徹(b) 福盛進也(ds)
 

 
福盛さんが2020年に設立されたレーベル nagalu から2021年12月にリリースされた『星を漕ぐもの』。
東京では昨年コットンクラブにてリリースライブが開催されていたが、漸く名古屋にも来ていただいた。
 

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リリースライブの場合、CDはライブ会場で購入することにしているので、ライブでお聴きした曲をCDで聴き直すというパターンになるが、今回はリリースされてから半年の間があったため、3月の西嶋さんとすみれさんのDUOライブの際に購入。

じっくりと聴き込んでから足を運んだ。

1stステージの4曲目までMCなしで、どっぷりと Remboato の世界に浸ってほしいといった構成。

4曲目が終わったところですみれさんがマイクを手にしてメンバー紹介をしたあとに「リーダーはいません」と一言。

2枚組のアルバム全10曲中、一馬さんと西嶋さんが3曲ずつ、すみれさんと福盛さんが2曲ずつ作曲をされていて、全員で持ち寄った場合、大抵はバラエティーに富むアルバムになるところだが、どの曲も同じ方向を向いて漕いでいる。

すみれさんの『Keep A Beautiful Tree In Your Mind』はギターとベースのDUOで、すみれさんは弾いていないが、この曲に限らず、自分が演奏したいというより、このメンバーで音にしたい、他のメンバーに奏でてもらいたいという共通の想いがまず先にあるからだろう。

リーダーがいないという言葉に深く納得した。

 

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西嶋さん作曲の『千鳥の空』。

CDで聴き込んでいたもののライブでの臨場感と奥行きは別物で、そのボートは別空間に誘ってくれる。

空と言っても晴れやかな印象ではない。

甘やかな美しい憂鬱を呈した薄曇りの空で千鳥は力強く羽を広げていた。

Remboato は束の間の休息であり、時の芸術でもあり、生きていることの尊さをも確かめさせてくれる。

 

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アルバムからの曲が並ぶ中、すみれさんの新曲も2曲披露され、そのうち昨年末にこの世を去られたピアニスト Walter Lang 氏に捧げる曲を 2nd のラストに演奏された。

すみれさんと福盛さんとの出会いは Walter  氏が橋渡しとなっていたそうで、それがなければ Remboato もこの日のライブも無かったかもしれない。

私は福盛さんのトリオで1度だけお会いしたことがあり、彼の奏でる音や穏やかな笑顔から伝わってきた優しさが思い出され、すみれさんの想いは美しいメロディとなって Walter に届いただろう。

 

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5月に一馬さんと伊藤志宏さんのDUOに足を運んだ際に一馬さんのサインをいただき、あとは福盛さんからいただくだけと書いたが、無事に福盛さんからもサインをいただいた。

 

 

それぞれに日付を書いていただいたおかげで「ちょっといいな」と、ひとり悦に入りながら自宅でアルバムを聴き返した。

アルバムの内容はもちろん、ジャケットやインデックスなども拘り抜いていて、福盛さんの辞書には「妥協」という文字はないのだろう。

作品に対する愛情は計り知れない。

7月8日 (金) にライブの予約を入れている『Ein.』は福盛さんが立ち上げたもうひとつレーベル S/N Allianc karatsm からリリースされていて、こちらも聴き込んでから行こうと思ってカウンターに並んでいるCDを眺めると残念なことに置いてなかった。

もしかして手元にお持ちかと福盛さんにお聞きしたところ「今日はそのCD持ってきていないんだよね」と言ったあとにおもむろにスマホで誰かに連絡を取り始めた。

 

 

しばらくすると『Ein.』のリーダーでギタリストの森下周央彌さんがCDを持ってお店にやって来られた。

「ウーバーミュージックかよ」と驚いている私に対し、してやったりの笑みを浮かべる福盛さん。

関西の方なのに何故?と思ったら、靑猫で7月8日のライブの打ち合わせをされていたそうだ。

千鳥足とまではいかないが、イイ感じに出来上がっているご様子で、何処かで飲んでおられたのを中断して来ていただいたのかな。

配達ありがとうございました。

 

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こちらは Remboato より更に道程は長く、レコーディングから約2年を経過しての待ちに待ったリリースツアーである。

緻密に構成されたジャンルを超越する唯一無二のサウンドに時の経過を忘れて深夜まで聴き入った。

先ほど周央彌さんのことをギタリストと書いたが、コンポーザーやアレンジャーとしてもとんでもない才能の持ち主で、ジャケットのデザインまでされているスーパーリーダー。音の響きに拘ってスタジオではなく百年前の紡績工場の跡地で録音されたそうで、それを確かめる目的もあって靑猫に行かれたのだろうか。

ライブ前に繰り返しじっくりと聴き込んでから伺いたい。

どんなライブを聴かせていただけるのか、楽しみでならない。

AVOCADO BOYS × 一寸先闇バンド Wリリースライブ

 

 

AVOCADO BOYS  ×  一寸先闇バンド

O.A. おーたけ@じぇーむず

会場 K.Dハポン

日時 2022.07.16 (土)

   OPEN 18:30 START 19:00 

料金 2500円 +1drink

ご予約は各出演者かKDハポンまで。

 

K.Dハポンでもお馴染みの洗練されたオシャレなPOPを聴かせてくれる『AVOCADO BOYS』と、東京で話題沸騰中の『一寸先闇バンド』との対バンを企画させていただいた。

 

 

一寸先闇バンドは6月4日と5日に開催された『SAKAE SP-RING』 (サカスプ) で名古屋初登場し、湯が沸くほどの熱いライブを聴かせてくれたばかり。

会場となった 栄R.A.D はビルの6階にあり、当日エレベーターは使用不可とのことで、階段を上がらなければなかった。

えっちらおっちら息を切らしながら6階に上がるとお客さんは片手で数えられるくらいで「上がって来るだけで疲れるよね」とvo&gtのおーたけ@じぇーむず (じぇーさん) が声をかけてくれた。

前のバンドのライブが終わったばかりなので、まだこれから来ていただけるとは思うが、名古屋でほぼ無名のバンドを聴くためにわざわざ6階まで階段を上がって来るか?

他に10ヶ所以上の会場で、地元の人気バンドや知名度のあるバンドがやっている中、不安しかなく、それはじぇーさん達も同じだったであろうが誰もその事は口にしなかった。

 

 

それでも開演時間には予想に反して?会場はいい感じにお客さんで埋まりMCで「思っていた10倍来ていただいた」と、じぇーさん。

「初めて一寸先闇バンドのライブに来た人」と、挙手をお願いしたところ、9割ほどが初一寸先で、それに加えて東京や大阪から駆けつけた熱心なファンの姿もあり、激アツなライブになったのは集まってくださったみなさんのおかげとばかりに深々と頭を下げるメンバーの姿が印象的だった。

ほぼ無名だと思っていたのは私だけで、耳の早い名古屋の音楽好きは良いバンドはきっちりチェックしている。

ライブ終了後の物販で話を聞いていると、コピーバンドをしている学生さんもいるらしい。

 

 

一見すると情け無用の闇金の取り立て屋のようだが、実は人情派のじぇーさん。

アボカドのメンバーの写真を送ってチラシの作成をお願いすると、自分達がメインであるにも拘わらず、タイトルも構図も色もアボカドがメインになっていて、オープニングアクトの自分の名前はちっさ過ぎ。

一寸先メインでオープニングアクトも全面に出すように変更をお願いしようかと思ったが、じぇーさんの人の良さが伝わってくるチラシだったのでこのままでOKにした。

 

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チラシでは申し訳程度の扱いだが、じぇーさんのソロも度肝を抜かされるカッコ良さなのでオープニングアクトから盛り上がること間違いなし。

 

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『一寸先闇バンド』と聞くとコロナ禍を反映しているように思えるが、バンドを結成したのはコロナ禍になる一寸前なのでコロナとは一切関係ない。

コロナはひとつの例に過ぎず、いつどこで何が起きてもおかしくなく、私たちは確かなものなどなに一つもない世の中をかろうじて生きている。

一寸先に何があるのかわからない暗闇を生きていくには一歩一歩足元を見るしかなく、何事も「ステップ バイ ステップ」である。

「いつの間にか はみ出した 生き方さえ 誰かのまね」

誰かと比べて神経を擦り減らしても時間がもったいないだけ。

「憧れているのさ 自分の意志で たまたま何かに似てるだけ」

今立っている場所からの一歩は唯一無二であり他と比べようがない。

「ねえほらよく見て 足元がお留守になっていませんか 一寸先は闇さ 生き延びるたびに思い知る」

闇を歌う音を聴きにいらして下さい。

闇を照らす光を感じるはずです。

 

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7月13日にリリースされる一寸先闇バンド初の全国流通版となる『ルーズ』。

発売日から3日後のリリースライブとなるが、3月にライブの日程を決めた際にはまだ発売日は決まっておらず、ライブの候補日がいくつかある中で決めた日がたまたまベストの日となった。

 

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AVOCAD BOYS も5月18日に『Rainbow』が配信リリースされたばかりなので、Wリリースライブということでよろしくお願いします。

 

若手監督応援上映会 vol.4 at シアターカフェ

 

2022.5.28・29 シアターカフェ 若手監督応援上映会 vol.4

 

 

関東から「わかな会」の小松代表、関西からは「中之島映画祭」のスタッフ月島さん、若手監督を応援されているお二人が名古屋のみなさんにどうしても観ていただきたいという作品を持ち寄っていただき開催された若手監督応援上映の4回目。

 

Aプログラム

『あのこを忘れて』谷口雄一郎監督 木村梨恵子さん

『8月2日の約束』『かたつむりぼうやとしあわせのしずく』望月亜美監督 森恵美さん

 

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『あのこを忘れて』谷口雄一郎監督

応募総数233作品の中から審査を通過した8作品を上映した中之島映画祭でグランプリに次ぐ優秀賞を獲得されたが、逆にこの作品を抑えてグランプリを獲った作品があるんだと驚いた。

先日足を運んだインディーズバンドのコンテストと同様、観客の投票のみで順位を決めるシステムはわかりやすくて良いし、予約不要で入場無料みたいなので、来年のGWは大阪へ行こうかな。

ある病気の特効薬の副作用で特定の人を忘れてしまうのだが、その相手に彼女だと嘘をつき、子供がいたことを隠し、嘘をついた方つかれた方それぞれのやさしさに涙。

帰り道で無性にプリンが食べたくなったのでセブンイレブンでネーミングに惹かれて「きみだけのプリン」を購入したが、プリンを食べる度に思い出すであろうあのこの表情は忘れられそうにない。

 

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『8月2日の約束』望月亜美監督

八王子short film映画祭の企画コンペで通過した6作品のひとつで、完成に向けてのクラウドファンディングに少し支援をさせていただいた作品。

制作費は掛かるだろうし題材も難しい思うが「皆が避けて通るところを敢えて挑戦しています。」という一文に惹きつけられ、その心意気と意義はスクリーンからも伝わってきた。

史実に基づいた八王子空襲を題材に、認知症になって家族や日常の出来事を忘れるようになっても、記憶からなくなっていたはずの大切な人への想いはもっと深いところに刻まれていて、戦争は戦場だけで起きているのではなく、終戦しても終るものではないことを痛感した。

 

Bプログラム

『コーンフレーク』磯部鉄平監督 GONさん

『名探偵一色誠シリーズ』一田久作監督 田中裕士さん

 

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『コーンフレーク』磯部鉄平監督

音楽の夢を追いかける男と保険外交として日々働く女、同棲した7年間のうちにたくさんの隙間がてきてぐだぐだの関係だが、別々の夜を過ごしたことによりお互いに関係を見つめ直す。

それぞれに悩みを持ち、これからついて考え、一歩踏み出す人々と、生活感溢れる大阪の街が魅力的に描かれていて、エネルギッシュ。

バンドを続けているのではなくやめられないというのは自主映画もそうであろう。

 

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『名探偵一色誠シリーズ』~踊る殺人試験~ボクシングジム殺人事件~オカルト殺人事件~ 一田久作監

古畑任三郎と小見門研介を合わせたような推理と早口は切れ味鋭く、2分間で難事件を解決するので予告は8秒。

『ボクシングジム殺人事件』にご出演された田中裕士さんが肩にしているチャンピオンベルトは本物で、なんと元WBC世界バンタム級ユースチャンピオンとのこと。

それを踏まえてもう一度予告編をどうぞ。

 

Cプログラム

『明けない夜とリバーサイド』夏衣麻彩子監督

『フカミおじさんとホシノおじさん』芦原健介監督 星野恵亮さん

『タイトル未定。』山場雅監督

 

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『明けない夜とリバーサイド』夏衣麻彩子監督

大須にじいろ映画祭」「知多半島映画祭」「あいち国際女性映画祭」など、夏井監督は愛知県とのご縁があり、元々地元である近藤笑菜さん演じる主人公はウエディングプランナーに憧れ、愛知から上京して弟の部屋で同居するが、ウエディング業界も新型コロナウイルスの影響を受けて思うようにならない。

弟の出す水平思考問題がストーリーに絡む展開が秀逸で、凝り固まった思考がほぐされた。

「夜が明けない」と思っている方にそっと寄り添いやさしく語り掛けくれる作品。

池袋シネマ・ロサにて 8/6(土)〜8/12(金)の公開が決まったそうなので是非!超オススメです!

 

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『フカミおじさんとホシノおじさん』芦原健介監督

 

 

本邦初公開の『フカミおじさんとホシノおじさん』は動画も写真もなかったので、先日シネマスコーレで鑑賞した『その神の名は嫉妬』(ニース国際映画祭2022にて外国語映画最優秀脚本賞受賞) を貼り付け。

どちらの作品もキャスティングが絶妙だと思っていたら芦原監督曰く「俳優さんは常に見ているからオーディションはしていない」とのこと。

この役はだれがいいのかピピっとくるらしい。

たしかに星野さんはまり役でした。

『明けない夜とリバーサイド』と同じ川沿いでのおじさん同士のやり取りのが本当にどうでもよくて、姉弟のやり取りとは真逆で、でもそれがツボに嵌って、ある意味セットで観られてラッキーだった。

 

『タイトル未定。』岡ゆきの・山場雅監督

女子高生の卒業と成長をミュージックビデオ調で撮った作品。

まず歌詞を伝えておき、後半でそれを曲に乗せることによって、より言葉が突き刺さってきた。

曲も良かったし、ファッションやデザイン性も見どころ。

 

Jプログラム

布瀬雄規監督ミニ特集上映会

過去参加監督近況報告

じゃんけん大会

 

 

布瀬雄規監督や野本梢監督などなど、シアターカフェでお馴染みの監督やスタッフの方からのメッセージが届き、近況報告ではみなさんお元気そうで何より。

座談会では舞台挨拶ではお聞きできないような、谷口監督のイ・チャンドン監督愛や、芦原監督は全裸監督ならぬ全裸俳優だったなど、ぶちゃっけ話に盛り上がった。

正座されている一田監督の衣装チェンジもお人柄が伺える。

 

 

じゃんけん大会では、望月監督の深大寺そばをゲット。

「ロケ地のそば屋さんですか?」とお聞きすると「違いますよ」ということで、なぜそば?

きっと望月監督は大のそば好きなのだろう。

 

 

2日目、2階の上映スペースに入るとシネマスコーレで絶賛上映中の『犬ころたちの唄』の前田多美監督がチラシを配られていた。

どうやらシネマスコーレで舞台挨拶があるらしく、その前に寄られたようだ。

チェックしていた作品だったので、舞台である広島の横川について少しお聞きさせていただいた。

それにしても、前田監督の爽やかな笑顔とチラシとのギャップはバリあるけん。

 

Dプログラム

『マニブスの種』芦原健介監督

Surface』谷口雄一郎監督 今野ゆかさん

『のこされたもの』望月亜美監督

 

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『マニブスの種』芦原健介監督

差出人不明の封筒の中に入っていた種を育てると手のようなものが生えてきて、その手のようなものは思いも寄らないな行動をとる。

予告編やオープニングの感じからして、オカルト映画だと思っていたら意外や意外の展開で、私の郵便受けにもこの種が届かないかな。

 

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Surface』谷口雄一郎監督

先日鑑賞した『あした、授業参観いくから。』と同様なワークショップ的作品。

人気少女漫画家の不倫をSNS上で誹謗中傷した人々と弁護士とのやり取りが次々と繰り返される。

弁護士は同じ内容を繰り返すが加害者たちの言い分は千差万別で、ラストはまんまとしてやられた。

 

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『のこされたもの』望月亜美監督

じゃんけん大会のそばはこちらの作品に因んでいたのだと納得。

冒頭の数分間で喪失感からボケてしまう話かと思ったが、喪失感からの立ち直りを描いていた。

前もって覚悟ができているよりも突然亡くなった場合の喪失感の方が大きいだろうが、いつまでも元気だろうと思うのではなく、元気なうちに何でもいいからできることはしておいた方がまだ救われる。

先日、80歳になる母と演歌のコンサートを聴きに行ってきた。

 

 

映画はたまに一緒に行くが (シネコンに一緒に行って別々の作品を観ることもある)、コンサートは小さい頃に行った長島温泉 (現ナガシマスパーランド) での鶴岡雅義と東京ロマンチカ 以来かな。

いただいたそばは母と食べたいと思います。

良いものをありがとうございました。

 

Eブロック

『午前三時の料理店 (レストラン)』『さよならウエディングドレス そして、またいつか』一田久作監

『マイ・シェアメイト』夏井麻彩子監督

『TWILIGHT』磯部鉄平監督

 

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『午前三時の料理店 (レストラン)』一田久作監

予告編で「ふたたび3時に開く」としかないが、3時からのメニューは1品のみで、そのメニューは私は食べたことあるかなぁ?といったメニュー。

その理由と、ラストシーン前での一田監督の拘りに、ユーモアだけでなくヒューマニズム溢れる作品も撮られるのだと、三谷幸喜さんを感じた。

 

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『さよならウエディングドレス そして、またいつか』一田久作監

『8月2日の約束』と同じく八王子short film映画祭で上映され、日本閣特別賞を受賞した作品。

ちなみに『8月2日の約束』は審査委員特別賞受賞を受賞されている。

八王子日本閣という結婚式場が映画祭の特別協賛をしており、出会い・愛・結婚、をテーマにするなどの応募条件もあるらしいが、その条件を満た上でさらに八王子をアピールしていて、かなり奇天烈なストーリーに一田監督の思考は自由過ぎるだろう。

確かに予告編を観ただけではさっぱりわからないと思うが、気になった方は6月16日(土)に岐阜のMKE映画祭で上映されるので、是非!

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『マイ・シェアメイト』夏井麻彩子監督

シアターカフェが白壁に移転する前の大須でも鑑賞しており、2018年の大須にじいろ映画祭でグランプリを獲得した作品。

大須にじいろ映画祭はレズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダー、の尊厳を尊重するLGBT系の映画祭だが、声高に主張するのではなく、さらりと美しい表現になっている。

『明けない夜とリバーサイド』でも主演されている近藤笑菜さん、スゴイです。

 

『TWILIGHT』磯部鉄平監督

主演の栗生みなさんのファンが客席の半数を占め、早々に予約で満席となったEブロック。

彼女の楽曲『卒業写真』から生まれた作品だそうだ。

一緒に卒業することができなかた高校時代の親友の死を引きずり、願いを書いて一緒に埋めたソフトボールのことを思い出し廃校になった母校に行くと、辺り一面を掘り起こしている少年と出会う。

ふたりを包むトワイライトは花束のようだった。

 

 

AプログラムからEプログラムまで完賞したので、監督や出演者のみなさんのサインが入った色紙をいただいた。

監督さん7名と出演者にスタッフを合わせた13名のみなさん、わざわざ名古屋までお越しくださりありがとうございました。

さすがの目利きが選んだだけあってどの作品も素敵で濃厚な2日間でした。

監督さん達や作品との出会いに感謝で、今後もチェックさせていただきます。

でも、まだコンプリートじゃないです。

 

 

6月3日『犬ころたちの唄』の最終日にシネマスレコーレに行くと、ん?前田監督が入口の前に立っておられた。

上映期間中ずっと名古屋に滞在されていて、毎回舞台挨拶に立たれてそうだ。

まーじーかー、そんな監督初めて聞いたわ。

パンフレットは町田康さんや加藤ひさしさんとの対談にシナリオ、横川のロケ地マップもある超豪華版。

CDも深夜兄弟の他、のっこん、はらっぱ、などなど、横川にどっぷりと浸させてくれる。

今から翌日より公開される茨城へ向かわれるとのこと。

まーじーかー。

 

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『君がいる、いた、そんな時。』の迫田監督、『彼女のは夢で踊る』の前川監督、そして前田監督、他にも広島でご活躍されている監督さんを知っているが、みなさんの作品からは広島愛が溢れていて、ロケ地を訪れたくなる。

ご当地映画ではなく地域密着型映画と言えるが、なぜ広島でそのような作品が多いのか。

カープファンもそうだが、広島の地元愛は特殊なように思える。

音楽とドキュメンタリータッチの映像がマッチしていて、ラスト30分間の長回しには驚いた。

肝が据わっているし、とんでもない監督になりそうな予感。

 

 

横川は名古屋で例えれば今池といった感じだが、映画鑑賞後に今池から南へ行った吹上にある鑪ら場へ、自転車漕ぎ太郎してギターの弾き倒し絶叫を聴きに向かった。

ドッグフード買い太郎さんは広島から来ておられるし、犬だし、3匹とも良かったし。

 

 

カウンターに置いてあるCDを見たら、『犬ころたちの唄』の主演をされているミカカさんのオムニバスアルバムだった。

ポスターも貼ってあったし、映画とのコラボなのだろう。

 

 

これで、コンプリート。

第5回も楽しみにしています。