necojazz’s diary

ジャズを中心に雑食

家族の肖像 其の二



2024.2.12 シアターカフェ 『家族の肖像』

登壇者 岸本景子監督 脚本 堤健介さん

出演  保坂直希さん GONさん 篠崎雅美さん

 

 

この日は刈谷日劇で『枯れ葉』を鑑賞する予定にしていたが、『家族の肖像』がすこぶる良くてもう一度観たいと思ったのと、監督、脚本、主要キャストのみなさまが連日舞台挨拶されているのに敬服し、予定を変更して前日に続いてシアターカフェへ足を運んだ。

 

 

前日の舞台挨拶も楽しかったがご本人たちは納得されなかったのか反省会をされたそうで、この日のは脚本の堤健介さんが進行役となり、内容もガラリと変わって個々の濃いキャラを知ることができ、より一層楽しめた。

篠崎雅美さんが主演された『虹のかけら』のPRもしっかりとされていて、これも反省会の成果だろう。

できればラストの上映も鑑賞して、もう一度舞台挨拶も見たかったくらいだが、ちょっと寄るところがあるので残念。

 

 

舞台挨拶終了後もそれぞれがお客さんとお話をされて、これもミニシアター系作品の良いところで、シネコンしか行ったことがないという方は一度ミニシアターも体験していただけたら嵌る方は嵌る。

お金を掛けた大作とは違った魅力がある。

舞台挨拶で質問させていただいた件での私の考えは「沖野は知っていた」である。

その方があの沖野の台詞が生きるように思えるので。

 

 

次の回の上映会に「ど~も~」と、刈谷日劇の堀部支配人が鑑賞に来られた。

『枯れ葉』は満席だったそうで、延長上映も決まり「結構長いことやるよ」とのこだった。

愛知県の上映館がまだ決まっていない頃にリクエストした作品なので、行かない訳にはいかないが、篠崎さんが主演された『虹のかけら』の上映もよろしくお願いします。

近々リクエストカードに書いておきます。

家族の肖像

 

2024.2.11 シアターカフェ 『家族の肖像』

登壇者 岸本景子監督 脚本 堤健介さん

出演  保坂直希さん GONさん 篠崎雅美さん 山本陽梛汰くん

 


www.youtube.com

 

20年前に失踪した父の死の知らせを受けて父が住んでいたアパートを訪れた息子。

それは父を偲んでのものではなく、死後の処理をするために仕方なくだったのだが、そこで自分の知らない父を知っている青年と出会う。

 

 

人は長年に渡って蓄積された感情に支配されているが、その支配から逃れられないのは無意識で自分自身が選択しているからだと思う。

失踪した父を恨み続け、不幸だと思い込んでいるのは自分の所為であり、その呪縛が解ければ違った景色が見えてくる。

死は人の営みの一部であり、亡くなったあとでも繋がりは切れることなく、連綿として繋がっていく。

心の中でまた会いましょう。

 

 

登壇された篠崎雅美さんが主演された『虹のかけら』。

こちらは認知症の母と娘との物語。

大阪では公開されたそうだが、この地方での公開はまだだそうなので、何処かで公開していただけないものか。

今度、刈谷日劇へ行った際にリクエスト用紙に書いておきます。

 


www.youtube.com

 

舞台挨拶の際に映画に関連付けて私の父の死についてお話しさせていただき感謝。

高齢の母は幸いまだ元気で、今のところ認知症の様子もないが、年齢的にはいつ認知症になってもおかしくなく、孤独死認知症も全国何処にでもある問題で、いつ誰が直面してもおかしくない。

観ておくべき作品だと思う。

何処かの劇場の舞台挨拶でまた会いましょう。

 

 

ポスターのサイン、ありがとうございました。

映画の感動のあとに6名も登壇されてさらに感動。

撮影のウラ話満載で、それを踏まえてもう一度観たくなった楽しい舞台挨拶であった。

 

https://theatercafe.blog.fc2.com/blog-entry-1061.html

 

シアターカフェでまた会いましょう。

 

安ヵ川大樹ニュートリオ

 

2024.2.8 STAR☆EYES    安ヵ川大樹ニュートリオ

安ヵ川大樹 (b) 市川空 (pf) 塚田陽太 (ds)   

sit in 足立吉規 (as)

 


www.youtube.com

 

いつもの太くて強靭な安ヵ川社長のベースに、切れ味抜群のドラムが躍動し、鋭い楔を入れるピアノは流麗にしてダイナミック。

社長の脇を固める若手のお二人はスターアイズ初出演で、お聴きするのも初めてだったが、空さんオリジナルの1曲目から知性と野生が渾然一体となった刺激的な演奏に圧倒された。

実力があっても知名度的にまだこれからの若手は地方のツアーに行きたくても会場決めや集客のハードルは高く、有能な若手を地方に紹介してくれる大御所の存在は大きい。

社長にどこでスカウトされたのかお聞きしたところ、空さんとはご近所の間柄で、陽太さんとは音大で先生と生徒の間柄とのこと。

このふたりは合うだろうと引き合わせたところ、既にお知り合いだったそうで、偶然でありながら必然でもあるトリオ。

どうりで相性がいいはずである。

 

 

ピアノマイクが天井に向けられていることからわかるようにこの日はPAを通さないアンプラグドライブ。

通常はドラムとのバランスを考えてPAを通すのだが、ダイレクトに伝わってくる生音は立体的で心地良い。

 

 

ずっと厨房で耳を傾けていたママさんが「凄くいい音でピアノが鳴っていた」と感心しきり。

誰よりもスターアイズのピアノを聴いている主が言うのだから間違いない。

 

 

2ndの1曲目でシットインされた足立吉規さんと空さんのスマートショット。

情感が込められたベニー・ゴルソンの『ステイブルメイツ』に、またもや名大からの逸材かも。

 

 

一昨年リリースされた『The Three Roses』。

ライブでも良かった空さんの『Wunderbarland』に、陽太さんの『Without Words Without Silence』も印象深く、若手のソングライティングの能力の高さも伺えた。

近々2ndアルバムのレコーディングがあるそうで、この日演奏したあの曲にこの曲も収録されるだろう。

マスターと奥さんも若手ふたりの音が相当気に入られた様子で、早速次回のライブが9月15日(日) に決まった。

楽しみである。

2N book cafe

 

2N book cafe

 

筋トレはタイミングが大切で、食前の低血糖状態だと筋肉に蓄えられた糖を使ってしまうため筋分解してしまうし、食後直ぐだと本来胃に集まっているはずの血液が筋肉に集中しようとして消化不良を起こすため、食後2時間~3時間が体内にあるエネルギーを最大限に生かして効率よくトレーニングできるベストタイミングとなる。

 

 

なので食後に何処かでお茶してから筋トレに向かおうと自転車を漕いでいると book cafe という看板が目に入った。

最近オープンしたのかな?

 

 

ご結婚を機に日本に来られた中国出身の女性店主がワンオペで営業されていて、コーヒーの他に中国茶もいただけるということで菊花茶を注文した。

食用菊の香りが特徴的で好き嫌いは別れると思うが、菊花は漢方薬として目のトラブルなどに効能があるそうで、ハーブティー好きとしては美味しくいただいた。

ブックカフェと聞くと店主拘りの本が並んでいるというイメージだが、コミック本が多めだったので?と思ったが、自分の持って行った本を読めばいいわけで、筋トレの前に寄るのがパターンとなった。

 

 

烏龍茶は本場の茶器を使って茶道でいただけるので、おすすめ。

 

 

日本でよく見る茶色ではなく緑茶に近い色でフレッシュな味わい。

最初の一杯は飲まずに捨てて、微妙な濃さの違いを感じながら何煎も楽しめるので、四杯ほどいただいた。

 

 

何度か通っているうちにいろいろとお話をするようになり、メニューが少ないのはカフェ自体が目的ではなく、子供の遊び場や育児中の親御さんなど近所の方のコミュニケーションの場になればということで、絵本やコミック本が多いのにも納得した。

 

 

塩野七生先生の『ローマ人の物語』が全巻揃っていたのも気になったので理由をお聞きしたところ、旦那さんの愛読書だそうだ。

 

 

財布や靴下や小物など、近所の方が作られたハンドメイドの委託販売もされている。

 

 

メニューにはないが、ホットケーキやチーズケーキなどが食べられるときもあって、決してインスタ映えはしそうにないが、それが良かったりもする。

 

 

障がいをもつ子供たちの応援もされていて、その子たちがデザインしたTシャツやポーチなども購入できる。

 

 

これを着ることによって自分のペースでいいからと、筋トレを続けるモチベーションもあがる。

 

 

ブックカバーもお気に入りで、文庫本のカバーは手提げスタイルになっていてちょっとおしゃれだし使いやすい。

 

 

2N book cafe で一服してからジムに向かって月に一度の体組成計測定。

筋トレ開始初日から、体重+0.3kg、筋肉量+4.5kg、体脂肪率-6.5%。

先月から、体重+1.1kg、筋肉量+0.8kg、体脂肪率+0.2%。

 

https://www.instagram.com/2n_book_cafe/

 

2N book cafe は、心のプロテインである。

高田ひろ子 Trio コンサート

 

2024.2.3 桜の庄兵衛 米蔵

高田ひろ子 (pf) 小美濃悠太 (b) 岩瀬立飛 (ds)

 


www.youtube.com

 

1曲目『秋音』の数音を聴いただけで高田ひろ子さんのライブに来たのだと実感する。

景色や味や香りなど、その微妙な変化を愉しみ、四季の移ろいを感じながら生活しているから日本人は細やかなのだと思う。

虫の音や鳥の声で秋の気配を感じるとはいかにも日本人らしく、その細やかな感情を表現する独特なタッチは高田さんのものでしかない。

良いライブを聴いていると景色が見えるものだが、このトリオの卓越した表現力は景色の向こうのストーリーまで想像できる。

ジャズを日本人がプレーしたり日本の楽器でプレーしたりすることを和ジャズと言うことがあるが、高田さんのジャズは日本人であることを実感させてくれるのだ。

 

 

米蔵を改築した会場は天井が高く音の響きがいいのに加え、音の景色にもマッチしていた。
桜の庄兵衛は8年くらい前に一度おじゃましていて、そのときは妹尾美穂さんと坂上領さんのDUOで『KAIIを奏でる』という日本画家の巨匠、東山魁夷氏の作品からインスパイアされた曲を演奏するライブだったので、どちらもいい時に聴きに来れた。

 

 

ライブのセッティングとライブアルバム『秋音』のレコーディングをされたタイムマシンレコードの五島昭彦さん。

ライブをありのままに録音して再現してしまう魔術師のようなエンジニア。

 

 

いつも笑顔で、様々な関西のライブで主催をされている安田雅彦さん。

安田さんが主催するライブに行っておけば間違いない。

 

 

他にも、私も何度もお世話になっている売れっ子イラストレーターのナカガワ暢さんに、多くのミュージシャンが絶大な信頼を寄せる調律師の鈴木優子さん、ライブ運営のスタッフもされた世界一の高田ひろ子リスナー馬渕清さんと、見慣れた顔もたくさんあり、地元凱旋ライブに高校時代の友人のみなさんも来られていた様子で、今や横浜人の印象が強い高田さんだが大阪の高校時代に戻ったようなノリだった。

 

 

このトリオをもっと大勢の方に知っていただきたいし聴いてもらいたい。

会場に集まった方々の思いは同じである。

 


www.youtube.com

 

MCで「やり尽くした感じだけど、まだ聴いていない人もいると思うから」と、トリオのライブでは定番の『For A New Day』。

9.11アメリ同時多発テロのあとに作られた曲で、事件当日の高田さんは立飛さんと横浜でライブだったそうだ。

人間はやたらと宗教や人種などで境界線を引きたがるが、空はつながっていて、世界はひとつの球体である。

音に込めた思いを届けるため、音楽活動が終わるまでやり尽くし倒されるだろう。

 

 

帰りの車内で『秋音』を聴くと、カーステレオでも明らかに音の違いがわるほど抜群にいい音で鳴っている。

これは絶対にジャズ茶房靑猫のシステムで聴きたいと、『秋音』から『桜、散る』と『1003』をリクエストした。

 


www.youtube.com

 

目を閉じるとまさにそこで演奏しているようなリアルさで、音にうるさいマスターも「いい音だね」と、メガネの奥のつぶらな瞳をまんまるくしていた。

曲ができた日にちをそのままタイトルにした『1003』。

動画での立飛さんは、ほぼスネアとシンバルだけだが、CDではタムを心地よく叩いていて違った雰囲気を味わえる。

是非そちらも聴いていただきたい。

シンプルの中に奥深さを感じ、ずっと聴いていられる。

ペンギンラッシュ 4th Album 真善美 Release Tour 「triangle」

 

2024.1.28(日) ell. FITSALL

ペンギンラッシュ  4th Album 『真善美』 Release Tour 「triangle」

望世(vo,gt) 真結(key) 浩太郎(b) Nariken(ds)   成瀬明 (gt)

 


www.youtube.com

 

『七情舞』『皆空色』に続いてのニューアルバムは『真善美』。

七つの感情、般若心経、哲学、ペンギンラッシュの奏でる音は人の存在を問う。

人生のどこに生命以上の偉大なものが存在しようか。

愛でさえ時のリミットを受けなればならない。

道の左と右、善と悪、事実は真実ではない。

「見えるもの仮定だらけ」

「いつだって全て答え」

「目に見えないものこそに真実が溢れている」

受け入れるのではなく思考しろ。

そうすれば真実が見えてくる。

あなたはただ存在しているだけなのか、それとも生きているのか。

ステージの上の5人は生きていることを実感している。

私はどうか?

 


www.youtube.com

 

芸術家は新しい真実を型創る者でなくてはならない。

作品の中に創造力を反映させ心に忠実に鍛え上げてゆく。

刀鍛冶が何度も何度も火花を散らすように。

政治家も哲学者もパン屋も誰しも自分の役割を自覚しなければならない。

さて、私は。

 

 

純白の衣装は結成10年目からの新たなスタートに向かっての心の色か。

お揃いの色の中でもそれぞれの個性を表現していて、望世さんはソイヤッ!とボーイッシュに、真結さんはエレガント、成瀬さんはスタイリッシュで、浩太郎さんはメカニック担当らしくカーゴパンツ、Narikenさんは少年の心?

 

 

配信で聴くのが当たり前になったが、ペンギンラッシュはまずは歌詞カードを手にしてじっくりと曲に向かい合いたい。

アルバムのジャケットと歌詞カードは真結さんのデザインによるものだそうだ。

歌詞カードで曲ごとに創作された紙のオブジェからもアルバムに対する真摯な心が見えてくる。

 

haruyoi 1st album RELEASE TOUR <名古屋編>

 

2023.1.24 KDハポン

haruyoi 1st album RELEASE TOUR

菅野咲花 (vo) 梅井美咲 (key) 井上銘 (gt) たいきめん (vib,per,syn) 橋本現輝 (dr)

スペシャルゲスト 君島大空 (vo,gt)

 

 

念願の1st アルバム『euphoria』をひっさげて、神戸、名古屋、東京、それぞれにスペシャルゲストを招いてのリリースツアーで、ゲストの名前を見るとどの会場も魅力的なラインナップ。

君島大空さんがスペシャルゲストの KDハポンは sold out 、おめでとう!

ずっとお聴きしたかった君島さんだが、中村佳穂さんの京都ロームシアターでのライブでギタリストとしては一度お聴きしていて、個性的なフレーズが滅茶苦茶テクニカルで鮮烈なカッコよさだった。

この日の名古屋は朝からの雪模様で、雪が降ったり晴れたりというのを何度も繰り返していて、時折雪雲の切れ間から明るい光が差し込む空は神々しくもあった。

君島さんの中性的な歌声はそのときに見た光景のようで、雪のような冷たさと眩しい日差しのような暖かさを感じた。

ギタリストとしてもボーカリストとしてもサウンドリエーターとしてもエッジが効いていて、唯一無二という言葉がピタリと当て嵌まる。

 

 

ハポンに入ると、ドラムにヴィブラフォンにシンセなどが並んでいた。

名古屋初ライブはDUOだったのに井上銘さんが加わることは知っていたが、レコーディングメンバーであるたいきめんさんと橋本現輝さんも加わることは店長のモモジさんも直前に知ったそうで、うれしいサプライズであった。

 

necojazz.hatenablog.com

 

ギターを借りたりマックを差し入れしてもらったりと君島さんもレコーディングに協力されているそうだが、関西人はマックではなくてマクドだろう。

前回の投稿で東京に染まっていないと書いたが、徐々に東京に染まってきているようで、菅野さんは髪の毛まで染まっていた。

 

 

ライブ前はそう思っていたが、いざライブが始まると髪の毛は染めたのでははなく、東京という精神と時の部屋での修業によってスーパーサイヤ人化していたのだったとわかった。

感情を込めた歌声はコントロールも十分で大人の雰囲気も増してエグいくらいの進化を遂げていた。

 


www.youtube.com

 

それを一番感じた曲『その視点』(詩:三角みづ紀)。

三角みづ紀さんの詩は小田朋美さんも『北へ』(アルバム『グッバイブルー』に収録) を取り上げていて、いつまでも色褪せず心に残る名曲だが、それと同じ温度を感じる素晴らしさ。

梅井さんは歌にそっと寄り添い、ライブを通して派手なプレーはなかったが、その寄り添い方に大人を感じた。

客席の中で梅井さんの凄さを一番知っているという自負はあるが、一段と深みのあるアーティストになられたようで、益々魅力を感じる。

 

アルバムに収められている曲はすべて何曲目ということまで菅野さんから説明があり、曲順にも相当な拘りがあるのと、宝物のようなアルバムだという思いも伝わってくるが、天然トーク満載のMCもスーパーサイヤ人

 


君島さんが加わってのアンコールの2曲目、ライブ最後のナンバーは敢えて曲名も誰の曲かも言わず締めくくった。

芸術的で実験的で夢の中で菅野さんと君島さんの囁きを聴いているような微睡。

何の予備知識もなしでただ純粋にこの世界に浸って欲しいということなのだろうか。

ライブが終わってから菅野さんに曲名をお聞きすると、君島さんの『世界はここで回るよ』だと教えていただいた。

どうりで君島さんの声とマッチするはずだ。

ということで、何種類か置いてあった君島さんのCDの中からこの曲が入っている『映帶する煙』を購入した。

 


www.youtube.com

 

今にも壊れそうで、ライブの最後にというより、世界の終わりに流れるような曲。